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Ep30 Hyper concentration ~激突する二つの信念~

今月中に今の章を終わらせたい。今月あと3日しかないけども

現実に似た異界、因果孤立の空間ニアーディメンジョンという場所で二頭の魔物が睨み合っていた。

だが、彼らは既に互いに牙を仕舞っていた。最早戦闘しようという気はないのである。



「ハイパーコンセントレーションだと?」



魔物の片割れ、中学生ながら燕尾服に身を包む方がそのように言って、顔を煮え切らないように歪めた。

辺りは幾つもの災害が同時に押し寄せたように焦土よりも酷い焦土と化していたが、彼の服は“あまり”汚れている様子はなかった。



「アァ、オレハ アレノ バクハツリョォクノ シォウタヰヲ ソフ ヨンデヒル」



魔物のもう片割れは燕尾服の疑問を溶かすように言う。彼の形相は前者よりも奇妙キテレツであった。そもそもあえて『様子』や『格好』ではなく、『形相』だなんて大それた言葉を使っている時点で察してほしい。

彼―――という三人称を用いてしまってもいいのか甚だ疑問ではあるが―――は演劇部が所有してそうな黒幕を、二メートル超はありそうな体躯の頭から下を全て隠すように惑い、頭には魔女が被っていそうな黒い防止を顔が全て埋まってしまうくらいに深く被っていた。

帽子には相手をからかうように赤いインクで子供の落書きのような顔が描かれている。また、黒幕の顔側には縦に一直線に切れ目があり、そこから腕を出せるようになっているのだった。


「オマヱ ダッテ カンシンシタノダロフ?キャァツノ タタカヰ カタニ」

「一応な。だが、弱いなりにだ。我々の脅威とはなりえん」

「ホントウニ ソフオモウカ?」

「どういう意味だ?」


燕尾服を着た魔物、伏見ふしみ雪成ゆきなりと、謎の形相の魔物、無限ヶ崎むげんがさき零次れいじは奇妙な言葉のやり取りをする。


「ヲソラク、キャァツハ スデニ ヲマヱヘノ タヰコフサクヲ オモヒツイテヰルト オモウゾ」

「俺がそんな夢想を信じるとでも?」

「サァテナ、タダ、オレガ ヰヒタイノワ ヰチノセ ニツイテ ソコマデ シンコクニナル ヒツヨウハ ナヰトイフコトダ」

「………お前は…何を知っている?何が目的なんだ?」


どこから発声しているのか、無限ヶ崎(のようなもの)の出す合成音のようなものが響く。


「ソレワ ヰヱナヒ。タダ、コンカイノ ジタイワ オレニシテミレバ アワテル ヨウナコトデハナイ トヰウコトダ」

「信用ならねえんだよ」

「ナラセメテ、ヰヅレ ヲマヱラノ ケフイ ニ ナルデアロフ 『ハヰパア コンセントレヱシォン』ニ ツイテ ヲシヱルトヰウコトデ ケフノトコロワ ヒイテモラヰタヒ」

「……………」


しばらく伏見は品定めするように黙り込んでいたが、結局タメ息を吐いた。


「はー…、取り敢えず話してみろ」

「デワ…」




無限ヶ崎はまた、どこからともなく合成音のような声を出し始める。

















「うぐっ………」


真也は奇妙な経験を味わっていた。

今日まで真也は様々な異常気象は体験してきた。

だが、彼の全ての体験を総動員しても、西洋軍刀サーベルが降ってくる事態に対してはそれなりの驚きがついてくるのだ。


「っ…っっ!!」


真也は自分の足に突き刺さっているサーベルを今一度見ると、それを一息で抜き取る。一瞬、激しい痛みが走るが歯を喰いしばってそれに耐える。真也はサーベルが返しのあるものでなくて良かったと安堵した。


「はっ……遠藤真也、貴様バカか?サーベルはある意味フタの役割をしているのだ、そんなものを取ったら血液がっ…!?」


芳賀はが裕一郎ゆういちろうはバカにしたように喋っていたが、途中で台詞を止めた。



まあ、多少の知識のあるやつは普通、そう考えるよな。

人間の生命活動にとって最も重要なのは血液。人間は血液を2000CC失うとほとんど絶命してしまうようだし、負傷時には止血を試みようというのが最善であろう。

だが、オレにとってはサーベルつけっぱなんかよりももっといい止血法があるんだよ。

委員長(♂)との戦いでも使った、キャパシティーを応用した止血法がな!


「…………………」


芳賀は傷口から一向に血が出ないことに対して驚愕しているようだった。


「……はん、成程な。キャパシティーの応用か…。考えりゃ分かることだったか」

「マジか…、気付くの早っ…」


が、すぐに思考を働かせ事態を理解したようだった。

さすがは定期考査学年二位というわけか。腹立たしい。


「だが、とはいえ今ので避けることに意味はなく、貴様らに勝ち目などないことを理解しただろう。さっさと投降するがいい」

「……梨緒、『百発百中クリティカル』ってのは本当に優勝候補ベストテンなのか?」


芳賀が投降を促すようなことをいうということは、逆に言えば今すぐ攻撃する気はないことの証明でもある。真也はそう思って静かに梨緒に話し掛けた。一見、投降ムードに思わせるのがポイントである。


「えぇ、孤高の暗殺者ヒットマン、阿佐倉=K=悠一なんて呼ばれているらしいわ」

「阿佐倉?」


真也は一度、首を傾げたがすぐに戻す。

悠一と裕一郎、恐らくあまり正体を広く知られたくない彼が考え出した偽名ダミーネームだろう。銃も持っていないくせに当て屋ヒットマンとは、自分の能力への皮肉も利いてやがる。


「噂じゃ、何人も現実で人を殺しているとか」

「あー、納得したわ」

「納得って、あの人普段の素行も相当の不良なの?」


真也のあまりに軽い返事に酷く戸惑う梨緒。

その反応は至極当然のものだろう。なにせ身近に犯罪者、それも殺人犯が紛れていたなんて知ったら恐怖で平常心を保てるはずがない。平和ボケしている日本人なら尚更である。

だが、今のオレの納得はそういうことではないのだ。


「違う違う、殺人犯ってのがホラだって事を確信したのさ」

「どういうこと?」

「オレはこれまで先入観に囚われていた。優勝候補ベストテンってのはどいつもこいつもハデ好きで、好戦的な奴らだと」


芳賀は相変わらず黙ったままこちらを見ている。余裕の表れだろう。


「しかし違った。オレは協定の存在を知った。『物を物に確実に当てる』なんていう、オレが言うのもなんだが見た目ショボい能力があることも知った。認識が間違っていたんだ。本当は、奴らほど、戦いを望んでいない奴らはいないんだ」

「な、そんなバカな…」


梨緒がそのように思ってしまうのも無理はない。彼女はこの例外に会っているのだから。しかし、その例外くじょうさえ協定に従っているのもまた事実である。


「芳賀は自分を大きく見せることでなるべく戦わないようにしているみたいだ。現に奴はああやって投降を呼びかけている。優勝候補ベストテンって奴らは大戦に生き残るには『いかに戦いに勝つか』ではなく『いかに戦いを切り抜けるか』が重要だってのをよく分かっているみたいだぜ」


真也は「オレには及ばないがな」と思いながらサーベルをその辺に捨てる。投げたあと地に着く少し前にヒュウッと宙に浮いた。どうやらサーベルは手を離すと支配権が向こうに戻るようだ。



「話は終わったか?ならさっさと投降するがいい。女は攻撃手として使えるし、貴様も回復役としてこき使ってやろう」




芳賀が偉そうにしているとどうにも無意識的に舌打ちしたくなる。たとえ機嫌悪くしても芳賀にとってオレ達ってのは欲しい人材なのだ。だから舌打ちしても良かったが、オレはそれよりも思考を纏めることを先決としよう。


実際、芳賀の提案は素敵だ。気分的には嫌なものがあるが、それでも今回は彌生やよいの場合と異なりオレ達全員で奴の下に行ける。無意味な争いはオレも好まない。


だが、一番の問題はオレの信念と奴の信念とが………んっ?




真也は考え事に耽っていたら、急に彼の中に違和感が走った。




――――――ちょっと待て、あいつ今、回復役って言ったのか?




真也はしめたと思った。この誤解は使えると。そして同時に彼は芳賀の傘下に加わろうと考えていた。この誤解を上手く利用して、内部から芳賀の思惑を打ち砕こうと考えたのだ。


真也は今、確かに冴えていた。が、集中力があまりに一方過ぎた。だから彼は最も重要な懸案事項を見逃してしまっていたのだ。




「あんたバカじゃないの?真也の今の止血術は自分にしか使えないし。だから回復役とか無理だし」



と、梨緒は無いに等しい胸を張りながらペラペラと喋った。


つまり彼女は真也の組み立てた策という策を一瞬の内に粉々にしてしまったのである。



「ばっばっばっ…バカはお前だ!梨緒!!」


梨緒は変なところで正々堂々と言えた。素直というか馬鹿正直というか。そんな直線的な彼女の性格が爆発のキャパシティーなんて代物を生んだのかもしれないが。


「なんでわざわざこっちの情報渡すんだお前は!スパイか?スパイなのか?それともただのバカか?」

「さっきからバカバカなによ!本当のことじゃない!」

「はぁ、ナポレオンはかつて『真に恐れるべきは有能な敵ではなく無能な味方である』だとか言っていたが、今のオレにはそれが痛いほど分かる」


真也は目頭を抑え首を激しく降る。相当のガッカリ感が彼を襲った。


「それに、別にあんな奴の下につく気なんて全くないもの。情報なんてくれてやるわ!」

「そういう問題じゃ……」

「はんっ、貴様らの考えは分かった。敵対するのなら早急に消し去ってくれる」


芳賀はそう言うと未来に目で合図を飛ばす。すると再びサーベルが頭上高くに上昇した。



「で、シンヤ。どうすればいいのかしら?この後」

「ちっ、やっぱり考え無しかよ。お前様わ」

「違うわよ。信じているの。嘗て弱小能力ながら優勝候補ベストテンを倒したアンタの力を」


真也は小さくタメ息した。

ここまで気持ちだけで走れる彼女の清々しさに対して。

ここまで仲間をストレートに信じられる彼女の逞しさに対して。



「『百発百中クリティカル』がどんな能力か完全に分かったわけじゃねえが、突破口はある」

「言いなさい」

「お前の好きなやつだ。ただひたすら爆発であの男を攻撃しろ。間髪入れんなよ」

「あら、随分と私好みでシンヤらしくない策じゃない」



梨緒はそれだけ言うと、『粉砕爆発バーニング』を炸裂させサーベルを吹き飛ばす。

梨緒に策に対する疑問はないらしい。ただ好きな作戦だから後のことはどうでもいいのか、真也を信頼しているのか、両方なのか、どちらでもないかは分からない。


「ちっ」


芳賀は顔をしかめ、若干の焦りを伴いながら、急ぎ気味に対応をする。



百発百中クリティカル』が「物を物に確実に当てる法則」を支配する能力だというのなら、それに対する充分な防御手段は皆無の可能性がある。

絶対防御イグノアー』すらも防御壁をスルーして直接相手に攻撃できるかもしれないのだ。

ならば防御スキルが満足に無い『戦意皆無よわゴシ』と『粉砕爆発バーニング』が敵の攻撃を防ごうと躍起になってもあまり意味はないのだ。



「だから防御は諦める」



敵の攻撃を防ぐには防御以外にも方法がある。その一つは攻撃。

怒濤の攻撃を続けることで相手に受けに回させるのだ。いかに優勝候補ベストテンと言えど、サーベル投擲の必中だけでは爆発という威力と範囲の並々ならない攻撃をいなすことは難しいだろう。


「くっそ、小賢しい…」


現に爆発は芳賀を翻弄していた。



――――――お前程度でビビッちまうオレじゃないんだよ




真也は芳賀の能力を甘く見ているのではない。能力の使い方を甘く見ているのだ。

せっかく『百発百中クリティカル』なんてものを持っているのだから、もっと小型の刃物を大量に持てばいい。未来のキャパシティーのサーベルでは放てて両手に二本が限界だろう。



――――――なら、こっちは今の内に…




真也は梨緒の爆発を影にするように腰を沈めて動き出す。

あの生意気な芳賀のGANMENに一撃入れてやろうというのだ。

いや…一撃とはオレも優しいな、と真也は考え直す。二三撃は加えないと気が済まないなと自他共に認める悪い笑顔をしていたとき、ふと、爆発に変化が現れていることに気付いた。



―――――まずい、流石に芳賀を侮っていた。爆発が防御になりつつありやがる。




少し前までと戦場の態勢は変化していた。

芳賀もバカではないということだ。

未来の『飛来軍刀サーベルダンス』はそれまで爆発を防ぐために剣を密集させて盾の役割をさせていたのだが、段々にその盾の位置を前にしていき、今では寧ろサーベルが攻撃を仕掛けていて、それを爆発が防御しているという具合だった。


「まずいっ!奴に攻撃権をあげちゃダメだ!梨緒っ!」

「もう、遅いっ!」


芳賀は自らの手でサーベルをアンダースローする。先に数発放たれていたサーベルに意識を向けていた梨緒はこれに気付けない。当然だろう。産み出した爆発の爆煙が諸刃のように目隠しになってしまうのだから。

「くっ…そがぁっ!!」


百発百中クリティカル』は爆発でいなすことの出来ない今の梨緒の急所を確実に抉るだろう。

真也はしてやられた悔しさと、梨緒に向けられた攻撃への憤怒と、どうにもならない焦りから、何も考えずに芳賀を殴ろうとしてしまう。



だが、これはあまり意味がない。



なぜなら『百発百中クリティカル』は概念系能力ノーションキャパシティーであり、効果は確定して術者から離れてしまっているからだ。ここは寧ろ『飛来軍刀サーベルダンス』の所有者である柿崎未来の方を攻撃するか、また、梨緒に対して能力行使を促すのがベストである。


だが、実践とは瞬間瞬間の戦いである。

常にかように理性的にいられるわけではないのだ。


「…!」


真也の怒号に芳賀は彼の殴打の姿勢に気付いた。真也の拳が芳賀にもう少しで届くとなった時だった。拳の前に複数のサーベルで編まれた幕が張られる。梨緒の爆発を凌いできた即席盾である。


「ぬぅっ!」


普通はこんな咄嗟なタイミングで拳を止めることは出来ない。

随分な鈍い音をさせながら、それに激痛を走らせるのが関の山だろう。


だが真也は『戦意皆無よわゴシ』で自分の攻撃力を殺し、それを回避する。



「っ……、梨緒っ!」


ついでに冷静さも取り戻したのか、彼はハッとなって彼女に声をかけながら、その場に駆け付ける。


「あっ…危なかったわ…」

「梨緒っ…」


サーベルは彼女の肩を僅かに掠めたようだった。小さな切り口から血液が姿を見せて服を湿らす。

偶然が彼らを救った。おそらく、芳賀を守ろうと未来がサーベルで防いだ時に、それが間接的に梨緒に放たれたサーベルにも伝わって、無意識的命令で軌道が僅かにずれたのだろう。







――――――んっ?






真也はここまで推察してから、ふと何か違和感のようなものを感じた。

それは何かを見落としているような気持ち悪さをである。


「遊びはここまでだ」


だが、それだけに集中しているわけにはいかない。芳賀は右手でそっと浮游しているサーベルの四つに触れる。そしてそれが意思を持ったように飛来し始めた。梨緒を狙うように。


「くそっ!そういうことも出来るのかよ!やばい、撃ち落とすんだ!梨緒!」

「言われなくてもそうするわ!」


空間が捩れ轟音が響く。


「なに!」


爆発はサーベルが通るであろう空間を先回りして爆発したが、サーベルは“まるで既に知っていたかのように”迂回して軽くそれを避けた。

梨緒はあまり大きな爆発を使えない。第一に自分も爆風を浴びる可能性があるから。第二にサーベルが爆煙を利用してステルス攻撃をしかけてくるからである。


「なら、梨緒、奴らに直接攻げ……!」

「貴様の考えなんてお見通しだよ!」


芳賀達の周りには何十ものサーベルを使った、さっきの咄嗟のものとは比較にならない堅牢な防御壁が出来上がっていた。

梨緒はそれを破壊できなくはない。だが、骨である。少なくとも『百発百中クリティカル』のサーベルが梨緒を貫く前に攻略することは出来ない。


「あ、当たらない…」


梨緒の攻撃は悉く外れてしまう。

そして同時に当たらないことへの苛立たしさが余計に梨緒の攻撃の精密さを崩す。




「落ち着け梨緒!ギリギリまで引き付けるんだ。爆風はオレがなんとかしてやっから!」


と、冷静さを促すように言うと真也は梨緒の背後に回り込み、彼女を盾にするような姿勢を取る。


これは真也があまりに卑怯で醜くて、似非主人公の烙印を捺されているのが理由ではない。

前にも言ったが、梨緒は『爆発耐性フルレジスト』という対防御を持っている。これは「自分の爆発攻撃の内、爆炎に対して無敵」であるスキルである。

つまり、爆炎は防げど爆風は喰らってしまうのだ。だから彼女は大規模な爆発攻撃を使えないし、自分の近くでそれなりの規模の爆発も使えない。

しかし後ろから真也が『戦意皆無よわゴシ』を使って支えることで、梨緒にぶつかり「梨緒の移動力」に変換された「爆風」を、彼女を通して真也を伝えることで、更に変換された「真也が地面や空気に伝える移動力」となり、それを「真也の地面や空気への攻撃」とみなすことでほぼ無効化することが出来るのだ。


「……………、」



梨緒は息を飲みながらサーベルが近付いてくるのを見守る。




三メートル、



二メートル、



一メートル、



そして、五十センチメートル圏内に差し掛かろうとしたときだった。




「…………、…今!」




梨緒は言うと小学校の運動会で使うような大玉位の爆発を起こす。


その爆炎は梨緒をも包み込む。


サーベルは上手く弾くことが出来たのだろうか。


爆炎の余波と完全には消しきれない爆風の威力が、痛みにも似たヒリヒリ感を真也の膚に与える。







「けほっ…」

「えっ…?」



梨緒は首筋に触り覚えのある生暖かい液体を感じて思わず振り返る。

真也の感じたヒリヒリ感は爆発のためばかりではなかったようだ。


「ぐっ…痛い!」


真也は今度ははっきりと刺突による痛みを認識することが出来た。

腹部に一本、脚に二本、肩に一本。

その内、肩の一本と左脚の一本は完全に肉を貫いていた。



「がっ…ま、マジかよ…」



真也は何よりもまず止血しようとする。しかし既に流した血は多かったか、頭がくらくらする感じを経験した。

サーベルは多分、最後の爆発も“予知していたように”丁寧にかわして、ぐるりと回って真也を突き刺したのだろう。彼の肉体にとっては大ダメージだった。








「て…手痛い…代償だったな」


サーベルを抜きながら、真也はしかし、絶体絶命を全く匂わせない不敵な笑顔をしていた。


「どういう意味だ?」


芳賀は汗を一本かきながら、真也を問い質そうとする。


「なに…、咽に刺さった骨が取れたような、頭にかかったモヤが取れたようなスカッとした気分なのさ」

「なんだ?言っていることがわけ分かんねーんだが?イカれ過ぎてキマッちまったのか?」

「いーや、オレはいたって正常さ。ただ、“全てを理解したのさ”、蟠っていた謎をな」

「っ!………何を言っている」

「まずっ――――」


真也は腕を組みながら一歩進み、さながらドラマの探偵のように切り出す。



「まず、お前のキャパシティーは『百発百中クリティカル』ではなく『飛来軍刀サーベルダンス』なんだろう?」

「………何を証拠に」

「お前は、未来に攻撃の合図を送っていたが、名前を呼ぶだけであぁも意思疎通なんて普通出来るか?」

「それほどのチームワークなのさ」

「そうかそうか、ならお前らのコンビプレイは見事だと認めようじゃないか。だが、流石に息が合っていてもオレがお前に攻撃したとき、あのときは彼女にとって“死角だった”はずだが?」


真也は芳賀に言いつつ、視線は未来を向いていた。彼女は依然黙ったままである。


「こ…声がしたからだろうが」

「いや、それにしては人外な反射力だったぜ?なにせ当の本人が気付いて、ハッとなった時とほぼ同時だったんだからな。まるで、“芳賀が反射的に剣を張ったみたいにな”!」

「うっ…!」

「そして、それならいろいろと合点がいく。芳賀がオレの拳に気をとられたために梨緒への攻撃を外してしまったとかだ」

「っ、…………、」


芳賀は真也に対して何事かを言おうとして、それを呑み込みしばらく顔を伏せる。




「ふっふふ…ふふふふ」


そして突然笑い始めた。


「そうさ!その通りさ!俺のキャパシティーは『百発百中クリティカル』ではないっ!彼女、柿崎書記こそがあの優勝候補ベストテンの…!」


そして、半ば開き直りのように芳賀がその様なことを言いかけた時だった。









「………と、“最初はオレもそのように考えた”」


真也が静かにそう述べたのだ。


「は?」

「っ」


真也のこの台詞に芳賀はおろか、今まで彼女にしては異常なくらい空気を貫いていた未来までも僅かにだが反応させた。


「芳賀が阿佐倉ではないと分かったところで、オレには新たな疑問が生じた訳だ」


二人の反応を見て真也は満足げに話を続ける。


「芳賀はなぜ、彼女と自分の能力について嘘をつかねばならないか?と。そう考えると、未来がさっきから一言も発っさずに両手で大事そうにサーベルを抱えているのは、“自分のキャパシティーを『飛来軍刀サーベルダンス』だと思わせる以外に意味があるのではないか?”と」

「バカを言うな、それを深読みと言うんだ。だいたい柿崎書記が『百発百中クリティカル』であるという事実を否定するなら元の木阿弥ではないか!」


と、芳賀は真也の意見の終着点のおかしさを指摘する。だが、今の真也は彼の方を向いてはいない。


「なあ未来、オレは今日、未だ嘗てないほどに様々な疑問に苛まれたよ。その日で尤も最初に懐いた疑問はお前に関してのだった」

「な、なにかな?真也くん…」


詰め寄られてその圧に負けたのか、対戦中では初めて声を発した未来。今日この声を何度も聞いたはずであるのに真也はなぜか懐かしさすら感じた。


「おいっ!柿崎書記!」

「っ!…っ」


喋ったのを怒ったのか、芳賀の怒号が耳に入ると未来は肩をビクッとさせて再び黙り込んでしまった。それを見てから真也は続けて言う。



「そうだったよな。オレが初めて疑問に思った時も“こんな風に意味不明に芳賀が怒鳴った時”だったよな」



真也は思い出していた。

彼と芳賀と未来と、そして委員長(♂)がワイワイと海への旅行の話をしていた時のことを。

そこで、未来が何事かを言った瞬間、血相を変えたように憤激して彼女に掴みかかる芳賀。この不思議な状況下でさらになぜか自分のせいとばかりに申し訳なさそうにする未来。


「あの時は状況の不可思議さへの疑問よりも、異常行動に対する激怒の感情がでかかったからな。多分、委員長(♂)はあの時冷静だったから、お前らが中二病患者ヴィクターだってことに気付いたんだろうな」

「はっ、なんの一人言だ?それは。あの時はただ貴様らが会長を侮辱するような物言いだったから、恥ずかしながら思わずカッとなってしまっただけだ」


芳賀はまだ食い下がるが、もはや真也は彼など相手にしていない。


「なら聞こうか、未来。なんでお前はあの時、オレの妄想を理解できた?」






《「えーっ、真也くんっ。ないよーそれはないよー、会長さんに白ビキニはないよー」》








…………、あの時は、偶然だと思っていた。




「『異国情緒溢れる神秘的なドレス』と言っただけで、何で『黒や紫の“ゴスロリ”』だと思った?お前らはどうして落ち合う先を事前に決めていないのに無事に会えた?生徒会は率先して校則を破って携帯でも持ち歩いてやがるのか?」

「そ、それは…」

「なんでもクソもない。他人の考えをも『百発百中クリティカル』出来るだけの話だ」


言葉に詰まる未来の代わりに、芳賀がそう答える。だが、そんなことで怯む真也ではない。


「『百発百中クリティカル』を帯びたサーベル、あれもおかしかった」

「なにがだ?ちゃんと当たっただろうが」

「“それが”おかしいんだ」


意味深に言う真也。


「なんだと?」

「一番初めにお前がオレに攻撃を当てた時、お前はなんて言ったか憶えているか?」

「忘れたよ」

「『なんだ…、そこか』だ。けどこれっておかしくないか?だって梨緒の話からすると『百発百中クリティカル』ってのは概念系能力ノーションキャパシティーなはず。なのに、なんでお前はオレの場所を知っている?」



これは真也が初瀬川はせがわ凛華りんかのキャパシティーを見抜いた時と同じ考えである。

概念系ノーションの法則支配は言ってしまえば、自動施行オートマチックなので『能力者とはいざ知らぬところで能力が発動する』のである。

今回の場合で言えば、『百発百中クリティカル』は対象の位置を理解して攻撃を加えるのではなく、手を離したら“相手はどこにいるか分からないけど”攻撃は当たるという状態なはずだということである。



「そして、今までサーベルが当たったところにも注目したい。脚と肩と腹、最後は抜きにしてもこれはおかしい。なぜなら『百発百中クリティカル』の最もな利点とは“どこでも狙える”という点だ。なら、なぜ心臓を狙わない?狙わないのではなく、“狙えない”んだとしたら、それは未来のキャパシティーが『百発百中クリティカル』ではないということに他ならない」

「……………」

「あと、お前はオレの止血術を見て『能力の応用』と言ったが、次の瞬間には『回復役』だと奇妙なことを言っていた。能力の応用ということを理解しながら、オレの能力の本質を理解していない。これはどういうことか?」

「……………」

「簡単だ、能力の応用だということだけを知っていたということだ」

「でも、どうやって?」


ここまで静かに説明に耳を傾けていた梨緒は、結論を待ちわびた子供のように聞いてくる。


「以上のことをまとめると導き出される答えは、未来が読心能力者サイコメトラーであるということさ」

「………!」

「図星か?芳賀」


芳賀の焦ったような態度を見てニヤニヤする真也。


「で、でも、あの娘が読心能力者なのなら、あの男の先を読んだような攻撃や、回復役のミスリーディングはどういうことなの?」

「それはな梨緒?相手の考えを読み取る女の子は、受信だけでなく、送信も出来るってことさ」


言うと、真也は未来からサーベルを取り上げる。


「能力ってのは自分の一部みたいなもんだからな。この剣を通して自分の考えを伝えテレパシーしていたのだろう。能力の応用の話をしていた時はまだオレはこのサーベルを持っていたからな」

「だから…どうした……」

「あん?」

「だからどうしたと言っているのだ!」


芳賀は声を張り上げた。


「そうだよ!その通りだよ!バレたなら仕方ねえよな!全力で消してやるよ!」


彼の凶暴な目付きを落ち着いた感じで真也は眺めていた。


「柿崎書記!浮いている別のサーベルを取れ!今はチャンスだ!奴は“近くにいるのだからな”!」


未来は言われるままに自分の左側にあったサーベルに“右手”を伸ばす。芳賀はもはや遠慮はいらずと大量のサーベルを手元に集め、それを一気に発射しようとする。





「知っていたさ。そんなことは。“だからこそ近付いた”」

「えっ?」



真也のその言葉に思わず動きを止めてしまう未来。真也はそれを見逃さなかった。


「きゃっ!」


彼はサーベルを右手で先に奪い、左手で彼女の右手首を掴んだ。


「未来、お前の利き腕がどちらかは知らんが、左側の物を取るときは左手で取るのが自然だと思うぞ?」

「なにをする気だ!」

「なぁ、芳賀。お前、言ったよなぁ。オレが看破したときに『だから、どうした』ってよおっ!」


真也はそして何を思ったのか彼女の右手で自分の頭を触らせた。








「っっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!」






すると、未来は超音波の域に至るのではないかと思わせるほどのつんざくような叫び声をあげたかと思うと次の瞬間には気絶してしまっていた。

真也は倒れこむ彼女を優しく受け止める。彼女の顔は涙と口から噴いた泡で濡れていた。真也は自分の袖口でそれを拭う。



「何をしたの?」



この光景が梨緒には余程奇っ怪に映ったのだろう。ひどく動揺した様子でそのように聞いてきた。


「なに、こちとら漫画やゲームで読心能力者サイコメトラーの類いはさんざ見てきたんだ。対処法くらい分かるさ」


真也はここで未来をそっと地面に寝かせた。


「長所は短所、彼女に無理矢理オレの頭の中を覗かせた。オレがこれまで見てきたゲームや漫画のなかでもとびっきりなグロモノ、エログロ、その他名状しがたいエトセトラの特選集をな!」

「あ…アンタは……ねぇ」


梨緒は率直にひいた。

彼のそのやり方は卑怯…というわけではないのだが、どこか後味の悪い、まさしく主人公らしからぬ戦法と言えたからだ。


「ぐっ…ぬ、き…さまっ」

「あ?」


真也はなぜか苦しそうにしている芳賀を見て一瞬ハテナマークを頭の上に乗せたが、自分が持ってるサーベルを見て「ははあっ」と事態を理解した。


「成る程な、嬉しい誤算か!オレを介してサーベルから妄想劇が伝わっテレパシーしたわけか!」


よく科学の実験で、何人の人間が手を繋いでも電気は通るんだよ、みたいなものがあるが、あれと同じようにテレパシーも生体電気を利用しているのだろうか。


「貴様、こんなものを脳内に保存していて、よく平然としていられるものだ。やはり人間ではないのか?」

「CEROさん、いい仕事してるよなー」


だが、ダウンロードしたファイルがビットレートが下がるように芳賀に送ったのは多少生々しさが減っていたのだろう。彼はああしているが普通に戦えそうだった。


「にしても、成る程な。読心能力者サイコメトラーなんているから、不良どものつるみ場をいろいろと知れた訳か。ついでに弱味もそうやって手にいれて…」

「そうだ。この能力は俺達の生徒会活動に活力を与えた。…貴様はカコトピアだと罵ったが、法を守らない社会など野生となんら変わらない」

「だからって、暴力じゃ何も変えられないのは歴史が証明しているぜ?」


真也はフラッシュバックする。

嘗て彼は目の当たりにした。自分を虐めていた奴らに仕返しをするために、能力を行使していた彼の友人を。真也が中二病患者ヴィクターとして最も初めに戦った相手を。


「だけど、分からねえのは何で未来がお前に協力していたかってことだ」

「はっ…?」

「えっ?」


真也は本心から分からないと思って口にした言葉だったが、芳賀にとっては“寧ろそれこそが意外”だったように呆気にとられる。そして真也もまた芳賀のその予想外の反応に思わず同じように返してしまう。


「はっ…ははは…おい、それ本気で言っているのか?」

「本気…とはどういう意味だ?」

「本心から言っているのか聞いているんだよ!」

「っ!?」


真也は芳賀の謎の見幕に戦く。


「柿崎書記は最初からオレに賛同していた。脅しでもなんでもなくな。彼女は不良が大嫌いなのだ」

「なん…で?」

「なんでとは面白いことを言うな遠藤真也。貴様、一年のときは彼女と同じクラスだったのだろう?だのに、彼女がその時“不良共”に虐められていたことも知らなかったのか?」

「嘘……だ…ろ…?」

「本当に知らないんだな。お前のやり方ってのはガンジーが掲げたような『非暴力』でも気取っているのかも知れんが、全然違うな。あえてオレが名前をつけてやるとしたら、そいつは『自己満足』ってやつだ。何もしていないくせに偉そうに縁の下の力持ちだと思い上がっているのさ!」


真也はブワッと目頭が熱くなった。突如湧き出た潤いで瞳に靄がかかったようである。そしてそれはそれだけではおさまらない。顔に清流を幾筋も造り出した。

彼は芳賀に言い負かされたのが悔しかったから涙を流したのではない。いや、感情内にはそれも含まれていたのは否定できない。だが、この感情の暴発の大部分は「また救えていなかったのか」という後悔である。





後悔は前からはやって来ない。






だから人間は簡単に失敗してしまう。

後になって愚かしく、醜く、鬱ぎ込んだり、悔しがったりしてしまうのだ。



「うっ…ぐっ……う」



真也はプライドなんて微塵も気にせず泣きじゃくった。



「……………………」


芳賀は何も言わない。


いつも真也に対して嘲り、侮るように喋る彼であったが、元来は誠実な男なのである。


ゆえに彼は知っていた。この涙の意味を。彼自身もまた経験のあるこの感覚を。


彼らは、信念こそ違えど目指すところは同じなのだ。



しばらくしてから真也がやっと声を吐き出す。


「はっ…はは、確かにオレもまだ未熟かもしんねえな。けど、お前だってそんな不良みたいな遣り方してちゃ本末転倒だろうが」

「言ってろ。こっちには大義名分があると言っているだろう?」

「それじゃあまるで政治家や法律家が法を上手く利用して奴らだけが得をしていくのとなんら変わらないだろうが」

「そう言う貴様は堕落者を肯定することが本当に正しいとでも思っているのか?」

「ふっ…はは」

「はっははは」


何度か討論してから二人は笑いだした。

梨緒には意味が分からない。

ただ、二人からは殺気が消え、戦いが終幕したのだけを悟った。









「話し合いの重要性が分かりましたか?“二人とも”」







「!?」「!?」




真也と芳賀は同時に驚き、同時に声の方を向く。




「委員長(♂)…、それに春香ちゃんまで」



そこには走ってきたのかかなり息を切らしている宮城みやぎ春香はるかと、同じように走ってきただろうに全く息を乱さずムカつくくらいの微笑みを続ける余裕のある委員長(♂)がいた。

よく考えるとそこまで不思議なことではない。真也は既に九条に「因果破りエンターハーフウェイ」について学んでいる。それに委員長(♂)は場所を知っているわけでこの途中参戦は実に自然的なことなのである。


「話し合い…か」


芳賀がため息混じりにそのように言った。

真也にも正直その気持ちは分かる。

彼らは既に『話し合い』というものに裏切られている。話で解決出来ないから彼らは彼らなりに考え、別のプロセスで構築した信念に辿り着いたのである。

なのに、それが煮詰まって落ち合う先が『話し合い』とはあまりにも皮肉過ぎるというのだ。



「人間は理性だけでは生きられません。だからといって野性だけというのは、あまり人間的ではないのです」


委員長(♂)が言う。


芳賀のように校則ガチガチな理性的な社会は精神を病んでしまい、真也のように自由過ぎるのは監視が行き届かないのだ。


「中庸か…」

「いえ、違います。なんでもかんでも間をとって解決するのであれば、世の中はカレーラーメン好きで溢れるでしょう。重要なのは衝突することなのです。今のようにね」


真也はここで委員長(♂)の笑みを見て全てを悟った。

この野郎は最初からこの二人を仲間にする気マンマンだったのだ。けど、オレと芳賀は犬猿竜虎の仲、一筋縄ではいかない。だからわざと戦わせた。雨降って地固まるなんて諺があるくらいだしな。

考えてみればこの二人が来たタイミングも良すぎる。この状況でまだ戦おうとしたら委員長(♂)が春香に指示して、無理矢理止めさせる算段なのだろうか。



「はぁ…、まあ、いっか」



真也はそこまで推測してから、結局は別に委員長(♂)に怒る気にはならず、その場にしゃがみこんだ。

それは真也にとってこの状況が別に好ましくないものではなかったからだ。

彼は芳賀が嫌いだと思っていた。いや実際今でもそんなに好きではない。だが、今回ぶつかってみて思っていたよりは嫌いではないと分かったのだ。




人間は偉人か否かに関わらず、一人では正しい道には進めない。


一人ではどうしても考えがよがってしまうのだ。


トランプを一枚だけで立たせるのが難しいのと同じだ。


いろんな考えの人とぶつかり、その考えを時に否定し、時に受け入れ、支え合うことで、初めてトランプはまっすぐ立つことが出来るのだ。



「……………」



真也はこの6人揃ったこの場を眺めてそのように考えた。








しかし、同時に、彼は何かを忘れているような気もしていた。

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