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ホワイトクリスマス  作者: 米森 充
1/3

最後のホワイトクリスマス


 十日前、母は去った。父は半年前に姿を消した。


 私の名はさち

 でも名前の意味とは縁遠い幸薄い女の子だ。


 私は今日の誕生日で8歳になる。

 でも家の中には食べ物は無い。

 冷え冷えとした部屋の中は、薄い布団があるのみ。

 窓の外にお隣さんのキラキラ光るイルミネーションが見える。

 その家には優し気なお母さんと、お父さんの姿が見え、子供たちと楽しそうに飾り立てたクリスマスの飾りから、幸せが伝わってくる。



 もう1週間、何も口にしていない。

 水だけの暮らしに限界が来たようだ。

 電気を止められたこの部屋は、窓の外のチラチラ光る明かりだけが光を灯している。   


 家に電話は無い。

 学校か児童相談所の人かわからないが、2度ほどドアを叩いたが、私は出なかった。

 あの怖い借金取りかもしれないから。



「誰か助けて!!」

心の叫びは誰にも届かない。

お母さん、お父さん・・・・。」

逢いたい。でも願いが叶う事も無かった。


神様・・・・。


神様って本当にいらっしゃるのかしら?

どうして私は助けてもらえないの?



窓の外からお隣の幸せそうな子供のはしゃぐ声が聞こえてくる。

今日はホワイトクリスマス。

きっと一年で一番幸せな時を過ごせているのでしょう。

神様の祝福はお隣に有って、私にはやってこない。

今日は私の誕生日。

ひとりきりのクリスマスの夜。

寒さと空腹で気が遠くなってくる・・・・。


私には何もない。

母が去年の誕生日に買ってくれたお人形だけが唯一の友達だ。


空腹で眩暈めまいがする。

薄い布団に横たわりながら、お人形のマーガレットを隣に寝かせる。


 誰も救いに来てくれない。

 神様もいらっしゃらない。


 ホントは神様なんていないのかも?

 あぁ、目の前が暗くなる・・・・。

 意識が遠のく・・・。



 幸は永遠の眠りについた。





とうとう神様は来てくれなかった。








      つづく






 幸の前に神様はいません。


でもこの物語を読んで悲しんでくれた人の数だけ、涙を流してくれた人の数だけ、幸の魂は救われたのだと信じたい。

 幸の前に神様はいません。


でもこの物語を読んで悲しんでくれた人の数だけ、涙を流してくれた人の数だけ、幸の魂は救われたのだと信じたい。

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