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ヘレティックスキルズ  作者: D.クラウド
第2章 ~時が歪む~
7/8

遺体を生み出さぬ為に

朝9時。



作戦決行の時間だ。

現在秋葉原の古ビル内に既に潜入済み。

内部の監視カメラは管理システムごと同じ映像を流すだけのガラクタにしてやっている。

奴は僕らが既に潜入していることに気付いて無いようだ。



いきなりこんな場面になっている経緯は・・・。




---------------------------------------------


僕「まず、奴の指定時間には従いません。むしろ、9時には奴のいる場所に居ましょう」

美澄「バカな、GPSはどうするんですか!?」

僕「僕が人工衛星にアクセスして狂わせます。9時に適当に動いてるような位置情報を送ればバレはしないハズです」

杉山「人工衛星を狂わせるってお前な・・・」

僕「狂わせるのはこのGPSの位置情報だけです。捨ててしまえば修正の必用は無いですし」

美澄「いや、しかし!」



反対するのも当然だろう。

なんせ人工衛星を狂わせるとか下手したら

日本全体が狂いかねないんだから



桜山「西垣君、進めてくれ」

美澄「智和さん!」

桜山「まずは聞こう」



桜山さんが先を促してくれたので僕は話を進めた。



僕「これで敵の欺きはOKですが、問題は潜入です。不意打ちの仕掛けは増やした方がいいでしょうし、敵もやすやすと進入させてはくれないでしょう」

マリア「窓から車投げ込んでやればいいじゃない」



さすが、念動使用者は発想が凄まじい。

だがナイスアイデアではある。



僕「それやりましょう」

美澄「バカですか!?」

僕「真面目です」

桜山「いいじゃねぇの。はっちゃけてやろうぜ」



美澄さんが溜め息を吐いてる。

まぁ仕方無いか。



僕「他にも何でもアイデアください。何重にも仕掛けていきます」



---------------------------------------



まぁ、そんなわけで既に潜入している訳だが。

想像以上に仕掛けが多く、進行が遅れている状況である。

アリサさんが服を数枚脱がされるのは諦めるしか無さそうだ。



しかし、よくこんなに仕掛けが用意できた物だ。

しかもスタンドアローンな仕掛けが多い為、

一つ一つ解除していく必要があるのが実に面倒だ。



僕「盗聴器はこれで全部か。周囲の電子機器は反応なしか」



僕の能力にはもう一つ使い道がある。

それは狭い範囲ながら電子機器を探知出来るのだ。

干渉は出来ないが見付ける事は出来るので

こういうときはとても便利な能力機能だ。

誰にも言わず内緒にしてるのはもしもの為だ。

今みたいなね。



今の時間は10時半。

予定よりだいぶん遅れてる。

僕は携帯を取りだし、能力で

皆の携帯に進入し、メールを起動。

文章を打ち込む。

電波傍受を予想してこの方法を選んだ。

打ち込んだ文章は

「敵の部屋の前に到着。第一段階開始」



監視カメラに干渉して敵や、

その他の細かい位置情報は確認済み。

よって第一段階となる作戦は大胆に行える。

僕が扉を開けると同時に



車が目の前の部屋を吹き飛ばしながら窓から飛び込んできた。

それと同時に、今度はメールで

「進入開始」

と一斉送信する。



奴はこの部屋にセキュリティの管理を集中させていた。

スタンドアローンを含めてここに集約されているんなら

この部屋を吹き飛ばせば、ここはただの廃墟だ。



僕「さて、僕も動くか」



奴を探しに室内に入る。

電子機器はもうこの部屋を写すカメラだけ。

僕は警戒しつつアリサさんを捜索することに・・・。



僕「・・・あれ?」



おかしくね?

だってビル潜入前にカメラに干渉したときは

この部屋にアリサさんと奴がいることは確認した。

その都度何度も確認したが

この部屋を出た所は見てない。


そして、アリサさんは携帯や時計にGPSを入れていた。

僕の電子機器探知に引っ掛かるはず。

部屋の中は探索範囲内なのに

探知出来たのは・・・カメラだけ?


僕「マジかよッ!」


カメラに干渉して映された映像を確認して絶望を感じた。

そこにはまだ奴とアリサさんが映されていた。


僕「そんな・・・」


外のカメラを確認する。

幸いセキュリティはダミーではなかったが・・・。


いや、マジもののセキュリティをダミーに使用したんだ。

僕を欺く為に。


僕「やられた・・・」



僕は機械に詳しい訳ではない。

操作自体は能力で感覚的に出来るが・・・。

判断力や基準はそうはいかない。

してやられてしまった。



「敵に潜入がバレてます。時間経過や視界の揺れに注意しつつ、指定場所に移動してください」

メールを全員に送る。

これで不意打ちがだいぶん厳しくなった。



さらに困った事に

GPSは真上からの映像しか映さない。

ビルの何階にいるのかわからない。

ここは5階まである。

今は3階だ。

残りの4つの階を探さなくてはならない。

困ったなぁ・・・。

監視カメラは管理機器を破壊してしまったため確認出来ない。

盗聴器も同様だ。

手探りでの捜索は極めて危険だがそれしか策がない。

僕は銃を構えながら移動を開始した。



僕「まずは上から行こう」



4階のGPS反応のある大体の場所を慎重に探していく。

今僕が見ている風景は本物か?

そんな不安に襲われながらも

足を進める。



4階を探すも敵は見当たらない。

いや、見えてないだけかもしれないが。

更に上、5階に向かう。

5階には桜山さんが待機している。

合流すれば捜査は多少、楽なんだが。

とりあえず打ち合わせの場所に向かう。





うん、いない。

まだ配置完了してないのだろうか。

気配すらない。

とりあえず周囲に警戒しながら待つことにした。




その時



階段の方で銃が着弾する音がした。

僕は急いでそっちを見るが何もない。


僕「なんだ!?」


今度は自分のすぐ横に着弾する。

なんかわからないが無音の銃撃戦が始まっているようだ。

それはもう凄まじい銃撃戦が。




そこで僕は理解した。




すでに認識誘導を掛けられてたんだ。

多分、桜山さんがここにいるんだ。

声と姿と音が無いだけで。

しかし、いるとわかった所で状況に変化はない。

相手も味方も見えていないのだ。

この分だと恐らく他の人も見えないだろう。

アリサさんも見落としたに違いない。

どうするか・・・。





ふと・・・。

監視カメラが目に入る。

生の目では見えずとも

カメラの映像ならみえるのでは?



行けるかもしれない。

多分リアルタイムでは見れない。

あのカメラで録画しながら見れないだろうか。

多少はラグがあるかもだが・・・。

ある程度位置はわかる。



そこで味方の配置やら何やらを考える。

・・・作戦はある。

まずは監視カメラ越しに録画しながら見れるか確かめる。

残念ながらカメラに録画機能はなかったが、

無線で別の機器に映像を送る事は出来そうだった。

僕の携帯に繋げてやろう。

やってやる。

無線パスをカメラ内から探し、携帯に繋げる。

携帯画面に映像が出た。





・・・見える!見えるぞ!

カメラを操作し向きを変えて周辺をみる。

大体の位置は把握した。

あとは他の仲間に連絡するだけ!

なんだが・・・。



糞野郎「携帯をそこに置け」



・・・くそ。

気付かれたか。

頭に銃が突き付けられる。



糞野郎「携帯をそこに置けと言ったのが聞こえねぇか?置いたら手を頭の上に上げろ」



認識誘導は既に解かれていた。

糞野郎の姿も見える。



糞野郎「動いたら頭に穴が開くぞ」


そのまま奴は桜山さんにも銃を向けた。


糞野郎「お前もそれ以上抵抗するな」

桜山「チッ・・・」



桜山さんが銃を置いた。

流石に抵抗出来ないと判断したか。

だが・・・。

僕には抵抗手段が残されてる!







ジワジワと・・・

徐々に体が重くなっていく感覚があった。

この場にいた全員がそれを感じ取ったのだろう。

皆ソワソワし始めた。



桜山「なんだ?急に変な感じが・・・」

糞野郎「おい、何をやった貴様等」

桜山「待て、俺等の能力じゃこんなこと出来んぞ!」

糞野郎「このガキは機械だし、コイツはワケわからんし、他の奴は居ないし連絡手段が・・・」



糞野郎は今更気づいたようだ。

僕の方を睨み付ける。

しかし、もう遅い!



糞野郎「貴様ぁ!」




さっきより強烈な重さが体を襲う。

それはもう体を動かす事は不可能な程の凄まじい重力だ。

ビル全体も悲鳴を上げている。

あまり長くは持たなそうだ。

携帯も長く持つかわからない為、

早急に次の連絡を入れる。



糞野郎「この野郎・・・ふざけるな・・・」



糞野郎が唸るが、最早意味はない。

銃も体も動かせないこの状況では

認識誘導も無意味だ。

例え、能力の使用認識を奪われたとしてもだ。



だが・・・。

糞野郎は既に気絶していた。

基本的に2Gが体に掛かっても

人によっては気絶するというのだ。

今回白畑さんに屋上にて待機してもらい、

3Gを頼んでいた。

さらには、僕らが気絶しても大丈夫なように、

暫く連絡が無ければ念動による救出と

車を再度投げ込む準備を頼んであった。

更には上空からの車によるビル貫通での攻撃も計画していた。



あのカメラを操作しながら思い付いたものを片っ端から連絡したのだ。

当初の計画がオジャンながらなんとか無力化出来た。



・・・と、そこまで考えた所で僕は力尽きた。




------------------------------------------------------------



神原「私結局何にもしてないで終わっちゃったんですけど」

僕「いや、知りませんよ」



最終的に糞野郎は逮捕出来た。

マリアさんは下着姿で2階から見つかった。

ナイスバディだった。

あのファミレスとの関連は一切なく、

捜査撹乱を目的としていたようだ。

また、他にも能力を利用し犯罪を犯していたらしく

そちらの捜査の方が大変だと武原さんが愚痴っていた。




まぁ、皆無事だしめでたしという事で。



マリア「慎也くん・・・今夜私の部屋に来ないかしら?」

僕「行きませんよ!」



下着姿見ただけであれからずっとこのネタを吹っ掛けられている。

正直困る・・・。



アリサ「マリアがそういうんだから相手してあげればいいじゃない?」

僕「堪忍して下さい・・・」

杉山「羨ましいなぁモテ男!」

僕「杉山さん相手しましょうか?」

杉山「はぁ!?」

美澄「慎也くん大胆ですね。嫌いじゃないですよそういうの」

桜山「大悟!部屋開けてやれ!」

美澄「予約扱いで開けときましょう」

杉山「待て!お前ら!アタシを売るな!ふざけるな!」

神原「・・・」



結局神原さんはcazaの一員になる事になったらしい。

きっかけは不明だが急に入る気になったらしい。

あと入ってから急に無愛想になった気がする。



僕「神原さん、怒ってます?」

神原「いえ別に・・・」


少なからず不機嫌ではあるな。

しばらく声かけないようにしよう。

というか・・・疲れたなぁ。


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