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異世界生活でまるっと分かる中学社会〜公民編〜  作者: 紅茶


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以下、小春の授業シリーズ・新エピソード「国民主権と代表民主制」



「みなさーーーん!おはようございまーーーす!!!」


朝からエンジン全開の嵐山先生が、教室のドアを吹き飛ばさんばかりの勢いで入ってきた。毎度のことだが、テンションが高すぎて逆に眠気が深まる不思議な現象が発生する。


「というわけで今日はですねええええ!!“国民主権と代表民主制”についての授業です!!もう、聞いただけでわくわくドキドキしてきません!?……してない?小春さん?」


「してません。むしろ絶望を感じています。朝イチから代表民主制て。」


「うん、いいリアクションですねえ〜!君の冷静なツッコミが私のテンションをさらに高めてくれる!」


(この人は教師というより舞台俳優に向いてるんじゃないか……)と思いつつ、小春はノートを開いた。



---


「まずですね、前回やった大日本帝国憲法では、“天皇主権”でした!つまり、“国の政治の源は天皇陛下であ〜る”という考え方だったんですな。で、国民……いや“臣民”には、“納税”と“兵役”というガチ重たい義務がありました!」


「権利もあったけど、すぐ“法律の範囲内”っていう呪文で消されましたよね。あれはひどい。」


「そう!!素晴らしいフォロー小春さん!さすがA評価だ!さてさて!!今日のテーマである“国民主権”とは、つまりーー」


 バァン!!


 ホワイトボードに太字で書かれたのは、でかでかとこうだ。


 《国民主権=政治の決定権は国民にある》


「主権、つまり“国の在り方を最終的に決める力”は、もはや天皇陛下ではなく、我々“国民”にあるわけです!!いやあ、現代日本、我々に全部かかってるってわけですなあ!!どうですか皆さん!!責任重大ですよ!!」


「先生の言い方だと責任の押し付けに聞こえるので、もう少し柔らかくしてもらえますか。」


「なるほどなるほど、じゃあこう言い換えましょう。“政治は国民みんなの力で良くしていこう!”」


(中身は同じだけど、言い方でごまかしてる……)



---


「じゃあ次に、天皇の立場、どう変わったかというとですねえ〜」


 先生はボードに線を引いて、二つの時代を比較し始める。


「はい注目!!今の日本国憲法では、天皇は《日本国の象徴》《日本国民統合の象徴》とされていて、“政治を動かす存在ではない”んです!」


「憲法第一条にちゃんと書かれてますね。あと、国民の総意に基づく、って一文も重要。」


「その通りィイイ!!」


 そしてさらに先生は、「皇室典範」についても説明を始めた。


「天皇陛下や皇族に関する細かいルールは、憲法じゃなくて“皇室典範”という法律に定められてます。つまり、皇位の継承、結婚、離脱、その他もろもろはここで決められてるわけですね〜。ちなみにこれ、憲法じゃないけど、ガチで重要だから覚えておくように!」



---


「さてさて、天皇が政治に関与しないってことですが、じゃあ“天皇のお仕事”は何かって言うと、これが“国事行為”です!」


「憲法第7条ですね。内閣の助言と承認が必要って条文も忘れちゃだめ。」


「ナイス補足!!そう、“天皇の行為”は、全部“内閣のアドバイスとオーケー”が必要なんですよ〜。逆に言うと、勝手にやっちゃだめ!たとえば“首相を任命する”のも、選んでるのは国会、決めてるのは内閣。その形式だけを天皇がやる、ってこと!」


「象徴ってのは、いわば“日本国の儀式の主催者”みたいな立場ですね。」


「素晴らしい例え〜〜〜!うちのクラス、将来憲法学者出るな、これ!」



---


「じゃあ、国民主権ってどう実現されてるか!ってことで、代表民主制(間接民主制)に行きましょう!」


 嵐山先生は板書を加速させる。


《代表民主制=国民が選んだ代表者が政治を行う仕組み》


「要するに、全部の法律を国民が直接決めるのは大変だから、選挙で代表者を選んで、その人たちに任せるって方式ですな!議会、内閣、市町村議会、ぜ〜んぶこの制度で成り立ってます!」


「たとえば、国会議員、地方議会議員、知事、市長とかですね。」


「そのとーり!!」



---


「でもでも!時には国民が直接決める“直接民主制”もあります!これは、代表制の補完ですな!」


「憲法改正の国民投票、住民投票、リコールなどですね。」


「うん、正解だらけで先生もう感動して泣きそう!!」



---


「さて、ここから憲法の仕組みのラストスパート!!」


「ラストスパートが一番長いってよくあるパターン……」



---


「憲法は“最高法規”です!憲法第98条第1項に明記されてますな!」


《憲法は国の最高法規であり、法律、命令その他の国の行為のうち憲法に違反するものは、その効力を有しない》


「つまり!法律とか条例が憲法に反したら、その部分はアウト!!無効です!!ブラックカード切って強制終了です!!」



---


「さらに第99条、“憲法尊重擁護義務”ですな!これ、誰が守らないといけないかというと……?」


「天皇、摂政、国務大臣、国会議員、裁判官、公務員、ですね。」


「そのとーおーり!!!国の機関の人たちには、憲法守る義務がある!逆に言うと、国民には“守らなきゃいけない”とは書かれていない。“尊重はされる側”なのが国民!これ大事なポイント!!」


「はえー、国民は憲法改正守らなくていいんですか」


「せやねん! まじでここポイントな? 国民は守らなくていい、例えば会社とかもね。会社に『憲法違反だ!』って怒っても、『俺国じゃねぇし』って反論されちゃうわけ。おーけー?」


「おーけー」


 小春は心の中で、何かそういう事件とかあるのかな、と疑問に思った。


「それは三菱樹脂事件で触れるよ! 思想・良心の自由の内容でやるから、今は気にすんな!」


 小春は、心を読めるのかよ、と心の中で突っ込んだ。



---


「そしてそして!!いよいよ……!“憲法改正の手続き”だあああ!!」


 ホワイトボードに赤で書かれたのは《第96条》。


「衆議院・参議院それぞれで、総議員の《3分の2以上》の賛成で発議!!そして《国民投票》にかけて、《有効投票数の過半数》で可決!!」


「“総議員”に対しての3分の2っていうのがミソですね。欠席者が多いと発議できないこともあります。」


「正解!あと、“国民投票の過半数”っていうのも、“投票した人の中で過半数”だから、投票率が低くても成立するってのが注意点!」



---


「というわけで!!今日はここまで!!国民主権から憲法改正まで、ギュッと詰まった激アツ回でした!!」


 机に突っ伏しているクラスメートたちの中、小春は静かにノートにまとめを書いていた。


「次は三権分立か……嵐山先生のテンション、大丈夫かな……」


 心の中のつぶやきに、なぜか先生が反応した。


「次回!!三権分立編!君は、権力の暴走を止められるか!?Coming soon!!!」


(だから、なんで心の声に反応できるんだこの人は……)


 朝の光が、どこか眩しく感じられる春の日だった。


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