魔王ワタエ過去編・序章
この物語は、今後ショートストーリーやキャラクター紹介など、
さまざまな形で少しずつ展開されていきます。
すべてが明らかになる時期は未定です。
物語は断片として現れながら、
やがてひとつの世界へと繋がっていきます。
魔王ワタエ過去編・序章
――世界が生まれる前の物語――
まだ「魔王」という言葉が、
恐怖でも、支配でもなかった時代。
世界の片隅で、
間魔と悪魔だけで構成された小さなチームが生まれた。
理由は、単純だった。
困っている人間を、
困っている種族を、
助けてしまった悪魔たちがいた。
それだけで――
世界は彼らを“異端”と呼び、
同時に“希望”とも呼んだ。
やがてその中心に立ったのが、
ひとりの男。
暗く、静かで、感情を表に出さない存在。
だが――
彼の中に宿る悪魔は、真逆だった。
明るく、よく笑い、よく怒り、
誰よりも“人”を好きだった。
その二面性が、
彼をリーダーにした。
力ではない。
支配でもない。
「誰も切り捨てなかった」
それだけが理由だった。
⸻
やがて、チームは解散する。
戦いすぎた。
守りすぎた。
失いすぎた。
そして――
第二の冒険が始まる。
きっかけは、
ひとりの小さな男の子だった。
その正体は、
かつてバラバラになった世界を統べていた
“全王”の成れの果て。
壊すのが苦手で、
殺すことができず、
それでも――
“強すぎる存在”。
その子は言った。
「ねぇ……魔王になってみない?」
それは命令じゃなかった。
勧誘でもなかった。
ただの“お願い”だった。
そこから、
第二の物語が始まる。
⸻
やがて仲間が増え、
世界が増え、
種族が増え、
運命が絡まり、
第三の物語が始動する。
英雄たちの時代。
いろんな世界から集められた存在たちが、
世界を守るためのチームとなり、
•世界の構築
•世界の安定
•世界の修復
•世界樹の組み立て
•次元構造の再設計
神話級の作業を続ける。
そして最後に残ったのは――
神の子と、
魔王だけだった。
ふたりだけの旅。
世界を歩き、
世界を見て、
世界を知り、
そして――
ひとつの“選択”をする。
⸻
その後、起きたのは「誤解」だった。
逃げてきた母。
裏切りと勘違い。
追われる存在。
追う存在。
だが裏では、
**“似ている存在”**が動いていた。
本物ではない“何か”。
影。
模倣。
歪んだ存在。
真実は、
誰にも届かなかった。
そして――
解決されないまま、
新しい世界が創られる。
⸻
それが、
今の世界の原型。
ギルド町を中心に構築された世界。
•天使たち
•困っていた種族
•逃げ場を失った存在
•世界を失った者たち
•居場所を持たない者たち
すべてを、そこに集めた。
魔王は選別しなかった。
善も、悪も、
神も、悪魔も、
人も、異形も。
「生きたい」と思った存在だけを迎え入れた。
⸻
能力の暴走。
種族間の衝突。
世界適応の問題。
精神崩壊。
力の暴走事故。
それらすべてに対応するため、
研究が進められ、
制度が作られ、
結界が張られ、
世界が“管理可能な構造”へと変わっていく。
世界は、
安全な檻になった。
優しい檻。
逃げ場のある檻。
生きるための檻。
⸻
神の子は、
その世界を気に入った。
そして――
眠った。
あまりにも強すぎる存在だったため、
世界に負荷をかけないように。
短い眠りではなく、
長すぎる眠り。
月単位でも、年単位でもなく、
“時代単位”の眠り。
神は、世界に溶けた。
⸻
そして――
その世界で、
主人公は生まれる。
魔王ワタエの子として。
カゲナの父として。
物語の“結果”として。
そして――
その世界で、
ふたりの存在が生まれる。
同じ時に。
同じ運命に。
だが――
同じ空間ではなかった。
ひとりは、カゲナ。
ひとりは、リア。
ふたりは双子でありながら、
別々の空間で生まれ落ちる存在だった。
⸻
リアが生まれる瞬間――
世界は“構造”を変えた。
新しい種族が誕生する。
武人。
魂と肉体と武を融合した、
まったく新しい存在。
同時に、
新しい世界が構築される。
秩序を基盤にした世界。
守るための世界。
生きるための世界。
⸻
一方、
カゲナが生まれる瞬間――
世界は“闇”を動かした。
悪魔たちが生み出され、
影が意思を持ち、
闇が“概念”として動き出す。
同時に、
新しい空間が創造される。
混沌の世界。
可能性の世界。
壊れるための世界ではなく、
変化するための世界。
⸻
最初の始まりは、
どちらも“光”だった。
純粋な光。
無垢な存在。
まだ世界でも、闇でも、秩序でもない状態。
だが――
その力は強すぎた。
だから母の腹の中で、
魔法によって封印される。
抑えられ、
包まれ、
守られ、
外に出ないように制御されていた力。
⸻
そして時が来る。
父は、カゲナを連れて空間へ。
母は、リアを連れて世界へ。
それぞれ別の空間へ。
それぞれ別の世界へ。
そこで――
封印は解かれる。
解放される力。
流れ出す存在。
形を持つ運命。
世界は分岐し、
空間は拡張し、
種族は生まれ、
闇は動き出す。
だが――
それは、破滅の始まりではなかった。
争いの始まりでも、
終焉の予兆でもなかった。
それはただの“始動”。
世界が、
世界として動き始めた瞬間だった。
光と闇が分かれ、
秩序と混沌が生まれ、
選択と運命が交差し、
まだ名も持たない“物語”が、
静かに息をし始める。
誰も知らない。
誰も気づいていない。
誰もまだ、理解していない。
だが確かに――
この瞬間から、
世界は「物語」になった。
⸻
これは、英雄の物語ではない。
これは、神の物語でもない。
これは、魔王の物語でもない。
これは――
世界が、世界になるまでの物語。
そして同時に、
カゲナとリアが生まれるための物語。
ここからすべてが始まる。
光も、
闇も、
秩序も、
混沌も、
選択も、
運命も――
すべては、この瞬間から。




