ニセ札業者が世界を救う
地球上では人類の争いが続いていた。進歩したテクノロジーは軍事に応用され、世界各地の紛争は激化している。紛争は貧しい国々で起こり、貧しい国では多くの人々が苦しんでいる。紛争の背後には武器を供給する、巨大な軍事会社があり、先進国の軍事会社は暴利を貪っていた。先進国の人々は貧しい国の人々を虐げて豊かな生活をしていた。
パリサイ博士は先進国でニセ札を作っていた。パリサイ博士はニセ札作りの専門家で毎日、より良い製品を作るために研究していた。パリサイ博士のニセ札は日々完成度を高めていた。
「完璧だ。このニセ札は本物と区別がつかない。本物のお札と同じ原料を使って、本物のお札を作るのと同じ印刷方法で作ったのだ。このお札は機械に通しても区別がつかない。」
パリサイ博士は得意げに助手たちに話しました。
「でもそれじゃあ、本物のお札ではないですか。このニセ札が本物と同じ紙でできて、印刷も同じなら、本物と一緒の作り方をしているじゃないですか。そりゃ、機械でも判断できませんよ。出来上がるのは本物のお札なんだから。」
助手がいいました。パリサイ博士の作ったニセ札は、本物と同じ原料をお札を作っている業者から貰い、印刷設備も、本物を作っている業者から譲ってもらったものでした。しかし、パリサイ博士のお札はニセ札に違いはありません。博士の作るお札には国家の許可がありませんでした。博士がもしおカネを作っていることが国家にバレたら、縛り首になってしまいます。博士はそれでも、どうしてもやらねばならないことがありました。
「よし、これでニセ札は完成した。あとはどんどん印刷してくれ。なんたって、このニセ札を印刷するにはほとんど金がかからない。勝手に作っているからね。とにかく大量のお札が必要だ。」
パリサイ博士たちはそれから数日必死でニセ札を作りました。倉庫にニセ札が入り切らなくなると別の倉庫を借りました。倉庫を借りるときのおカネはニセ札で払います。それでもおカネは足りないようで、パリサイ博士は新しく巨大な倉庫を借りました。そんな日々が数ヶ月続きました。
「よしこれだけあれば十分だ。このニセ札で先進国の軍事会社の株を買うぞ。証券会社に行って、株をどんどん買ってくれ。カネはいくらでも出す。ニセ札だけど。足りなければ、すぐに印刷するから言ってくれ。とにかく軍事会社はいくつもある。その全てを我々で買収するのだ。」
パリサイ博士は言いました。パリサイ博士は先進国の軍事会社が貧しい国々を利用して紛争をしていることが見ていられなかったのです。それで、パリサイ博士は軍事会社を買収して、自分の会社にしようとしました。会社をパリサイ博士のものにできれば、博士の意のままに操れると思ったのです。
軍事会社の買収はうまくいきました。パリサイ博士がニセ札で一気に買収したので、軍事会社は対応をする暇もありませんでした。買収は現金であっという間に終わってしまいました。パリサイ博士もこんなにうまくいくとは思っていませんでした。助手達が軍事会社の株をどれだけ釣り上げられても、買ったのが功を奏したのです。
このニュースは一気に世界全体に広がりました。まさか巨大な軍事会社が一時に買収されるとは誰も思いませんでした。人々は世界全体を巻き込む戦争の勃発を恐れました。
パリサイ博士は人々の不安を鎮めるため世界に向けて、語りました。
「私は先進国の軍事会社が貧しい国で紛争をわざと起こして、莫大な利益をあげていることが許せなかったのです。私も先進国の人間です。私の生活も、貧しい人々の上に成り立っていることを十分に理解しています。だからこそ、それをなんとかしたいと思ったのです。私は軍事会社を買収しました。
私が買収した軍事会社はこれからは平和のための会社となります。私は軍事会社を変えるために買収したのです。これから、我々の会社は世界各地で地雷の除去をします。紛争地帯で難民の人たちを守る活動をします。我々が起こした、紛争は我々が解決をします。もちろん平和な方法で。
とにかく、私は世界を平和にしたかった。そのために軍事会社を買収したのです。」
パリサイ博士の会見は世界中で放送されました。心配していた人々も、博士の会見を見て安心しました。しかし、パリサイ博士の本当の困難はこれから始まります。とにかく、世界がより安全になることを祈るばかりです。




