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Ep33 Mimicry m@ster ~暴言戦争と進撃の魔人~

この間、友人に「この小説のヒロインって九条彌生だよね?」と聞かれた。私は否定できなかった。 

   

琴音・梨緒「」

 


九条くじょう彌生やよいは飽きてきた。



そもそも基本的に彼女は目についた敵を徹底的になぶり、向かってくるものを撃ち落とすという受けのスタンスである。わざわざこちらから仕掛けるなんて面倒は基本しない。

そんな彼女がそれでもスタンスを変えるのはひとえに真也がいるからである。真也が関わるのなら彼女は自分を曲げることが出来るのである。だというのに、今この場に真也はいない。いや、いるにはいるが彼女のすぐ近くには誰もいないのだった。ゆえに自分がここにいる意味が分からなくなってきたのだ。

あれからテキトーになんのあてもなく30分くらい歩いているが、彼女の『風の知らせ』という索敵スキルを使っても真也を発見することは出来なかった。

というか、『風の知らせ』で探ったデータと自分で歩いて視覚した結果とがなぜか大きくズレている。たぶんこの城を造り出しているキャパシティーの主がルートやフロアをアトランダムで操っているのかもしれない。


「…?やけに広い場所に出たな」


探知はまた外れたようだ。彌生はもはやスキル使う意味はないなと舌打ちした。


「城内によくこんな場所を設けられたものだ。それこそ井の頭公園くらいの大きさはあるんじゃないか?」


高さは先程戦闘が行われたところのおよそ三倍、100m近くはあるだろう。部屋全体は全面コンクリートと実に趣浅いものだったが、田植えの稲のように等間隔に数百も存在する、ちょうどトイレットペーパーの芯の形の金属突起が非常に謎に満ちていた。


「いったい、なんなんだ?こいつは?…っ!?」


彌生はこの時、舌打ちしつつも全感覚広域探知機『風の知らせ』を解除しないで良かったと思った。彌生は気になって覗いていた金属の円柱の奥底から急激な温度上昇を感じたのだ。

咄嗟に地面を蹴りその筒から緊急脱出する。感じた温度は摂氏1700度、すなはちこれは…



「炎かっ…!?」



彌生がそのように言ったと同時に、筒から勢いよく一メートルくらいの火焔の柱が噴き出される。その温度はガスバーナー級で、まともに食らえばただではすまなかっただろう。




「ちぃっ…、頭の丸焼きが一丁あがるはずだったのによぉっ!勘のいい女だ」

「あんっ?」



タッタッという足音と伴に、お腹に響くような、男のバスボイスが聞こえたので、イラつきがてら睨むように彌生はそちらに振り返った。


そこには赤に染めた髪をパーマして、右頬に炎を象ったタトゥーを入れている強面な男がいた。

身長は175cmくらいだろうか、上半身には筋肉質なボディラインを際立たせるタンクトップと、その上に茶色の革ジャンを着用していて、下はやり過ぎな程にダメージがついているジーンズを穿いていた。


「なぁーんか、クソ程も面白くねーセリフ吐いて『俺決まってるだろ』オーラビンビンに出してきてる男がいる気がするんだけどー?」


しかし彌生は全く臆することもなく、いつものように毒を吐き続けている。

その姿を見て少し驚き、そして男は幽かに笑う。


「俺は池袋いけぶくろ連治郎れんじろう

「おいおい、別に聞いてもいないのに自己紹介しだすキモいのがいんだけど?」

「はぁー、よく吠える女だ」

「あ?」


男…もとい池袋が、子供のじゃれあいでも見るような口調でそんなことを言うので、彌生は顔をしかめて威嚇する。相手を挑発に乗せられずに、逆に自分が乗ってしまっている状況だが、彌生の挑発は別に作戦とかではなく癖のようなものなので本人に言わせればどうでもよいのである。



「ブハハハハッ!これが優勝候補ベストテンの九条彌生か…。思っていた以上におもしれぇ女だ。初対面の俺に恐怖や緊張、もしくは勇気を振り絞って震え声で強く見せる…とかじゃなくて、堂々と中傷とは珍しい。こりゃ一ノ瀬サンにゃ感謝しなきゃだな」

「はあ?おいおい面白いことも言えんじゃねえか、見直したぞお前!恐怖とか緊張だなんて、雑魚を目の前にしてんだから、鮎やオオクチバスですらそんな態度はとらねぇよ」


不思議なものである。向かい合う男と女、その両者の顔が作り出す表情は両者共に笑顔であるはずなのに、受けるイメージの方は全く真逆のものであったのだから。彼らは性別、能力、見た目、そのどれもが違うものだったが、その醸し出す雰囲気はどこか共通する邪悪さが存在する気がした。


「ブハハ、俺にそんな珍しい態度をとった人間の末路はだいたい決まってる。喜べ!死よりも残酷な目に遇わせてやるよ!」


池袋はそのように言いながら彌生に近付いていき、彼女の右肩の方に顔を持っていき耳許で囁くように次のように続ける。


「気絶しないくらいの熱さの炎でお前の髪を、爪を、肌を、目を、口の中を順々に炙ってやるよ」


彌生はこの瞬間に風の恩恵を十二分に受けた左腕左拳を池袋に叩き込もうとする。


「っと、あぶねっ」


が、その前にシュッと体勢を戻して、間一髪で池袋は彌生の攻撃を避ける。

今度は彼女が舌打ちをした。それから続けて池袋に物申す。


「はんっ、そんなに私の態度が珍しいものかね?自身を強く見せようと着飾るなんてのは逆説的に弱いことを証明してんだろうが。イモ虫が鳥に食べられないように「毒がありますよー」って、赤やら黄やらの派手な色してんのと同じだろ」

「あれぇ?なんか今、既視感憶えたんだけど、そうだ思い出した!昔、俺に似たような口聞いた男がいたんだったぁ!そいつは確か真っ裸でスズメバチの巣を被らせて、全身腫れ上がった面白人間に転職したんだっけな」

「ねえ?ねえ?お前なんなの?もしかして~、それ面白いとか思っちゃってるわけ?だとしたら、それ勘違いだよ、むしろウザくて激おこプンプン丸」

「気にするな、ただの実話だ。ま、とはいえ彌生ちゃーん、よく見りゃお前は中々の上玉だ。殺す前に、使い物にならなくなるまで犯してやるのも悪くねぇな」


痛苦しいお仕置きで脅しても何の動揺も見せない彌生なので、池袋は方向性を変えて話してみる。



「………はあ?」



すると、彌生が少し声のトーンを下げて、こちらの話に耳を傾けるような疑問語を発してくる。思わぬ反応に池袋は「釣れた」としたり顔をする。

どうやら彼女はこういった性的な話が苦手なのか、もしくは自身のプライドが汚されるのが嫌いなたちなのだろうと池袋は推測してから、言葉を紡ぎ続ける。



「あぁ楽しみだ!この生意気な女のプライドがズタズタになって、あまりのキモチヨサによがった時、お前がどれくらい可愛く啼いてくれるのかを想像すると、それだけで俺は興奮してビンッ!ビンッ!に勃っちまうよ!」

「ゲスが…」


彌生が腹立たしさのみを携えて冷たく一言そのように言う。ただ、彼女がこの心境に至った理由はどうやら池袋が思っていたこととは違うようだ。







「“彌生ちゃん”…だと?ナニ勝手に下の名で呼んでんだよイモ虫野郎が。マジで頭にきたぶち殺確定ムカ着火ファイヤー。そうだなぁ、お前が気絶したら頭の毛からケツの毛に至るまであらゆる毛を削ぎ落としてツンツルテンにして、ネットで晒してやるよっ!!」


言うが早しと彌生は池袋の遥か上空に風の求心体を作り出す。逃げ場を限られた風は集束され疾さと強さを増し、風のハンマーを振りかざすように真下の池袋目掛けて撃ち出される。

彌生お得意のスーパーミクロバーストである。人工積乱雲の冷却空気下降現象もあいまって強力になった下降噴流が池袋を押し潰す。



「?」



が、なにかがおかしい。攻撃が避けられたり、受け止められたりしたわけではない。確かにスーパーミクロバーストは池袋を破壊した、それも“過剰な程に”。

そう彌生が考えた時、この空間にある全ての鉄筒から炎が噴き出される。そして驚くべきことに池袋を破壊した場所ではその炎が集まり“池袋が再生されていた”。


「ブハハハハ、強烈な一撃だな。怖い怖い、だが…、だからこそ打ちのめしがいがあるもんだ」


池袋は凶悪に大声で笑う。彼からは一切の怪我が見えなかった。いや、それよりも彼女は不思議に思った、彼を攻撃した“手応えの無さ”を。それはある性質のキャパシティーを物語っていた。

彌生の推測に応えるように池袋は言う。



変態能力メタモルキャパシティー。風なんかで俺は消せん」


それは自分自身が、とある物質へと変貌するキャパシティーである。


「そして、俺は火炎系最強の中二病患者ヴィクター。もちろんそれだけじゃねえ。これを見ろよ!この豪快にして広大な炎のカーペット!俺は地域支配系能力エフエフシーでもあんだよ!」


彌生は辺りを見回す。一面に炎の森が形成されたような景色が広がっていた。彌生は防御結界を『向かい風の壁ウィンドリフレクション』から先程の戦いで使った、厚さ2mくらいの空気の膜に切り替える。


「…」

「知ってるんだぜ?そいつは先の戦いでひがしのクソ真面目野郎の能力から身を守った、空気の防御膜。おそらく外側に二酸化炭素かなんかを纏わせて火炎の侵入を防いでんだろうが、温度は伝わるんだぜ?いつまで持つか…」

「ったく、よく喋る口だ。私が膜張ってんのはその口から吐き出される臭い息を吸いたくねぇからだよ」


彌生がため息と共に再び毒を吐く。



「あ?」


今度はそれに池袋の方が反応して顔に筋を作る。

そのガンをとばす姿は大の大人ですらすくんでしまいそうな迫力があった。

だというのに、彌生は相も変わらず堂々としている。


「まあ、適材適所ってやつよね。お前みたいなクズがあいつのようにホラを吹くから間違っている」

「はぁっ?そいつはどういう意味だ、そこのアマ」

「何がエフエフシーな上にメタモルよ。くそ笑えるわ!あれは同時には使えないのよ理論上。概念系ノーションにも現象系フィナメナにも火炎系能力は存在するけど発生理論が全く違うの、“多彩能力マルチスキル”じゃあるめえし、嘘だってことがバレッバレなんだよっ!」


彌生が再び雲と風を集め上空からダウンバーストを生成し、池袋より“はるか後方に”撃ち込む。





「はっ、やはり陽炎かい」


轟っと地響きのような音が鳴る。ダウンバーストの余波で巻き起こされた風によって周囲の火炎が一瞬で吹き飛ばされる。そこから、ダウンバーストの衝突地のすぐ横にいる池袋が現れる。


「ブッハッハッハ!いい風だ!女、お前の言う通りだな。俺に小手先は向かねえ。やはり火力で真っ向勝負しなきゃだよな!」

「そうかい?私はどちらかというのならまだ小手先の方が可能性はあると思うけどね」


彼女がそのように言ったのは挑発のためばかりではない。優勝候補ベストテンとは総勢一万人の中二病患者ヴィクターから選ばれた他の追随を許さない最強の十人である。その強さは彼ら十人で残り九千九百九十に匹敵するとさえ言われている程だ。

今の噂は大袈裟にしても、ただの某の中二病患者ヴィクターの本気なんて彼女の前ではたかがしれているのである。


「ブッ…ハッハッハハッハッハ!!」

「………?どうした?ヤクでもキメちまってんのか?」


それが分からない池袋でもなかろうに、彼はなぜか空元気からではなく、まるで全く負ける気がしていないように余裕からの笑い声を出すのだ。


「俺のキャパシティーは『焔獄剛激ピロクラスティックインフェルノ』。優勝候補ベストテン火炎系能力者パイロキネシストがいないから、入閣間際テンアラウンダー随一の火炎使いである俺は事実上、中二病患者ヴィクター最強の火炎系能力者パイロキネシストになる」

「…急に自慢話してどうした?」


彌生には未だに池袋の確信の理由が見えない。いくら火炎で一番に強かろうが、風や雷の弱点が炎であるわけでも、奴が風ないし雷の対防御を持っているわけでもないので勝算の根拠にはならない。

彌生は、こいつもただのバカなだけか?と飽きれ始めていた。


「それでだ。実はこの城のこの部屋はな、俺の為に一ノ瀬サンが特別に用意してくれた、俺の意のままに火焔が噴き出るフレアルームなんだな」

「フレアルームだと?」

「一ノ瀬サンの支援のお陰で俺のキャパシティーは何十倍もの力を手に入れられる!」


彌生はこの部屋が池袋の力を強化するということよりも、“一ノ瀬のキャパシティーがこの城を操る能力である”ということに驚いていた。




―――――どういうことだ?真也が一ノ瀬に遭遇した時の話からして、奴の力は“時を操るもの”だと思っていたんだが…?






「加えてここは外気とは閉鎖された空間だ!自慢の雷は使えまい!」


しかし彌生が考えている間にも池袋は喋り続ける。先程はたまたま破壊痕によって、外気と繋がっていたから雷を使えたが今回はそのようにはいかないようだ。


「ブハハ、そろそろ分かっただろう?優勝候補筆頭ベストフォーの支援を受けた入閣間際テンアラウンダーと能力の半分しか使えない優勝候補ベストテンでは勝負は目に見えてるってよおっ!」


池袋は自身が産み出した剛炎とフレアルームから吐き出される火焔とを操り、彼の周りに直径1m程の数十の炎球を造り出す。アルミニウム粉末燃焼の二倍近く高温を持ち、タングステンですらたちまち沸騰してしまうと思しき炎球は、まるで小型の太陽が乱立しているかのように存在感があるものだった。

池袋が指をチョイと動かしさえすればそれらは豪速で彌生に襲いかかり、マグマよりも恐ろしい熔焔の地獄を創造することが出来るだろう。


「さあ、ほら、早く見せてくれよ!余裕から一転絶望に出会した顔をよおっ!それは俺の一番の好物なんだ!」


彼は垂涎した。サディスティックな精神は同胞を屈服させるときにこそ真に満たされる。池袋はマゾなど虐めても全然面白くないのだ。これは騎手が競走馬に鞭を振っても性的興奮を憶えないのと同じだと彼は考えている。

それよりもサドだ。執ねくほどにサド。それもプライドという化粧を過剰に塗りたくった上物のドSだ。そいつを肉体的にも精神的にも支配した時、池袋は自分が生きていると感じる。


だから彼は期待したのだ。

彌生の恐怖を!焦燥を!後悔を!絶望を!屈辱を!


それが池袋にとっての最高の食事、生きるために喰らいたい食べ物なのだ。これさえあれば、三度の飯はおろか、一ヶ月は満腹でいられるとさえ思う。




―――――今日までこの中二病大戦ヴィクターウォーズのお陰で能力に浮かれて調子にノッた男も女も搾り滓になるまで食ってこれだが、今日ほどサイコーの日はねえな。一ノ瀬には感謝してもしきれねぇよ。










「…るせぇよ」

「あ?」


彼女を征服出来る悦びと、その未来図の想像で恍惚の境地へと至っていた池袋だったが、突如聞こえた小さな言葉に一度それが遮られる。当然気分の悪くなった池袋は顔を歪ませながら彌生を見る。


「ったぁく、人が考え事してんのにピーチクパーチクウルセェなぁ」


池袋は素直に驚いた。彼女の顔は恐怖、焦燥、後悔、絶望、屈辱のどの鈍色にも塗られていない。彼女はただひたすらに憂鬱であった。自分を相手にするのが面倒とばかりに、冷めたような様子であった。


「あーあー、さっきから黙って聞いてりゃ「勝負は目に見えてる」だって?バカが、目に見えてるのはお前の自惚れだろうが」

「ブハハ、なんとも可哀想な。優勝候補ベストテンとかいう奴らは現実を直視することも出来んようだ」

「お前、勘違いしてるみたいだが、入閣間際テンアラウンダーに選ばれた50人ってのは別に「もう少しで優勝候補ベストテン」ってわけじゃねえよ?」

「なんだと?」


彌生の言うことにいい加減キレ始める池袋。彼は今にも炎球を撃ち込みたいという衝動に駆られる。


優勝候補ベストテンには水星と海王星くらいはるか遠く及ばねえが、普通の中二病患者ヴィクターと比べたら地と高尾山くらいの差ぐれえは強いよっていう評価。早い話、運営委員会ディレクター共のお情けなんだよっ!それを素直に受け取ってキャッキャ猿のように喜ぶなんざトンだお笑い草だなぁ!」


彌生がこう言った瞬間に、池袋の中で何かがプツンと切れる。

それと同時に炎球が彌生目掛けて一斉に襲いかかった。



「殺す!もう殺す!史上最高に屈辱的に殺すことに決定したよ!この女ぁっ!!」




炎球に臨み、彌生はこう叫ぶ。




「私は別に風に加えて雷が使えるから最強なんじゃない、最強だから最強なんだよっ!」























―――――そ、そろそろ流石に限界だぞ…



遠藤真也は弱音をあげた。

内部顕現イノセントゴーレム』の品川しながわあきらと『粗製乱造デフェクトクローン』の高田馬たかたば夢子ゆめこのコンビネーション技を、四天王寺してんのうじ龍鵞りょうがから借り受けた霊を使って防いでいた真也だったが、それがあまりに彼の体力を毟り取るので先程の覚悟も虚しく、堪えられなくなってきていた。



よわゴシはやはり腰が弱いのである。






―――――あ




すると疲労の為か、一瞬だけ気が抜けてしまった。しかし敵方はそれを見逃す程に甘くはない。防御の手薄な場所を確実に、且つ強力に狙い攻撃をしかける。


『ど、どうしたのよ』


どうやら声に出して「あ」と言ってしまっていたようだ。嫌な予感で顔をヒクヒクさせた未来(デコイ)が、彼女の想像が外れることを祈りながらおそるおそる状況を真也に尋ねる。


「やべえ…、ちっとばっか油断したから防御破られそうだわ…」

『ちょ!冗談じゃないわよそれは!』

「んなこと言ったって…、あ!ああ!マジでマズイぞ、これは!」


真也は慌てるがもう遅い。ピキリという音がしたと思ったら、目の前の空間にどんどん亀裂が入っていく。あれほどの強度を誇った霊達が『内部顕現イノセントゴーレム完全体(デコイ)』によって破壊されようとしていた。


「…!!」


そして完全に防壁が崩されてしまう。生身であんなブリッツを喰らって五体満足にいられるわけがない。真也はせめて残されたほんの少しの時間を使って未来(デコイ)と龍鵞を吹き飛ばそうと思い至った時だった。


[ハッ…フヌケがっ…!]


そのような言葉が頭をよぎった。

聞こえたのではない、耳を介さずに言葉が伝わった不可解な感覚に真也は襲われたのだ。


「!?」


そして真也は目の当たりにする。彼の目の前にいる“人型の何か”を。それは異形だった。煙のような灰色の膚に、頭には羊のような角、ロバのような脚。そして極めつけに背中に生えた蝙蝠のような翼。


[フン、ゴーレムなる下等種など、俺がデルまでもないダロウ]


その人型の人外は槍のように尖った爪を持つ左手を前に出す。

するとゴキッという音と共に数体のゴーレムが黒い何かに押し潰され、最後には紙のようにぺちゃんこになってしまう。



「な、なんなの?」


急な闖入者、謎の出来事につい攻撃を止めてしまう高田馬たかたば夢子ゆめこ。彼女の同様は充分に伝わった。真也も同じことを言いたいくらいだからだ。


「ぎりぎり間に合ったようだな」

「四天王寺!これは…!?」


四天王寺してんのうじ龍鵞りょうがの声を聞き、安堵して彼に振り返る真也はあれが何なのか問おうとした。しかしそんな真也の口が止まる。それもそのはず、龍鵞の周りには別種の人型の人外が三体もいたのだから。


「驚くなよ遠藤真也。こいつらは我が召喚せし魔の卷属、要するに上級魔人だ」

[よろピく]

[うス]

[ボンジュール、ギャルソン]


龍鵞がそう説明すると、魔の卷属が各々に挨拶してくる。白い浴衣を纏った金髪ギャル系の少女、三メートルはあるんじゃないかと思われる巨躯の赤膚ドリル角の男、タキシードスーツに内側赤で外側黒のマントを羽織りキザに振る舞う青年という面子だった。


「ど…どうもっス」


普通に挨拶されたのでたじたじとしながらも、真也は反射的に挨拶し返す。


「こいつら召喚すんのは中々面倒だが、実力は折り紙つきだ。だが…」


真也は首をかしげた。唐突に龍鵞がなここで頭を抱えたからだ。


[ねぇー、テイウかぁ、あたし、クレープ食べタイんですけどぉお?]

[うス、おらは オニギリが食べたいんだあなぁっ]

[主人よ、ウヌは阿呆か?なぜ吾輩があの程度の輩を相手にせねばならん。血液も通わん萎びたヤツなど相手にしていられルカ]


その傍で三者三様にダレた発言をする人外共。


「…こ、こいつらは我の言うことなど全く聞きはしない!しかも一度出たらなかなか居なくならないし、勝手な行動とるし最悪なんだよ!」

「そ…そうか……」


最後の方の泣きそうな喋り方に真也は龍鵞の素を感じ取れた気がした。

彼も彼で苦労しているのだろう。お疲れ様である。


『………』


ふと未来(デコイ)を見遣ると固まったまま人外の方に視線を送っていた。彼女もまた魔の卷属達の自由奔放な姿に呆れて物も言えない感じなのだろうか。



[ほウ、確かにコレは、地味に面倒だな]



ヤケに静かだったから、攻撃は止まっているものだと思っていたが、そういうわけではなく最初の人外がずっと戦っていたようだ。


[あっクンを面倒がラセるなんテ、ゴーレムGJ。よしよしならばこの氷姫サンが力をミセテあげる☆]

[るせぇぞ!雪女!]


あっクンと呼ばれた灰色の人外が金髪白浴衣を怒鳴る。

それに気にせず女の方はきゃぴきゃぴとしながら、パンと手を叩いた。


成る程、彼女は雪女なのか。風呂に入れただけで消えるし、浄瑠璃じゃただのチクり魔だし、強そうには思えないんだが…なんて考えている間にあーら不思議10体はいたゴーレム達が雪に埋もれて行動不能にされていた。まあ、あいつの能力だしな、龍鵞の中では雪女は強い部類に入っているのだろう。となると、あっクンと呼ばれたのは悪魔で、赤いのは鬼で、タキシードマントはさながら吸血鬼と言ったところだろうか。鬼が二体もいんぞ。


[ふっフッふーん。アッタマ使いなさいよねあんた達。敵は何体もゴーレムを出せな…]

[ふんヌ!なんだなぁっ]

[ちょ!バカじゃないの?何してんのよ、でぶ鬼!]


真也は苦笑いせずにはいられなかった。でぶ鬼と呼ばれた大男がたった一回腕を振っただけで雪漬けのゴーレムの集団を粉微塵に薙ぎ倒したのだから。これなんてチート?



[あれデハ解決とは言わないんだなぁ]

[あ、あたしだってソレくらい分かっていタシ]

[ふーム、たぁしかに鬼くんの言う通りダト我輩も考える。ここは総攻撃を提案シタイのだが、皆よ、どうだろうか]

[インじゃね?雪女の尻拭いしてやろうぜ]

[もぉー!あっクンの意地悪ぅ!]









「あーれれ、蓋を開けりゃ何これ龍鵞。あいつらあっちゅう間に片しやがったぞ敵さん」

「だから、言っただろう。奴らの実力は折り紙つきだと」


4体が暴れてこちらは大いにヒマだった。優雅にお茶をすする余裕があるくらいだ。

あの後はもはや地獄絵図だった。雪降ったり、破壊されたり、黒い変なの出たり、操られたり、ラジバンダリ。散々な風景を見た後、敵方は品川が最後の足掻きで本体で暴れたが十秒足らずで駆逐されてしまう。その隙に高田馬は逃げてしまったようだったが、一応戦いは終わった。


「だがな遠藤よ、我は決めたぞ。こいつらは二度と召喚しない」


腕を組んだまま、何かを強く決意する龍鵞。


[まぁーた、ソンなこと言っテどウセすぐ呼ぶしリューちゃんのツンデレ]

「よ、呼ばねーよ!てか、ツンデレ言うな!」

―――――こいつに面と向かって「ツンデレ」と言えるのは雪女くらいだろう。

[ふム、だが…どうやらココハ戦場の真っ只中のようだナ。我輩はカラオケに行きたかっタノだが]

「行かせねーよ!この間、日中夜お前がカラオケしていくらかかったと思ってんだ!」

―――――吸血鬼がカラオケしてる様子を思い浮かべると実にシュールだ。飲み物や食べ物は“コウチャ”や“ケーキ”などではなくトマトジュースやから揚げにしておいてもらいたい。

[おらは、お腹すいタンだな。泣きそウナんだなぁ]

「下らねえことで泣くんじゃねーよ!」

―――――ふと、泣いた赤鬼という童謡を思い出したよオレは。

[俺も疲れた、今日は召喚延長届け出さずにさっさと帰るか]

「ちょっと待てよ、なんだその召喚延長届けってのは!?初めて聞いたぞ貴様らそれつかって長居していたんだな!」




確かに強さは本物だが、実に癖のある奴らだ。

全く戦場って感じがしないトークだが、龍鵞が遊ばれているのを見るのは面白い。


「おっ?遠藤よ、なんか言ったか?」

「いや、なんでも…」

「ならいいが、なんとなく貴様が楽しそうな顔をしていたのでな」


龍鵞は疑うような視線をこちらに向ける。ふう、危ない危ない。




『あの…』


そんな中、未来(デコイ)がどこか深刻な表情で口を開く。

その話し相手はなんとあの人外達であった。


[どうカシたのかい?マドモアゼール]


吸血鬼が一番に反応した。


『あの…なんで貴方達は主人の言うことを聞かないのですか?』

「デコ子…」


彼女の真っ直ぐな瞳に見詰められ、人外達はなんとなく察したようだった。真也は考えを改めた。どうやら彼女は自分とは全く逆の生き方をする、自分とある種同じような存在が疑問で仕方なかったのだろう。


「全く貴様の言う通っ…」

『龍鵞さんは黙っていてください』

「はいっ…」


場の空気が読めていない龍鵞は易々と会話に加わろうとするが、未来(デコイ)に一蹴されたのがよっぽど聞いたようでおずおずと退いてしまう。雪女はそのさまを見てケラケラ笑いながら、未来(デコイ)に顔を向ける。


[あたしに言わセレば何で言うコトヲ聞かなキゃいけないって話よ]

『でも…』

[おらも龍鵞さんにハ召喚しテモらって有難イト思ってるよ。おかゲデいろんな経験が出来たんだからぁなぁ]

[だが、感謝と服従はベツモンだ。俺が俺であるという事実はたとえ生み主にも変えられねえ]

『…』

[吾輩は吾輩がやりたいことをやりたいのだ。吾輩はカラオケでアニソンを歌いたいのだ]

『あにそ…?』

―――――おお~い、ずいぶんとマニアックな吸血鬼もいたもんだな。

[見てみて?この雪模様のマニキュア可愛いでしょう!あたしの仲間でこんな爪にこんな髪色のヤツいないんだけどね。あたしはこういうこと知れて本当に幸せ]

『マニキュ…?』

―――――……

[麻雀って、知ってっか?お前。俺この間オーラスで国士和了って逆転したんだぞ?先月はトータルで二万]

『こくし…?』

[おらハナおらハナ]




彼らはわーきゃー話し合っていた。未来(デコイ)は戸惑ってはいたものの嫌そうという雰囲気には見えなかった。

何度も言うが、彼らは別の理で作られた存在だが、人間とは違うという意味で共通していると言えた。しかし、人間とはなんなのだろうか?もしアバウトに普通な存在だと答えるなら、キャパシティーを奮う中二病患者ヴィクターも人間でないことになってしまう。





真也は座り込んだ。戦いを終えてホッとしたからなのか別の理由からなのか、彼は未だにここが戦場であるというのに、気持ちの良い風の吹いているような清々しい気分を味わっていた。























所変わって、別時間のとあるフロアー。


中学校の体育館くらいのスペースには見るも無惨に戦いの爪痕が存在していた。焼け焦げた壁や床、いくつものクレーター、そしてなにより僅かでこそあるが、痛々しい所の全く見えない新品同然の部分、このコントラストが皮肉にも戦闘の激しさを如実に物語っていた。



「はっ…はあ…はあ…」


その新品同様の場所には一人の少年が息絶え絶えに突っ伏していた。




「僕はね、いつも思うんだよ。数学ほど残酷なものも存在しないってね」




それを見下ろすようにしてまた別の少年が立ちながら、甘く囁くようにそのように言った。





―――――何が起こった?何でこうなった?何を間違った?




委員長(♂)は地面と汗とが混ざり合ったものの味を確かめながら、頭を混乱させていた。近くにいる聚楽園しゅうらくえん梨緒りおは負ったダメージがあまりにも大きかったのか、ボロ雑巾のような体を仰向けにしながら眠ってしまっているようだった。


「数学というのは、たとえ長ったらしい計算式が正しかったとしても数値が少しでもズレてしまったら一気に台無しさ。積み上げたものを一瞬で崩してしまう…それ以上に残酷なものなどこの世に存在するだろうか?」

「あ…あなたは…先程からなに…を………っ!?」

「おやおや、ようやく気付いたようだね、委員長(♂)君とやら…」


委員長(♂)は倒れながらにして一ノ瀬いちのせ大和やまとの意図を理解した。


「貴方は僕が概念戦で導きだした計算式の数値入力の時点で、僕に嘘の情報を伝えたのですか?」

「はっはっは、おいおい嘘ってのはあまりに暴力的な物言いじゃないか?僕は嘘など一切ついていない、君が勘違いしたのだろう」


委員長(♂)は敗北を喫した理由こそ分かったが、何が原因なのかは分からなかった。一ノ瀬の言う数学的残酷さとはまさにこのことなのだろう。

数学の問題はそれが間違いであるということは導きだされた答えを見れば一目瞭然である。だが、何を間違えたから答えが違うのかというのは早々に理解出来るものではない。




―――――やはりこの城は彼のキャパシティーではないのか?




だが、彼がこの部屋を彼の自在に操っていたのは見紛うことなき事実。あの一ノ瀬の動きと城の変貌の滑らかさは誰かが介入しているとは思えなかった。とはいえ、そういった偽装の上手さが一ノ瀬の才能と言われてしまえばそれまでだが。


「…はぁ、やれやれ、偽装に、才能……君は発想力に欠けるね。これだけヒントを出してやっているというのに」

「ヒント…?…あれ?」


一ノ瀬は呆れたようにそのように言い、委員長(♂)は悔しながらもそこから答えを探ろうとしていた時、委員長(♂)は重大なことに気が付いた。







「あ、ああ…あなたっ…あなたはたぜ、“僕の心が読めた”?」




驚愕に歪む委員長(♂)の顔。

そこに普段の笑顔など全く見られず、別人ではないかと一瞬疑ってしまうくらいであった。

一ノ瀬はそれに構わず話し続ける。


「君はなんで君達二人に僕が直々に会いに行ったのかを、この不可解な意味を考えるべきだったね」


委員長(♂)は思い出していた。心を読まれただけじゃない。戦闘中何度も見せた、あの「既に攻撃がどこから来るか分かっている回避」も彼には“経験があった”のだ。


そんな中、一ノ瀬はゆっくり歩いて梨緒が寝ているところに向かう。


「おや、これは驚いた。気絶しているかと思ったが、辛うじて起きていたか。逞しい御嬢さんだな。ま、喋ることは出来ないようだけどね」


梨緒が起きていたのは執念によるものだった。

左目だけをかろうじて開け、一ノ瀬を睨み続けている。


「おー、怖い怖い」


口ほどに恐れていない様子でそう言いながら、一ノ瀬は自分の“右手を”梨緒の頭にのせた。


「な、なにをしてるんですかっ!」

「言っただろう?なんで僕が君達に会いに来たのか考えろって」


委員長(♂)が恐れて声を張り上げるが、意外にも一ノ瀬は数秒間手を当てただけですぐに離し立ち上がった。




「うん、完全に理解した」




満足気にそのように言って次は委員長(♂)に近付く。彼に手を伸ばそうとしてふとその手が止まる。


「ああ、そうだそうだ。彼には『絶対防御イグノアー』という面倒な能力があるんだったね。まあ、この能力は『トリニティー』を使うまでもなく、それなりに理解できるさ」

「?」


委員長(♂)には言っていることがよく分からなかったが、どうやら彼はまだ驚かなければならないようだ。


「なっ!?」


彼が何が驚いたって、『絶対防御イグノアー』という完全無欠の要塞が一ノ瀬の右手をやすやすと侵入させてしまっていることがであった。

そのまま一ノ瀬の右手が委員長(♂)の額につく。

委員長(♂)がこの透明状態の要塞を容易く破られたのはこれで二度目である。一度目は遠藤真也が「自身の攻撃力をゼロにする」ことで『絶対防御イグノアー』の防御対象外になることで。

今回のケースはそれとは違うようだった。明確な根拠はなかったが、これは委員長(♂)がゆえにすぐに理解できたのだ。



「そ、それは『絶対防御イグノアー』!?」



委員長(♂)は一ノ瀬の周りにある透明の球状の結界を感じてそのように戦慄した。



「『トリニティー』が判断したのさ。“『絶対防御イグノアー』には『絶対防御イグノアー』が最も有効的である”と。なぜなら『絶対防御イグノアー』の中にいる存在というのは“攻撃としてカウントされていない”。ゆえに敵の『絶対防御イグノアー』内にもやすやすと入れるという理屈だよ」

「つまり…あなたは……!?」

「ふうむ、どうやら君と話す時間はないようだ。どこかの二人組がルートをガン無視して城を破壊している。僕が行かなきゃダメだよね。後のことはかなであきらに任すよ」

「…はい」

「了解した」


一ノ瀬はため息混じりにそう言うと、先程から近くに控えていた少女といつの間にか現れた男が返事した。


「そうだ、彼女を連れて行こう。遠藤真也が驚くだろうしね」

「や、やめてください!」


一ノ瀬は梨緒に手を伸ばしお姫様だっこのように抱きかかえると、委員長(♂)の言葉も聞かず目もくれず、城を操作して盛り上がった床を使って上へと向かっていった。





「さあ、立ちなさい」


彰とか呼ばれた男が静かな声でそう告げる。時代錯誤の甚だしいリーゼント長ランの男だったが、その迫力とは裏腹に紳士のような振る舞いで手を差し出してきた。

不良と言われる者の中には己の中にある美学にしたがって生きる者がいるみたいだが、このような心遣いが彼の美学なのか。はたまた手を差し出すと見せ掛け、不意討ち的な何かを狙っているのか。


「………」


たとえどちらの答えでも委員長(♂)は敵の手は借りない。自分の足で立ち上がろうとする。これが真也なら何の躊躇いもなく借りたかもしれないが、委員長(♂)は喜ばしいことによわゴシではない。

対して、長ランリーゼントは委員長(♂)が出したこの答えになんの反応も見せず、すっと手を戻し、そして会話を始める。


「申し遅れた。私は新宿にいやどあきらと言う。彼女は澁谷しぶやかなで。対『絶対防御イグノアー』のコンビだ」

「…入閣間際テンアラウンダーでも、ましてや優勝候補ベストテンでもない僕に対して、一ノ瀬さんに幾ばくの脅威と思われているなんて光栄ですね。それとも一ノ瀬さんがその程度なのか…」


ゆっくりと立ち上がりながら委員長(♂)は饒舌に言う。一ノ瀬という大きな存在がいなくなって少しホッとしたからというのもあるが、彼を元気にさせたのはその瞳映る闘志であった。委員長(♂)にはここで負けられない理由があるのだ。


「せめてそのように言ってやれば貴方も報われるのではないかと思ってな。気分を害したというのなら謝ろう」


委員長(♂)の挑発は暖簾に腕押しに終わる。この男には感情がないのかも知れない。まあ、その横にいるほとんど動かずほとんど喋らずのまるで死体のような少女と比べるなら幾分マシだと言えるが。

新宿彰に澁谷奏、委員長(♂)はどちらも入閣間際テンアラウンダーのリストで見たことがあった。しかも澁谷の方は優勝準候補イレヴンと謳われるほどの実力者だとか。委員長(♂)は中二病患者ヴィクターでいられるのも、もしかしたら今日が最期かも知れないと本気で思っていた。

だが同時に、ここでくたばるわけにもいかないとも思っている。なぜなら彼は遠藤真也に伝えなければならないことがあるからだ。



「伝えるんだ…僕は……」



一ノ瀬の、その能力を。




炎を、


水を、


雷を、


氷を、


竜を、


時を、


城を、


読心を、


予知を、


結界を、


何もかもを、


自在に操ることの出来る最強の力キャパシティーを!




言うなれば、











「『才能複製レプリケートアビリティー』をだ!!」





委員長(♂)は強敵に対峙し覚悟を持って勇んだ。


あとがき


私はいい加減この小説はR指定した方がいいんじゃないか?と思い始めてきました。正直言いますと、今回、九条と池袋のくだりが一番書いてて楽しかったです、テヘ。それだけで2話分は書けるんじゃないかと本気で思うくらいです。池袋が抱いていたサドの定理はまんま私です。とはいえ、私はたとえ満たされてもお腹いっぱいにはなりませんが。

九条、池袋、ミドリカワ(詳細はEp17)は個人的に3大サドキャラだと思ってます。Ep17も今思い出すと、すごく生き生きと書いてたなあ…。その様子が分かると思うのでヒマな方はぜひ見てください。


さて、この章もそろそろ佳境、多分今までで一番早いんじゃないの?とはいえ、次の投降が1年後なら違いますけど。…、いや!する気はないですよ!!1週間か最悪2週間にはしますよ!読者様は神様です。


では、またいつか。



……そろそろ一ノ瀬の部下が山手線の駅の数だけいることがバレている頃。

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