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004。
「正直に言えば、俺は赤城を結構買ってる」
突然なにを言い出すかと思えば、青葉は訥々と語り出す。
「だから、今回は助け舟を出したかった。困っている時に助ければ信頼されるとかそういう邪な考えもあったのは否定しない。始めに多少脅してみたあれは茶目っ気だ」
「邪まって、なんだそれ。それに茶目っ気って」
よくわからない告白にお手上げ状態になる。
話の趣旨がよくつかめない。
「要するにだ、身近にまともな人間が欲しかった。もう予想はできているかもしれないが、ここには一癖も二癖もある奴しかいない」
「えーと、朝黄みたいな?」
「奴は埋めたいが、まだ無害なほうだ」
朝黄の名前にまた青葉の瞳が剣呑になった。
慌てて話題を変える。
「というか、なんで青葉はそんなに俺のこと買ってくれてんの?」
問いかけに青葉は一瞬きょとんとしてから、無表情できっぱり言う。
「あぁ、赤城は俺を質量で見ない数少ない貴重すぎる人間だったからな」
「はい?」
やたらと大袈裟な青葉の言葉は、そうして俺をさらに混乱させた。
pile on the agony(大袈裟に言う