まじゅうのたおしかた
「はぁ~・・」
王立魔法学院初等部1年Aクラス担任のミズ・ウィーズリーはため息をついていた。
「どうしました?」
「いえ、この子の夏休みの自由研究なんですけど」
「どれどれ。リュミエラ・セントエクレール。伯爵家のお嬢さんですね。『まじゅうのたおしかた』。おお、将来有望じゃないですか」
『魔獣の倒し方
魔獣は人類に危害を加えるので、見つけ次第倒すべきです。
その倒し方を研究しました。
暴力では大人でも魔獣にかないませんので、剣か魔法で倒します。
魔法学院の生徒なので、魔法で倒すこととします。
ただ初等部では6年生でも初期魔法しか使えません。
なので初期魔法での倒し方を研究しました。
魔法使いは、近づかれて直接攻撃されると弱いので、遠くから狙います。
まず動けなくします。
中級になるとバインド魔法もありますが、初期魔法では無理です。
土魔法で手足に土のかせを作っても、力の強い魔獣にはききません。
火魔法で前に火の壁を立てても飛び越えてきます。
水をかけても風を当てても無理です。
そこで足場に働きかけます。
足場を土魔法で砂に変えます。
砂を生むのではなく、土から砂への変換なので簡単です。
そこを水魔法で湿らせて、ぬかるみにします。
泥の上ではふんばりがききません。沈みます。
体重の重い人ほどよく沈みます。出てこれません。
これで拘束は終わりです。
生き物は泥より軽いので、最後まで沈んでくれないのです。
次に攻撃です。
次と言っても拘束を待ってからではなく、泥を作り終えたらすぐにします。
まず目や耳を土魔法の土でふさぎます。
魔獣は混乱してしまいます。
次に魔獣の鼻や口を水魔法の水で覆います。
生き物は息ができないと死にます。窒息して倒せるはずです。
鼻や口に土魔法の土で埋めるのもいいですが、吐き出されて終わりなので、
吐き出されてもまた生成しやすい水のほうが有利です。
水の固定や生成は、魔獣が窒息するまで続けます。
魔獣によっては長くかかるかもしれません。
もうひとり友達がいてくれて攻撃をしてくれたらなおいいです。
そのときは同時に急所への攻撃を頼みます。
燃えそうな毛並みなら火をつけます。望み薄ですが。
腹や股を火あぶりします。沈んでいなければ。
どちらも無理なときは頭をずっと火あぶりしてもらいます。
なお全て魔獣ではなく、盗賊でも対処は同じです。
ただし1体のときの想定なので、数が多いときはまた次に考えます。』
「おお、よくできてるじゃないですか」
「・・・・・・」
「はぁ~・・」
ミズ・ウィーズリーは、またため息をついた。
おしまい