005。
「それってどういう……」
「レッドー、手伝い来たよー」
俺の問いを遮るように騒々しくドアが開け放たれた。
現れた朝黄の姿を捉えた途端に青葉の眉間に皺が寄った。
「俺だけで十分だ、お前はお呼びじゃない」
「ブルーには聞いてないもーん。ね、レッド、僕がいたら助かるじゃんね?」
朗らかな声と表情の変わらないお面がシュールで、思わず頷いてしまう。
ほらー、とはしゃぐ朝黄に青葉が舌打ちする。
「言っておくが、俺はお前には一ミリも負けてないからな」
「はいはい。レッドは僕を優先したわけじゃないって。もー、ほんとにブルーはレッドが好きだよねー」
さらっと口に出された台詞に、俺はぎょっとして青葉を見る。
けれど、青葉はしれっとしたまま頷く。
「否定はしない」
「ちょ、え、青葉!?」
「まぁ、有頂天だったとこから突き落とされて、ネガティブってたときに優しくされたら懐くってのはちょーっと単細胞だよねー」
「有頂天? ネガティブ?」
有頂天もネガティブもよほど、クールな青葉には似つかない。
それに好かれていたのも、懐かれていたのも初耳だ。
高校ではそれほど話すほうではなく、今回のビラの件だって驚いたくらいだったのに。
朝黄があれれ、と首を傾げる。
「ブルー話してないの? レッド知らなかったの?」
「別に言わなくてもいいだろ」
「えー、知っててもらった方がいいじゃーん」
仮面のしたの顔は見えないはずなのにその時、朝黄がにやりと笑った気がした。
「ね、おチビさん」
tread on air(有頂天になる