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ブルーベリー・ストーリー  作者: oga
カンナ編
9/35

脱出

「うご、くな」


 トリガーに指をかけ、けだるい体でどうにかサンクに銃を向ける。


「……そんなもの、隠していたのか」


「下手なことをしたら、うつ」


「そんな状態でできるのか? やってみればいい」


 サンクは、お構いなし、といった具合だ。

くそっ……

銃口の狙いが定まらない。

加えて、トリガーを引く指に力がこもらない。

その時、リザが目を覚ました。


「きゃああああああああっ」


「うるせえっ!」


 サンクがリザを殴りつける。

まるで夢の中にいるみたいに、体が言うことをきかない。

撃て、と脳が命令するも、トリガーを引けない。

リザがいいように弄ばれる。

体が熱くなる。

狙いの定まらない銃口で、僕はトリガーを引いた。


「……っぐ!」


 サンクが、驚いた顔をして、僕を見た。

片方の目が、赤だ。

衝撃で、コンタクトが一枚、目から剥がれ落ちたらしい。

負傷した肩を手で押さえ、次の瞬間、姿が消えた。


「……! どこに消えた」


 サンクが突然消えた。

ベッドの下を覗いても、いない。

僕は、リザの肩をゆすった。


「大丈夫か?」


「うっ……」


 まだ、意識が朦朧としているのか。

リボルバーをベルトに挟んで、リザを抱きかかえてると、無理やり部屋から脱出した。











 テーブルに置いてあった車のキーとサイフを盗み、僕らは屋敷を後にした。

隣街までやって来ると、車を路肩に止めて、扉に手をかける。


(リザに服を買わないと……)


 だけど、リザをここに一人にしておくのは危険か?

唐突に消えたサンク。

唐突に現れる可能性だってある。


「……」


 でも、車は1時間以上走らせたし……

その時だった。

小声で、リザがこう言った。


「いか、ないで」


 ……リザが目を覚ますまで、待つか。








  

 早朝、昨日のしおらしい態度とは打って変わって、リザは一人で服屋へと向かった。

上着を買ってくると、タバコを手にして戻って来た。


「アンタも吸う?」


「えっ、何でそんなの買ってきたの」

 

 紙タバコを一本口にくわえて、火をつける。


「吸わなきゃやってらんないでしょ」


 いやいや、未成年だよね?

……でも、あんなことがあって、いかにリザといえど、内心堪えたのかも知れない。

僕だって、人に向けて銃を撃ったり、正直、ナーバスな気分は抜けない。


「……じゃあ、一本だけ」


 一緒にタバコを燻らせる。

タバコの苦い味が、舌の上に広がった。

タバコを吸い終えると、窓から投げ捨てて、リザが言った。


「ロズウェルまで、私が案内するから、運転頼むわよ」


「案内するのはスマホだよね」


「うるさいわね。 いいから、行けっ」


 僕らは、ロズウェルへと向かった。


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