第1章 第15話 ホレスさんとの出会い
転移15日目 ファイの村近くの洞窟
ファイの村を出て、7日目に入り、セイヤの目覚めから、洞窟前の討伐、朝食迄が、朝のルーティンになった。
今日は、鋼のアクスを装備して、斧のスキルの獲得を目指してみた。
今日は、ゴブリンの巣穴方面から、川の方に進んで、川沿いを下って行く事にした。
何時もの様に、討伐・採取をしながら川の方迄進み、前回来た辺りから、川沿いに進んでいった。
川沿いを進んで行くと、街道と思われる所で、喧騒が起きており、馬車に護衛が、オークの群れに囲まれていた。
不意の奇襲であったのか、護衛に怪我人が出ており、危険な状態だった為、セイヤは加勢する事に決めた。
「加勢します!!! 馬車の周りを囲みますので、気をつけて下さい!」
セイヤは、馬車の周りに、土壁を建て、護衛が一方向ノミに守備を固める事で、態勢を立直せる状態にし、回りに壁を建てて、取り逃がしが無い様にしていく。
螺旋に壁を建て、端からオークを退治していくと、態勢を立直した護衛達と、途中で出くわした。
自分で倒したオークを、ボックスに納めていき、土壁を崩していった。
護衛達が倒したオーク、馬車、護衛達になった街道で、護衛の隊長と思われる人が近づいてきた。
「この隊の隊長をしている、モールだ! 加勢、ありがとう! おかげで助かった! 」
「冒険者兼行商をしている、セイヤです。 こちらで倒したオーク、回収していきましたが、良かったでしょうか?」
「もちろん! あっ、回復ポーションに余裕はないか? 怪我人が出ている!」
「こちらをお使い下さい。」
セイヤは、回復ポーション(F)10を、背負い袋から出し、隊長に渡した。
「お~~ぃ コレで、負傷者の回復を!! ありがとう!!」
「こちらの、オークの遺体は、どうしますか? 取り出すのは、魔石だけですか?」
負傷の無い護衛達は、負傷者の回復と、オークからの魔石・討伐部位の回収組とに別れ、手早く魔石・討伐部位の回収をしていた。
「そうだな、こちらは領都に向かっている。 全てを持ち帰る事は出来ない。」
護衛の倒した、魔石・討伐部位の抜かれた、8匹のオークが残されていた。
「では、こちらで買取りします。 銀貨36で良いでしょうか?」
「買い取るってぇ!! ポーションの金も払ってないのに! ありがたいが、持ち帰れるのか?」
「ポーション代は、銀貨18で良いですので、差額の銀貨18です。」
セイヤは、背負い袋にオークを入れながら
「ボックスを持っているので、多少は入ります。」
「ありがとう! これで、護衛の皆に、特別手当が出せる。 これから、どちら迄行くのかな?」
「ファイの村迄、行商に来ていたら、村の周りの魔物が多くなった、との事だったので、森に討伐に出ていました。 これから、ファイの村に戻るところです。」
「そうか! 魔物が多くなっていたのか! では、ファイ村迄、護衛の仲間に加わってくれなか? 報酬は出すので。」
「わかりました。 ファイの村迄、護衛します。」
「ありがとう。 ギルド経由の依頼も出しておくので、後で、ギルドから報酬を受け取ってくれ。 受け取り人指定の依頼としておくので、セイヤさん指定にしておく。」
隊長のモールに伴われ、馬車に行くと
「ホレスさん! こちら、加勢して下さったセイヤさんだ! ファイ村迄の護衛を請負ってくれた。 この辺で、魔物が増えており、護衛を増やしたい!」
「ありがとうございます! セイヤさんのおかげで助かりました。 護衛の増員ですね。 わかりました、報酬は私が準備します。」
「なんでも、この辺で魔物が増えており、ファイ村の周りを討伐していた様です。 セイヤさん、こちら、領都では大店のホレスさんで、隣領への商いの帰りだった。」
「セイヤです。よろしくお願いいたします。 大店ですか! どの様なお店なのか、この辺が詳しくないのですが、領都に行ったら、拠らせていただきます。 小さいながらも、行商をしているので、なにか商い出来るかもしれないので。」
「セイヤさんは、行商もしているのですか! 商いになる物があったら、お願いいたします。この辺は、まだ大丈夫ですが、盗賊も出ますので、お気を付けください。」
「盗賊ですか! 捕まえたら、どうなります?」
「盗賊をか? 首を衛兵所に持っていけば、精査されて、報奨金が出る事も有るし、捕まえたら、精査されて、犯罪奴隷の売り上げの一部も出る!」
「そうなのですね。」
ホレスの馬車を、護衛しながら、ファイの村に向かった。
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途中、何度か魔物と遭遇しながら、ファイの村を目指した。
何度かの魔物との遭遇で、グリーンウルフ5・ホーンラビット7・ゴブリン8を倒し、護衛折半としての取り分グリーンウルフ1・ホーンラビット1・ゴブリン1、以外の魔石・討伐部位・ホーンラビット肉を抜かれた遺体を、銀貨13・銅貨50で買取り、ボックスに入れていった。
ファイの村に近づくと
「なんだありゃ!! ファイの村が、城塞になってやがる!!」
先頭に居た、モールが叫んだので、商隊は止まり、皆が驚いていた。
ホレスさんも、馬車から出てきて、驚いていた。
「何時の間に、ファイの村は城塞が出来ていたんだ! 隣領に向かった時には、なかったぞ。」
「あっ、アレ、僕が7日程前に土壁を建てました。 村の防衛力強化に…」
ホレスさん達は、近隣の領都を幾つか廻って、商談してきたので、長く領都を離れていたようだ。
「こんな村、近隣にはないぜ! 本当にこんな防備が必要なのか? 」
「でも、近隣で7日間で、300以上の魔物を狩りましたよ。 群れも、3つ程潰しました。」
「そんなに! 領都の騎士団に報告して、対策を取らないと、村が危険だ!」
「村の防具の注文も請けてます。どうにか集まりそうだったので、戻ってきたところです。」
「防具を発注か! でも、武器が無いと戦えないですね 領都に戻ったら、直ぐにも村に送らないと!!」
「武器は、前回訪れた時に、なんとか揃えました。 ランクEが多かったですけどね。」
「無いよりマシだ! 後は、ロングボウや矢等だな!」