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BRAVE HEARTS  作者: 刹那翼
第2章 花鳥風月
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チームルームと自由 7/23

「やっと終業式終わったなぁ。みんな、夏休みはどうする?」


 終業式は決闘とは違って、冷房という人類の英知が見事に役割を果たしていた。

 今は『ブレイヴ・ハーツ』の全員で、夏休みの間は使うことはないであろうチームルームを片付けに来ている。


「そうだな、俺はちょっと墓参りのためだけに帰郷するよ」


 俺の質問に対して、冷姫は顔色一つ変えず答える。なんで墓参りだけ、なんだろうと不思議に思いはしたが、あまり詳しく触れるべき事柄でもないだろう。


「冷姫の性格からして、あんまりそういうの好きじゃなさそうなのに意外だな」


「大空の言う通りで墓参りとか古き習わしのようなものは好きではない。だが、俺の恩人の墓だからだよ。定期的に綺麗にしておきたいからな」


 こういう真面目な一面もあるんだよな、と深々と実感する。いつもはエースとしての貫禄であったり、ふざけるシーンをよく見るが、キャラが定まらないのが冷姫氷牙なのだろう。


「黙って聞いてればさ、帰る前に一緒に買い物行ってよね!」


「あ、忘れてたわ。まあ今日明日は学校に残るから問題ない」


「んじゃ明日の昼からね」


 へぇ、冷姫と鳳は二人で買い物行くような仲なのか。冷姫の関心興味からして付き合ってはないだろうが。


「鳳さんはどうするの?」


「夏休みかー、例年通りパフェ巡りかな」


「え、鳳さん、パフェ行くんですかっ。私も行きたいですっ!」


「んじゃ、夏休み中一緒に行こう!」


 夏休みに何するかを聞いたのに、今スケジュールできた。チームで仲良くしてくれるのは、勿論良いことなんだけどね。俺も誘って?とは言えない。


「榊原はどうするんだ?」


「あー、俺は家には帰らずここに残るかなぁ。満喫したい気持ちは山々だけどね……」


 榊原の顔が曇る。聞いてはいけないことを聞いてしまったのだろうか。


「あ、家に帰りたくないんだったら、俺の家来る?榊原が来ると、妹と無駄な口論しなくて助かるし」


 榊原は少し笑った。良かった。そこまで怒ってはいないみたいだ。


「気持ちは受け取っておくよ。というより整備士の仕事が終わったら、行かせてもらっても良いかな。どうしても気になることがあるから」


「勿論無理にとは言わないよ。いつでも連絡くれれば歓迎するよ」


「ありがとな。んで、かく言うお前は何するのさ」


 まさか俺に話題を振ってくるとは思わなかった。


「俺は、自宅で研究でもしとくかなぁ……」


「真面目かよ。俺は墓参りしてから、コーラ飲み放題しとくわ」


 俺はハッとする。俺だけではない。みんなだ。俺達は思い出したのだ。冷姫に冷蔵庫を支配された屈辱を。そして、あいつが冷蔵庫を片付けていないことを。


「冷姫……お前、冷蔵庫に詰めた30本のコーラどうするんだよ」


「考えてなかった。どうしよう」


 終わった。こいつ本当に自由すぎる。てかコーラ溺愛者かよ。先生になんて言おう。今来なければいいけど。


「あんた達、こんなところで何してるんだ?」


 我らが担当の先生、音坂先生。噂をすれば影がさす、ではないが、嫌な時に来てしまうものだ。


「夏休みなんで、部屋の片付けを……」


「何言ってるんだ?恭介が残るんなら、部屋の片付けはいらないぞ?」


 せかせか働いていた、チームメンバーが全員止まる。勿論俺もだ。


「あれ、知らなかったのか。まあ恭介、虫が湧かないようにだけ気を付けといてくれ。あ、あと合宿のことなんだが、1年生でも数組するようだ。あんた達も合宿に参加したかったら、私に連絡してくれ。

 じゃあ、良い夏休みをな〜」


 先生が風のように来て、風のように去って行った。そして、部屋に沈黙が訪れる。


「……帰ろうか」


 俺の呟きに呼応するように、渋々と皆頷いた。

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