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BRAVE HEARTS  作者: 刹那翼
第2章 花鳥風月
26/88

それぞれの夏休み〜大空正義〜 8/8

「おいっ、クソ兄貴!電話ー!早くしろ!」


 夜の九時。俺は風呂から上がってから、ゆったりとソファに寝転がって『Very・Right』という情報サイトを見ていた。まあ単語の頭文字を取ってわかるように、VRについての情報サイトだ。

 しかし、その怠惰な時間を引き裂くような大声が聞こえる。


「ったく、誰だよ。大空の家で俺に電話だなんて……。

 はい、もしもし」


『大空か、良かった。お前の連絡先聞いてないことに気付いて、音坂先生に聞かせてもらったんだ。

 んで、要件なんだが、今から支度して明日には高校に来い』


 電話先は冷姫だった。いきなり過ぎるオーダーに俺は動揺する。


「ちょっと待て、なんで急に」


『合宿を手配しておいた』


「が、合宿ぅっ!?」


 合宿という言葉を隣で聞いていた妹の凛が俺がいなくなることを悟り、超頭に来る笑顔を浮かべていた。


『う、うるせえよ。鼓膜破れるわ。

 まぁ、とりあえず来い。合宿の相手はお前の心を踊らせるチームが揃っているからな』


「まぁ、俺も音魔法の正体について気になっていたところだ。

 だがな、冷姫。今日電話掛かってきて、明日には高校とは無理があるぞ」


『こっちも忙しかったんだ。上級生のチームに合宿相手を申し込んだりしてたんだぞ。断られたけど』


「いや、そりゃそうだろ……」


『あ、最後に榊原から伝えて欲しいって言伝があった。

 今そっちに送る暗号を解くのを手伝って欲しいって言ってたな。俺の武器に書かれていた文字列らしいから、大空には関係ないだろうけど、だとさ』


 冷姫から電話の立体表示装置へメッセージが発される。そこには『CCCZKXJUWOTPMVJBRMO』という文字列が書かれていた。


「なんだこれ……全く見たこともない文字列だ」


『それが榊原もさっぱりだそうだ。じゃ、大空は至急だぞ』


「まぁ、わかったよ。早く準備するからまた明日」


 そう言うと、冷姫は何も言わず電話を切った。相変わらず無愛想なやつだ。


「いってら、クソ兄貴。帰って来なくていいよ」


「はいはい。俺もお前の顔見なくて済むのは嬉しいよ」


「ぐぬぬ……」


 あ、怒った。放置放置。俺は準備をする前に話さなければならない人がいる。

 螺旋階段を上がり、突き当たりにある大きな扉。大空家で一番広い部屋にいるのは、父。

 俺は大きな扉をノックする。


「入れ」


「失礼します。父さん、明日から学校に戻ります」


「そうか。大空家の恥を晒すなよ。

 言いたいことはそれだけか」


 父は、紙の資料から目を離さず俺と会話する。何年間父と目と目を合わせて会話をしていないだろうか。

 俺は父から見捨てられたのだ。才能ある妹が生まれ、妹にすべてを注ぎ込んだ。

 才能ある妹と平凡な兄。比べられて当然だろう。俺は気にせず準備に移る。

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