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ヘレティックスキルズ  作者: D.クラウド
第2章 ~時が歪む~
4/8

4話 遺体が語るは事件にあらず

桜山「ヘレティックス・・・それが能力者に付いた総称だ。異端者という意味だ。原因は不明だが異能力の発現は一番古くて10年前から確認されている。噂になり始めたり対策され始めたのはもっと後だ。政府は基本的にはこれを秘匿、黙認していた」



cazaの正式な仲間になった僕は

最低限覚えなきゃいけない事を叩き込まれている。

しかし、多い!

覚えれる気がしない!



桜山「しかし、それが犯罪に使われ始めると黙認は出来ず、密かに異能力犯罪者対策課を警察内に立ち上げさせた。だが依然として秘匿は続けている。多分混乱を避けたいんだろうさ」



長いなぁ・・・。

歴史系は苦手だわ。



桜山「因みに今はヘレティックスの能力を一時的に無力化する電磁波が開発されている。これを浴びている間は能力は使えない。AHEW波エイへウーはと呼ばれている」



前にざっくり聞いてるだけにつまらなくなってきた。



桜山「さて、ここからが本題だ」



やっとか。

ここからが一番聞きたかった。



桜山「能力者には5つの分類がある。基本的に能力者はこの分類に依存した能力を持つ。1つずつ行くぞ」

僕「はい」



桜山「まず1つ目の分類。能力を自身にかけ、それにより生じた影響を使って対称に影響を与える能力。これ等の能力はシングルスという通称で分類される。ここだと大悟の能力がこれに該当する。他にも変形、自身の能力強化などもこれに分類される」

僕「って言うと優衣の能力もシングルスなんですか?」



自身を影に変身させてるからそうだと思ったけど・・・。


桜山「いや、違う。あれはまた別の分類だ。追々、説明するさ」

僕「すいません」

桜山「何を謝る。疑問点をぶつけるのは悪いことじゃない。ガンガン言えよ」


この人・・・結構いい人だなぁ。

ここの人達は皆いい人ばかりだ。


桜山「さて、続きといくか。次の分類は、能力を自身以外の対称にかけて影響を与える能力。これ等はスキルズという通称で分類される。種類としてはかなりバリエーションがあるタイプだ。ここだとマリア、アリサ、花子、白畑が該当する。他にも様々なタイプがいる。例も出しにくい程にな」



大半じゃねーか!

それほどか!



桜山「次の分類は、能力を自身以外の対称にかけて相手と自分両方に影響を与える能力だ。これ等はツインズと呼ばれている。ここだと俺とお前だ。これもバリエーションが多いが例えるなら、真偽判別、思考盗撮、テレパシー等か」


僕はツインズ・・・能力を電子機器にかけて中の情報は僕に見られる。

両方に影響があるな。

ん?でも待て?


僕「でも単純に操作してるだけの時はスキルズになるんじゃないですか?」

桜山「いい質問だな。確かにそう思うだろうが、電子機器なら操作は内部に影響させるのが殆どだ。スイッチだけで操作してるならそれは念動に分類されてしまうが、お前は内部を操作する。つまり単純操作だろうが内部情報は少なからず来るはずだ。その時点で自身にも影響がある。立派なツインズだ」


お、おう・・・。

シビアじゃね?


桜山「他に質問は?」

僕「多分大丈夫です」

桜山「よし、なら次だ。自身を特定の対称と融合させる、または自身に取り込み吸収する能力群がシンクロという通称で分類される。お前の元カノはこのシンクロタイプの能力者だった」



シンクロ・・・融合・・・。

能力者ってトコトンスゲーなぁと切実に感じた。



桜山「そして最後。これが一番厄介なタイプでな。有機物、無機物に限らず無から有を産み出す能力。アブソリュートという分類だ。物によるが他能力では歯が立たない場合もある。無限大に産み出せるからだ。だが産み出すだけで操るのは出来ないんだがな」

僕「アブソリュート・・・絶対的?」

桜山「そうだ。無から有を産み出すなんて物理法則を覆すレベルなんてもんではない。特に有機物を産み出す奴は、様々な科学法則すらねじ曲げる連中だ。その異常な驚異性から絶対的という意味のアブソリュートという名が付いた。思い当たる該当能力は発火能力ぐらいだな」

僕「発火なんてマッチでも出来ますよ?」

桜山「あれは摩擦熱を発火材の発火温度まで上げて発火させてるんだ。なんの前触れもなく目の前のコンクリートから火が出せるんだぞ発火能力は」



僕の考えの甘さを思いしらされた。

突然全身を焼かれる可能性もあるのか。

恐ろしい。


美澄「しかしながらアブソリュートタイプはそうそう現れる物ではありません。むしろ生きてる内にすら会わない可能性だってあるんですし」

桜山「基本はシングルス、ツインズ、スキルズだからな。シンクロすら久々にあったよ。さて、これが最低限覚えなきゃいけない事だ。大丈夫だったか?」



正直ちんぷんかんぷんです。

勉強は苦手なんです。



桜山「まぁ、ジワジワ覚えてきゃいいさ。俺だって覚えらんねーわこんなもん」

僕「桜山さんって結構テキトーな人ですね」

桜山「だろ?まぁ花子程じゃないが」

杉山「待てコラてめぇ!」

僕「確かに杉山さんよりテキトーな人はいませんね」

杉山「おい!クソガキてめぇ!なめてんだろ!」

白畑「杉山さん、気をお沈めください。いくら事実とはいえ」

杉山「皆がアタシを苛めるぅ!」



ここに来て三日。

僕はこの日常がとても好きだ。

そういえば仕事はどうやって来るんだろうか。

依頼?自主出動?

突然気になった。



聞こうと思ったが桜山さんは電話してるし

白畑さんは掃除してるし

杉山さんはふてくされてるし

美澄さんは本読んでるしアリサ、マリア姉妹はだらしなく寝てるし

き、聞けない・・・。



ここのパソコンは今電源切られてるから能力使えないし

桜山さんの携帯でも調べるか。

とも思ったが電話が終わったのかポケットにしまわれてしまった。



桜山「みんなぁ、仕事回されたから行こうぜ」


ポケットに携帯しまうやいなや

いつも通りのテキトーな口調でそんなこと言い出した。

え?

そんな感じなの?


マリア「武原さんから?」

桜山「当たり前だ。俺らに仕事回してくれんのは奴しかいないさ」


武原さん・・・以前桜山さんと親しげに話していた刑事さんか。

基本的にこういう組織は非公式な為、探偵みたいに依頼が来たりしないと仕事は無いらしい。

しかし、腐れ縁が警察内にいる桜山さんは

コネで仕事を回してもらってるそうだ。

因みに異能力犯罪者相手の場合は

他者の協力は認められているらしい。

快く思うかは別にして。



桜山「場所は新宿だ。日本庭園内で殺人。凶器は刃渡り30㎝の刃物だそうだ。勿論能力者絡みだ」

僕「殺害方法に能力的なのは無さそうですけど、なんで能力者絡みってわかるんです?」

桜山「ん?それがあのバカの能力だからだ」

僕「ん?」


なんだ?能力者識別能力か?

そうするとツインズ?


桜山「すぐ出動する!支度しろー!」


---------------------------------------



警官「ダメだ!勝手に入るな!」


来るやいなや門前払い待ったなしだった。



桜山「武原刑事から聞いてないか!?cazaだ!奴から協力要請が来たから駆け付けたんだが?」

警官「そんな話は知らん!部外者は帰れ!」


警官のおじさんは明らかに敵意丸出しだ。

意図的に通さない様にしているみたいに。



桜山「あの野郎、伝え忘れてんな?電話するか」

警官「待て!武原刑事は忙しいんだ!邪魔するな!」



多分この警官が意図的に通さないだけだ。

多分皆確信してる。


桜山「お子ちゃま警官は黙ってろ。保育園に帰れ。・・・あ、武原か?お前、入口のお子ちゃま警官が何も聞いてないと俺らを通してくれないんだが?ちゃんと保育園に帰すかしつけしといてくれ」


電話越しに目の前の方への失礼極まりない発言が

連発されておりますが大丈夫でしょうか。



警官「き、貴様!公務執行妨害で逮捕するぞ!」

桜山「公務執行妨害ってのはお子ちゃまのワガママを聞かない事を指してんのか。全国の親が皆逮捕されちまうな」

美澄「あなたもあなたでガキ臭いですがね」

桜山「なんとでも言え」



後ろでアリサさんが笑いを必死に堪えてる。

その内限界が来るな。

そんなやり取りをする内に武原さんが駆け付けて来てくれて

ようやく中に入れた。



武原「いやぁすまない!警察の常識を能力犯罪相手に持ち出すなとはいつも言ってるんだがな」

桜山「頭の中が漬け物石な奴等には一生聞いてもらえない命令なんだろうよ」

武原「よくわからん比喩はやめてくれ。それより現場にいこう。・・・ん?そこにいる少年は?」



僕かな?


桜山「こないだの影の能力者の元カレかつ倒した張本人だ。今は俺らのとこの実働諜報員だ」

武原「君が?という事はなんかしらの能力を?」

桜山「コイツの前で無闇に携帯や無線機なんか出したら警察内の情報が掠め取られるぞ」

僕「しませんよそんなこと!見るだけです!」

武原「充分アウトだな。しかし、つまりサイバー系の能力か。恐ろしい能力だ。とんでもないのが仲間になったな」

桜山「お陰で仕事は楽チンに成りそうだがな。頭もキレるしな」

僕「誉めても何も出ませんよ?」



誉められるのってあまり得意じゃない。

気恥ずかしい。


武原「おっと長話が過ぎた。早くいこう」

桜山「そうだな」



僕たちは駆け足で現場に向かう。



------------------------------------------


実物の遺体は初めて見たけど

優衣がやらかした遺体より惨くなかったからか

思ったより普通に見れてしまった。

逆に人間性疑われそうだ。



武原「身元は特定するものがなかった為まだ不明だ。腹部を一突きで殺されてる。少し怪しいのが抵抗の形跡が無いところだな。しかも即死ではなく刺されてから意識が無くなるまで多少時間はあった筈だが傷口を触ったり体を動かした形跡がない。それどころか遺体の倒れている場所に動いた形跡が一切無い。遺体を回収してみないと完全にはわからないが」


ん?つまり?


桜山「害者は刺されるときも、刺されたあとも微動だにしていなかったって事か」

武原「ああ」

美澄「死因はなんなんです?」

武原「失血死・・・だろうな」

美澄「倒れるときも微動だにしなかったんでしょうか?」

武原「それはわからん。詳しく調べないとな」

アリサ「犯人の能力も気になるわね」



そうだ!

これは異能力犯罪だった!

ってかそういや武原さんの能力ってなんなんだ?



武原「そうだなぁ・・・抵抗の形跡が無い辺り、動きを止める様な奴なんだろうか。それとも瞬間移動か。」


倒れてから動かなかったなら

瞬間移動じゃ説明が付かなそうだが

即死でもないらしいし。



武原「金銭も奪われているし動機はそっちなのかもしれんな」



と、遺体を運ぶために鑑識の人?が担架を持ってきた。

同時に武原さんに電話らしく失礼と断りながら

電話の対応を始めた。



僕は多分癖が付いているようで

携帯を見ると

すぐ中を調べたくなってしまう。

電話は上司からかな?

課長と登録された人からだ。

ついでにこの人のプロフは



武原たけはら さとし

24歳

電話帳のプロフじゃそんなもんしか

わからないよなぁ。

まぁ名前がわかるだけマシか。

たまに登録してない人いんだよねアレ。



そんな事を考えてたら武原さんの電話が終わったようだ。

携帯をしまわれた為能力が途切れた。

能力が途切れた瞬間、武原さんが

あ、っと声をあげて頭を押さえた。


武原「やらかした。君、今俺の携帯を能力で見たな?」


あ、ばれた


僕「いや、見てないですよ!」


瞬時に誤魔化しを入れた僕は自分の人間性を悔いた。


武原「嘘は通じないぞ!俺にはわかるんだ!・・・とは言え無用心に出した俺も悪いか。今後が大変だ」

僕「俺にはわかる?ってのはどういう?」



なんだ?

この人の能力か?これが。

真偽を見破るのか?


武原「俺の能力は能力の使われた痕跡を見る能力なんだ。能力を使用したらオーラみたいなのが見えるんだよ」



そういうことか。

能力者犯罪とわかって僕達に協力を頼んだのも

それがあったからなのか。

僕も無闇にこの人の携帯みたらいつでもバレるのね。

やりにくいなぁ。


武原「とりあえず俺らは目撃者がいないか探るよ。何か分かったら連絡する」

桜山「俺らはもう用済だってから帰るぞ!」

武原「そんな酷い言い方はしてないぞ!」

桜山「わかってるよ!俺らも聞き込みやら出来ることはしてみるさ」

武原「頼んだ」


そう言うと桜山さんは歩いて庭園の出口に向かう。

他の皆も一緒に歩き出した。



美澄「しかし西垣君。遺体平気なんですね。動じないから少し驚きましたよ」

杉山「鈍感なだけだろ」

僕「杉山さん程じゃないですよ」

杉山「てめぇ!マジ舐めすぎだろ!」

僕「冗談抜きで答えるなら、優衣の携帯内の遺体の画像の方がヤバかったので」

マリア「それでも凄まじい胆力だと思うわ。アタシ何回見ても慣れないし」



普通はそうなんだろうなぁ。

やっぱり僕は異常なんだろうか。


桜山「んなことより飯いこうぜ」

アリサ「アイツの場合は胆力ではないけどね」

マリア「違いないわ」

僕「自分が割りとマシに思えてきました」

美澄「西垣君、言うことに毒が多くて面白いですね」

僕「そうですか?」



意識したことはなかったなぁ。

そんな雑談をしながら庭園を出た所で

僕は一瞬頭にグワンという揺れを感じた。

その瞬間・・・。


「お前らじゃ解決出来ねぇよ・・・」



その言葉が聞こえた。

即座に振り向いたがそこには誰もいなかった。

なんだったんだ?



杉山「おーい!クソガキー!何ボーッとしてんだよ!」



え?

いつの間に皆あんなに遠くに?

なんだ?何が起きてる?

僕は混乱から抜け出せなかった。

だって、グワンと来てから

言葉が聞こえて、振り向くまで3秒とかそんなもんしか

経ってないハズなのに

皆かなり離れてる・・・。

なんだ?

それに聞こえた言葉も



「お前らじゃ解決出来ねぇよ・・・」



明らかに犯人じゃないか。

って事は僕は今、犯人の能力による攻撃をうけたのか?

しかし、だとしたらなんだったんだアレは。

頭が揺れた以外なんもわからなかった。



杉山「早くしろってー!」



あ、そうだ・・・。

離れてるんだった。

僕はぐちゃぐちゃになった思考を抱えながら

皆の所に駆け足で向かった。

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