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ラスト人類私withナビゲーター

 第二話です。


 バリバリ説明回です。


 リリちゃんがどこかへ行ってしまって、また私は一人ぼっちになった。


 ナビゲーターを置いていくとも言っていたけど、さて、どこにいるのやら。


「ナビゲーター! カモーン!」


 とりあえず叫んでみた。


 相変わらず空は青く、それと対比するように地上は暗い色をしている。これは悲しみの色だ。


 地球に一人で取り残されたからそう感じるのかもしれない。


「呼びましたね。どうも、ナビゲーターです」


 私が一人で感傷に浸っていると、背後から声をかけられた。


 それに、私は気だるげに声を返す。


「はぁ、男か……」

「なんだっていうんですか、いきなり」

「だって、男だし……」

「それに男男って言いますけどねえ、ボクは一時的に男の姿をとってるだけで、本来は性別が存在しません」

「おにゃのこじゃないなら帰っていいよ……。チェンジで」

「わかりました。では」


 そういって消え、私はまた一人ぼっちに。


 あれだな、高校の入学式の日にやった自己紹介のあとみたいだ。


 前の席に座ってた男が、「なあ、あれってどこまで本気なんだ?」って聞いてきたから「何よ。あんた女の子なわけ?」って聞いたあと一週間ぐらいみたいだ。


 誰も話しかけてこないんだもの。


 だから裏で女の子捕まえて食べてしまいましたとさ。めでたしめでたし。


 あ、めでたくないや。


 今、私に妹(百合的な意味で)は一人もいない。


 それどころか私しかいないのだ。


 そんなのって。


 目元を触る。


「これは心の汗だからノーカン。うん、そうしよう。だから泣きやめ私!」


 涙って、そういえば悲しい時に出るものなんだな、って再認識した。


          ☆☆☆


「うむ。落ち着いた。ざまーみろ太陽ーっ!」


 容赦なくギラギラと降り注ぐ光の元凶――太陽に向かって吠える。


 よし、もう泣かない。


 もう後ろを振り返ることはしない。


 心の整理は付いた。


 ならもう一度やるか。


「ナビゲーター! カモーン!」

「別に、そんな掛け声がなくても出てこれるんですけど」


 またも背後から声がする。


 どうやら、背後からの出現はデフォルトらしい。やだなー。おばけとか嫌いなのに。


「どうですか。今度はちゃんと女の姿で出てみたんですけど」

「ごめん、ちょっと私の前まで出てきて」

「どうしたんですか」

「いや、さっき後ろは振り向かないって決めたから」


 それでも律儀にナビゲーターは私の前まで来てくれる。


 女の子スカウター発動。


 ナビゲーター


 身長不明、体重不明、スリーサイズ上から、興味なし―興味なし―興味なし


 容姿


・黒のおかっぱ頭。髪質は一本一本が細く美しい――――けども

・体型は、女の子らしさが出る少し前の幼児体型――――みたいな体型

・服装。リリちゃんに合わせたのか、和装。金魚が鮮やかな浴衣――――なぜか女物



 一般基準をはるかに上回る美貌。


 道行く人間性別問わず、誰もが振り向き、自分が見たものが白昼夢ではないかと確認したくなるくらいに可愛らしい。


 でも、私の女の子スカウターが騙されると思うてか!


「お主、男だな!」

「いや、一体何者ですか、あなた。ボクの女装は完璧のはずですが」

「ふっふっふ、あまり私を甘く見ないことだな!」


          ☆☆☆


「では、もう本題に入っていいですね」


 私に向かって半眼で聞くナビゲーター(※女装)


 なんで半眼なのかっていうと、私が女の子がいい、と散々駄々をこねたからだ。


 結局女装で落ち着いたけど。


 うむ、全く興奮しない。見た目は可愛いんだけど、中身が男だからな。興味なし。


「まず、えーっと、そうですね。この世界の概要について説明いたしましょうか」


 うあー、頭が痛くなりそうな話題キタコレ。


「はい、まずこの世界は、簡単にいうと他の世界から狙われています。Why? それは、この世界の地上に生物がいないからです。ああ、あなたは例外ですよ」


 うむ。なんか英語とか混ぜられてムカついたから殴り倒して、説明の続きを促す。


「いたた……。ええ、あなたには、この世界を守ってもらいます」

「無理!」

「即答過ぎていっそ潔いですね」

「だって無理じゃん。私超能力持ちだけど、『建造物創造ダンジョンクリエイト』っていってせいぜい二階建ての建物を作るのがやっとだもん」

「まあ、そのために凛々様からスキルをもらっていたではありませんか」

「てゆーかさ、スキルって何?」

「はい、説明いたします。パラメータオープンと宣言してください」

「えー? なにそれだっさーい!」

「いい加減怒りますよ」

「はいはい、パラメータオープン!」


 宣言と同時、目の前に半透明の薄い板みたいなのが現れる。


 見たことあるよ。


 超能力:Ⅳ群『閲覧機能』(相手の簡単なプロフィールがわかる)と似てる。


 でも書いてある情報が違う。


「まず、それはスキル『情報閲覧パラメータメニュー』です。


==========


 菱川ひしかわ夏希なつき 19 ♀ 『        』


HP1690/1690

MP1920/1920

AP1450/1450

 

筋力    72

器用度   29

素早さ   91 

知力    89

精神力  172

運気    16


アクティブスキル

建造物創造ダンジョンクリエイト』『生物創造モンスタークリエイト』『道具創造アイテムクリエイト』『情報閲覧パラメータメニュー

パッシブスキル

『魔王化』

固有スキル

『女の子スカウター』


==========


「ちなみに、表示された枠は任意でないと第三者に見せることはできません」

「便利だね」

「で、最上段左から順番に、名前、年齢、性別です」

「ねえ、この『』で囲まれた空白なに?」

「その説明は後ほど」

「じゃあ次。HPとかMPとかはなんとなくわかるけど、APってなに?」

「はい。説明します。

 まずHP(ヒットポイント)。これは、あなたの生命力だと思ってください。これが0になれば死にます。

 次にMP(マジックポイント)。これを消費してスキルを発動することができます。これが少なるにつれて倦怠感、体の痺れ、などの状態になり、0になると全回復するまで気絶します。

 最後にAP(アタックポイント)。これは、スキルを使わない通常の攻撃――例えば剣撃や銃撃を行うと徐々に減少し、0になると全身筋肉痛で倒れます」

「うわー、なにこれ誓約だらけ……」

「次が、基礎パラメータの説明です。上から順に、

 筋力。攻撃力とイコール。これが高いほど重いものを持ち上げることができ、少し素早さも上がります。

 器用度。これはそのまま、技の命中率になりますね。あと、高いほど細かい作業が簡単になります。

 素早さ。これも言葉のままですね。高いほど素早く動くことができ、少し攻撃力も上がります。

 知力。スキルを用いた攻撃力のことです。高いほど魔法攻撃力が上がります。あ、魔法っていうのは物理攻撃以外の攻撃を指します。

 精神力。これはスタミナみたいなものです。攻撃を受けたときにどれだけ持ちこたえられるか。まあ、防御力とスタミナが合体したものだと思ってください。戦闘中は徐々に減っていきます。

 運気。これが高ければ高いほど何をするにしてもその人にとって幸運となる結果が起きやすくなります。ちなみに、一般人が15程度です」

「敵は誰もいないんだけど、何と戦うの?」

「いえ、今度、説明が必要になった時にいたします。

 そして一応最後、スキルですね。

 アクティブスキルの前にパッシブスキルの説明を先にさせてもらいます。

 『魔王化』名前はこんなのですが、中身は《不死身》《他スキル魔強化》《パラメータ強上昇》《称号会得》《二つ名会得》です。

 《不死身》はそのまま、不老不死になります。事後承諾ですいません」

 

 とりあえず、いいよー、とだけ返事。


 それで?


「《他スキル魔強化》は、自分の持つスキルを強化します。ここでアクティブスキルについても説明を入れますね。

 『建造物創造(ダンジョンクリエイト)』は、自由に建造物を建て、また、その内部であれば自由に組み替えられたり罠を設置するスキル、で間違いありませんね?」

「うん、建てられるのはせいぜい二階建てのお家くらいの大きさになるけどね」

「それが、魔王化により自分を中心に最大直径4kmのダンジョンを作ることができるようになります。

 次が、『生物創造モンスタークリエイト』。これは、本来は名前のとおり生物、獣であったり鳥であったり、魚、植物などを生み出すスキルです。しかし、《他スキル魔強化》によってこの世ならざる生物、例えばゴブリンであったりコボルドであったり、猫又であったり、マンドレイクであったりと、俗に言う化生けしょうの類を創造することができます」

「うん、猫娘ケットシーとか鳥娘ハーピーとかも出せそう」

「下心が見え見えですね、出せますけど」

「よっしゃぁぁぁぁぁあ!」

「……はぁ、言っておきますけどね、『生物創造モンスタークリエイト』で生み出した生物は一切生み出した人間の言うことを聞きませんよ」

「……それでもいいもん。遠くから愛でるもん」

「そうですか。なかには凶暴な個体もいますので、気をつけてくださいね。

 では次、『道具創造アイテムクリエイト』。これは名前のまんまですね。生活必需品であったり嗜好品であったりを自由に想像できます。もちろんこれら創造系のスキル3つはそれに応じてHP、MP、APを消費しますけどね。

 『情報閲覧パラメータメニュー』ですが、特にこれは何も変化しません。

 あと、固有スキルも特になにも変わることはありません」

「あれ? 女の子スカウターが固有スキルになってる」

「ええ、スキル認定されたようですね、凶悪すぎるので」

「それは褒め言葉だよね? 喜んでいい?」


 ナビ君はわざとらしく咳払いをすると、話をつなげた。そんなに答えづらいか。


「では、《パラメータ強上昇》についてですが、これは名前通り、基本パラメータが幸運以外五倍になるものです。あなたは一般人とほぼ同じでしたので、一般人五人分くらいだと思ってください。ただ、精神力だけは初期状態から一般人の三倍くらいありましたけど」

「うーん、多分、粘りの姿勢で同じクラスの女の子を全員百合属性にしたりとかしてたからかな」

「……なにやってんですか、一体。……ああいえ、説明はいりません。

 《称号会得》ですが、これは何かやるたびに順次追加されていきます。今は何もない状態ですが、この説明が終わり次第《魔王》が追加されると思うので、後で確認しておいてください。

 《二つ名会得》は、魔王として行動した結果民衆があなたにつけた名前が浸透した場合に、その二つ名が追加されるスキルです。これも今は何もありません」

「じゃあ、これで一通り説明は終わり?」

「いえ、先ほど飛ばした『』の空欄について。これは魔王としての通り名です。別に名乗らなくてもいいですが、この通り名に応じてあなたの属性、ダンジョンの属性が決まります。また、通り名が決まることでレベルも設定されます」

「レベルってなに?」

「レベルとは、魔王に存在する力の階級のことです。最大が15で、魔王のレベル=ダンジョンのレベルです。レベルが高ければ高いほどダンジョンに設定できる階層が増え、強いモンスターも生み出せることが可能になります。また、レベルが上がるとPP(パラメータポイント)が貰え、それを好きにパラメータに振り分けることができます。

 また、レベルを上げるには経験値が必要で、経験値は自分の作ったダンジョン内で自分が作ったもの以外を、自分が作った生物モンスターもしくは自分で破壊すれば入ります」

「ゲームみたいだね」

「凛々さまのRPG好きにはボクたちは困っています。

 ……レベルがあがると新しいスキルを覚えることが可能になります。1レベルにつき1、SP(スキルポイント)を得、それと引き換えにスキルを憶えます」

「じゃあ、最大で14個スキル増えるんだね?」

「いえ、最低で14個です。固有スキルは完全に個人の技量によるものなので」

「ふぅん、なるほど」

「では、あなたに凛々さまから通り名をいただいています」

「お? どんなの?」

「『高貴なる百合の女王』です」

「そこはかとなく悪意を感じるんだけど」

「凛々さまにまで何をしたんですか」

「特になにも」


 してない、と思う。


 そんな気がした。


 ナビ君から目を逸らすと、空を見上げる。


 青空が、目に染みた。


「ちょっと、絶対なにかしましたよね?」


 知らない。


==========


 菱川ひしかわ夏希なつき 19 ♀ 『高貴なる百合の女王』Lv1


HP1690/1690

MP1920/1920

AP1450/1450

 

筋力    72

器用度   29

素早さ   91 

知力    89

精神力  172

運気    16


アクティブスキル(任意で発動)

建造物創造ダンジョンクリエイト』『生物創造モンスタークリエイト』『道具創造アイテムクリエイト』『情報閲覧パラメータメニュー

パッシブスキル(常に発動)

『魔王化』

固有スキル(本人が編み出したスキル)

『女の子スカウター』


【称号】

《魔王》

【二つ名】

現在二つ名はありません


==========

 もう少ーし説明会は続きます。


 攻めてくる敵についてと、ダンジョンの作成方法、モンスターの作成方法、この世界の守り方についてです。


 次こそは、ダンジョンを作成したいと思います。


 頑張れ私!

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