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<R15>15歳未満の方は移動してください。

騎士と令嬢の約束

ざまぁではないです。


一部表現が怪しいかなと思ったのでR15です。




読んで頂けると嬉しいです!

「シャルロッテ・アンバーソン!貴様の卑劣な行いは全て知っている!愛するリリシアをいじめた罪、到底許されるものではない!本日をもって貴様とは婚約破棄をする!」


この国の王太子であるエアハルト・ドードルムは声を張り上げてそう言った。


王太子の後ろに怯えるように隠れている少女は自慢げに笑っていた。


シャルロッテと呼ばれた少し少女は、不思議そうに首を傾げていた。


「そもそも貴様は、私の婚約者でありながら一切私と交流を持とうとしないし、茶会や夜会でも僕の婚約者として出ない!あろうことか王妃教育する受けない!とんだ怠慢女だ!その上、子爵家の令嬢をいじめるとは、貴様に心はないのか!?この、人でな…」


王太子はそのままの勢いでシャルロッテに暴言を吐いていたが、人混みからある人物がすごい勢いで飛んできたことに驚き言葉を詰まらせた。


尋常じゃないほど殺気を放った男であった。腰に下げていた剣を抜き、王太子に斬りかかったのである。


その素早さに王太子の周りにいた騎士は追い付かなかった。


ダメだと思ったその瞬間、甲高い金属音が鳴り響いた。



「いけませんわ。ディルク様。あの日のお約束をお忘れになって?」


シャルロッテは、近くにいた騎士の腰にあった剣を抜き、王太子に切りかかってきた騎士に対して微笑みながらそう言った。


「…僕が君との約束を忘れるだけないだろう?なに、切りはしない。ただ痛めつけるだけさ。」


ディルクと呼ばれた騎士は、目を細めてそう言った。


「そう。ならば剣を納めて?ふふっそうね。約束を増やしましょう。痛めつけるのもわたくしだけ」


「おや、失念していたよ。我が婚約者殿は独占欲が強かったのだった。剣を納めるから、その剣を渡しなさい。」


ディルクは嬉しそうにそう言い、剣を鞘に収めた。

そして、シャルロッテが持っていた剣を取り、折った。素手で。


「あら、わたくしは貴方と出会ったあの日から、貴方のことを独占したいと思っておりましたのよ?…こんな女は嫌かしら?」


そう言いながら、シャルロッテは少し俯き、憂いを帯びた表情をした。

その顔を見たものたちは、ほぅとため息をついた。


周りの貴族たちを少し睨み、シャルロッテの顔を隠すようにシャルロッテの頭に手を回した。


「そんな顔を他の者の前でするな。今すぐにでも閉じ込めたくなる。…僕は君と話した時から、君だけのものだ。そして、君も僕だけのものだ。君のことを他の者が語るのは許さない。」


柔らかな表情でそう言った後、王太子を睨みつけた。


「ディル……」

声を甘くさせ、シャルロッテはそう言った。



そこには尋常じゃないほどの甘い空気が流れていた。

周りの貴族は固まり、パーティーの音楽を奏でていた演奏家は恋愛の舞台のクライマックスの音楽を奏で、そこにいた画家はベテランも駆け出しも関係なく2人の様子を凄い勢いで描いていた。


あの、愛想笑いしかしない令嬢が、瞳を潤し1人の男を見つめている。


あの、戦闘をしている時だけ笑う騎士が、1人の令嬢に甘い表情で微笑みかけていた。




2人の周りがただただ呆然とし、荘厳な音楽と筆を走らせる音だけが響いている中でいち早く我に返ったのは、王太子であった。


「…はっ!き、き、貴様!私という婚約者がいながら、その騎士風情と浮気をしていたのか⁉︎なんてことだ!」


王太子がそう大声で怒鳴ると、周りの人間も我に返ったようだった。


「………シャル、君はこの男と婚約をしていたのか?」


ディルクは少し口角を上げながらそう聴いた。


その様子にムッとした様子でシャルロッテは、こう言った。


「ディルは意地悪ですわ!そんなはずがないのに!………殿下、わたくしは殿下と婚約した覚えは一切なくってよ?ねぇ、お父様、陛下。」


シャルロッテが振り返った先を見ると、そこにはシャルロッテの父であるアンバーソン公爵と国王がいた。


「うん。あの時、俺はきっぱりと断ったからな。…ディルク殿、少し近くはないか?」


アンバーソン公爵が娘を自分の方に引き寄せながらそう言った。


「申し訳ありません。義父上。」


アンバーソン公爵に向かってそう言いながら、頭を下げた。


「………私も君を愚息の婚約者にした覚えはない。あの時、君が説いたディルクへの愛に私も王妃も感動したのだからな。君たちの婚約を心から祝福したよ。」


国王もまたそう言った。


「と、いうことで殿下?でん、ちょっとディル、前が見えませんわ。え?

「見なくてもいい」

はぁ?わかりました。とりあえずこのままでお話ししますわ!…こほん!婚約破棄もなにもわたくしと殿下は婚約をしておりませんわ!だから、マリーさんをいじめる理由がありませんもの!わたくしではないことはご理解頂きまして?」


ディルクの後ろで少し声を大きくしてシャルロッテがそう言った。


その様子を不思議そうに見ていた王太子が、涙目になりながらこう言った。


「だってリリシアが言ったんだ!誰かにいじめられていると!もしかしたらシャルロッテかもしれないと!だってシャルロッテは私の婚約者だからだと!!」


「……だからわたくしは貴方の婚約者ではないのですよ?いじめていないと言っているのです。」


シャルロッテは、王太子の方を見て諭すようにそう言った。


すると、今まで黙っていたリリシアと呼ばれた少女が大きな声で喋りはじめた。


「ふん!それが本当だとしても、いじめてたのは貴女よ!どうせ男の人たちから人気があったあたしに嫉妬していじめたんでしょ⁉︎」


胸を張って自信満々にそう言った。


「…そう。貴女は学園で人気があったのですね。知りませんでしたわ。だってわたくしは学園には通っていませんもの。」


シャルロッテは微笑みながらそう言った。


その言葉に王太子とリリシアが驚いた。


「どういうことだ⁉︎学園には通っていないとは⁉︎」


王太子が声を荒げたながらそう聞いた。


「わたくしは3年前にはもう学園の卒業資格を所得していますわ。今は騎士学校に通っています。…わたくしは殿下の婚約者ではないし、学園には通っていないのです。つまり、リリシアさんをいじめる理由もいじめる時間もないのです。」


いつもの愛想笑いを浮かべて、シャルロッテはそう言った。


二人はシャルロッテの言葉に最初は信じていない様子であったが、近くにいる国王と宰相が頷いているから本当なのだろうと悟った。


「そう言ったって!あんたの取り巻きは学園に通っているでしょう!そんなのあんたが取り巻きに頼んであたしをいじめたんじゃない!」


それでもまだ諦めていないのかリリシアはまだ吠え続けていた。


「……言いにくいのですが、その、わたくしには友人やその、取り巻きと言える方がおらず、いつも1人ですわ。」


シャルロッテは悲しそうな笑みを浮かべながらそう言った後、少し俯いた。


そうするとすぐにディルクがシャルロッテを強く抱きしめてこう言った。


「僕がいるから大丈夫だろう?僕は一生君のそばにいるから。」


愛おしそうにシャルロッテを見つめ、髪を撫でた後、王子の方を見てこう言った。


「…ということなので僕の婚約者は此度の事件とは関係がないように思われますが、もう一度調査をしなおしたほうが良いのでは?」


すると、すぐに国王と宰相の方を向いて、こう言った。


「陛下、義父上、そろそろよろしいでしょうか?元々今夜の夜会は挨拶だけで構わないと伺っていたので。」


「あ、あぁ。もう下がって良い。シャルロッテ、今日は本当に済まなかった。また後日お詫びを。」


陛下はそう言って、前の玉座に歩いて行った。


「じゃあ、あとは頼んだよ。ディルク。」


その後に公爵がこう言って続いていった。


「はい。陛下、義父上私たちはこれで失礼致します。…行こうか、シャル。」


ディルクは国王と公爵に頭を下げたあと、シャルロッテの手を取り歩き始めた。


「えぇ、それでは失礼致します。」


シャルロッテもまた、礼をしてそう言った。


ディルクとシャルロッテが出口へと向かっていくところを周りの貴族や騎士はただ見つめていた。


その様子は本当に仲の良い恋人であった。


2人が出口から出た後、高らかに宣言をした。


「楽しい場をこのようにしてしまい申し訳ない!今夜の埋め合わせは必ずさせて頂く。その前に今夜は皆に伝えたいことがあるのだ!…」




「まさか今頃あんなことを言われるなんて思っていませんでしたわ!」


シャルロッテは少し疲れたように、でもなんだか楽しそうにそうディルクに話しかけた。




ディルクは少し拗ねたような顔でシャルロッテを見つめた後、エスコートしていた腕を引き寄せまた、力強く抱きしめた。


「君が、僕だけの君が、その美しい琥珀の瞳に他の男を写しているのが気に入らなかった。気が狂いそうだった…!」


ディルクは苦しそうにそう言った。


「ふふっ、嬉しい。わたくしがディルの感情を揺さぶっているのね。あぁ、ディル、ディル、わたくしは貴方だけのものです。そして貴方もわたくしだけのものよ。」


シャルロッテはそう言いながらディルクを優しく抱きしめ返した。


「あぁ、あぁ!勿論だ。愛してる、シャルロッテ。」


ディルクはそう言い、シャルロッテの顔を上に向かせた。


そして2人は月明かりに照らされながら口づけをした。




「いつか必ずわたくしを殺してね。」





ちなみに、あの2人のことだが、

王太子は王位継承権が剥奪された。


また、リリシアが学園の女生徒にいじめられていたというのは嘘であった。

王太子や他の貴族の男生徒の気を引くための嘘であったと素直に認めたのだ。


本来ならば王族への偽証の罪で、子爵家取り潰しなどもあり得たが、家は全く無関係なことや、意外に反省していることから、子爵令嬢として王妃の生家が運営している孤児院でボランティアをすることが決まった。


子どもは好きだったようで、真面目に働いていると王妃に報告に来た院長が言っていた。




そのことを聞かされた、ディルクとシャルロッテは興味がないように「へぇ。」とか「よかったわね。」とか互いを見つめながら返事をしていた。


その後、ディルクが爵位を継ぎ、3人の子どもに恵まれて幸せに一生を終えていった。


2人は寄り添って最後をほぼ同時に終えていたようだった。

読んで頂きありがとうございます。

互いに互いのことを愛しすぎています。


2人の出逢いとかこれまでの生活とかも書こうと思います。


よろしければ評価等して頂けると嬉しいです。

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