表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブルーベリー・ストーリー  作者: oga
カンナ編
6/35

出発

「ほら、立ちなよ」


 リザが僕に手を差し伸べて来る。


「ほんっと、心配したんだけど」


 僕は、その手を取って起き上がった。


「私だってビックリしたわよ。 おばさん、急に銃を向けてくるんだもの」


 それで、咄嗟に草むらに飛び込んでやり過ごしたらしい。

おばさん、何で急にスイッチが入ったんだろう。

……もしかしたら、僕が手がかりをつかんだことと関係してるのかも。


「で、手がかりは?」


「これ、見て」


 地図アプリの中に、ロズウェルが登録されてることを説明する。


「ここに、おばさんがアンタに渡したい何かがあるって訳ね」


 僕は、コクリ、と頷いた。


「確証はないけど」


 リザは、すぐにそこに向かおう、と言った。


「マジ!? ちょっと急じゃない? 移動手段だって、お金だってないけど」


「そんなの、ソレでどうとでもなるでしょ」


 リザが指さしたのは、僕が手にしているリボルバー。

いやいや、銀行強盗でもする気かよ……

それでも、無理やり手を引かれて、僕らはトレーラーハウスを後にした。








「ねえ、やっぱ準備不足だって!」


 僕は、ひたすら前進していくリザに、そう呼びかけた。

しかし、つべこべ言わず歩きなさいよ! と一括されて終わる。

絶対、無理だ。

ロズウェルまで歩いて行くなんて……

それに、この森は昔、殺人があった場所で、地元民は絶対一人で出歩かない。


「……まあ、今は二人だけどさ」


 とにかく不気味だ。

森の奥から、殺人鬼が僕らに目を付けてるんじゃないだろうか?

リザもそのことを知ってるハズだし、怖くないのか?


「ねえ、この道、絶対やばいって」


「あんた、ここ通学路でしょ。 まさか、殺人鬼うんぬんにビビってるわけ?」


 図星だ。

でも、そんなわけねーじゃん、と強がって見せる。


「ふ、ふざけんなよ! 誰がそんな……」


 その時、僕らの脇に一台の車が停車した。

パワーウインドが開くと、車内から男が呼びかけて来た。

20代くらいの好青年って感じだ。


「2人とも。 こんな夜中にどこに向かうつもり?」


「あ、私たち、ロズウェルって所まで行きたいんですけど…… 途中まで、乗せてもらえませんか?」


 乗せてもらえたらラッキーだ。

でも、若干うさん臭い気もする。


(まあ、これもあるし、平気か)

 

 最悪、襲われそうになったら銃がある。


「一日じゃ行けないし、もう辺りも暗い。 お金はあるの? 今日は近くのモーテルにでも泊まった方が良いと思うよ。 そこまでなら送ってもいい」


 この人、悪い人じゃなさそうだ。

連れ去って僕らを殺すのが目的なら、家に来なよ、とか言うに違いない。

それに何より、目の色が青だ。

信頼していいと思う。


「……それなら、あなたの家に泊めてもらえません?」


「えっ」


 僕と運転席の男は、同時にそう言った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ