表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女の選択  作者: 由芽
第一章 魔女の白昼夢と青年の初恋
2/9

魔女の白昼夢と青年の初恋(1)


 緑豊かな土地アディス。美しい水と澄んだ空気が、美しい薔薇を育てるこの地では、薔薇の香水が特産品である。他にも薔薇のジャムに薔薇のクッキー、薔薇の生花と特産品には事欠かないが、第一級の静庸地でもあり、まだ魔法が強く息づく神秘の土地でもある。


 そんなアディスで、黒髪碧眼の少女ローザは、薬草をとりにちょっとした崖をよじ登っていた。


 「ローザ!危ないからよして!」


 親友のモニカの声に「あと少しだから!」と答えて手を伸ばす。


(この薬草があれば、原価無しで治せる人がたくさんいるもの。)


そうすれば、安価で薬を提供できる。みんなは普段より安く買えて、ローザは普段より儲かって、良いことずくめだ。


『ローザ、わざわざよじ登らなくたって箒をつかえばいいのに。』


薬草の位置を教えてくれた鳥が、ローザの横に来て囁いた。


「いいのよ、お金のために魔法を使うのは好きじゃないの。」


魔女仲間の中には魔法で生計をたてているものも大勢いるが、ローザのポリシーは魔法ではなく知識で生計をたてることだ。


『頑固ね。まあ、がんばって頂戴。これで借りは返したからね。』


 一か月ほど前に怪我をしてローザに助けられた鳥は、そう言って旅立った。はぐれた仲間に追いつけるといいけど。そう思ってまた一段石をのぼる。下でハラハラしているモニカのためにも早くのぼらなくてはと思うが、焦って落ちては元も子もない。


 慎重に登って崖の中腹にある穴へ辿り着く。一息ついて顔をあげるとお目当ての薬草は果たしてローザの予想を超えるほど十分に咲いていた。


「モニカ!あったわ!すぐにとっておりるから!」


「急がなくていいから!安全に!」


心配そうに見上げるモニカに微笑んで、ローザは地道に薬草を袋に入れ始めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ