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3 槍の力を使わないで戦うエンド

 僕は、槍を前に突き出して、叫んだ。


「リザ、逃げろっ」


 10対1じゃ、勝負にならないだろう。

それでも、刺し違える覚悟で、戦ってやる。


「うおおおおおおおおっ」


 僕は駆け出して、目の前の大将に斬りかかった。

その間、リザが逃げる。

後は、暴れまわって相手の気を引くだけだ。


「力が使えなければ、お前など大したことはない。 みんな、手を出すなよ!」


 槍を受け止められると、そのままはじき返される。

槍なんてほとんど使ったことないし、本当に僕には戦神の血が流れているのだろうか?

それくらい、凡庸な戦いっぷりだ。

その時、大将が鎌を逆さにして、振り子のように揺らし始めた。


(これって…… まさか!)


 もしかして、催眠の鎌か!?

だとしたら、僕はこのまま催眠にかかって、ジ・エンドだ。

そう思った矢先、黒いコートの一人が、大将に飛び蹴りを見舞った。


「うっ」


「それは、元々私の鎌だっての!」


 黒いフードが外れて、顔が晒される。

うそでしょ!

その正体は、カンナおばさんだった。

死んだふりをして、こいつらに紛れ込んでいたんだ。

鎌をむしり取ると、叫ぶ。


「おめえら、私にちゅうもーく!」


「するか、ボケッ」


 コートの一人が、鎌の切っ先をおばさんに向ける。

すると、その鎌から鎖が飛び出して、おばさんの鎌と繋がった。

これは、鎖を操る鎌か?


「なんだこれ、うぜえっ」


 お互い鎌を引っ張りあって、自由を奪われる。

そこに、背後から赤髪が迫る。

あれは、眠りに誘う鎌だ。

僕は、槍を鼻に持って行き、声が続く限り叫んだ。


「ピノキオ! ピノキオ! ピノキオ!」


「わーわーわーっ! 著作権の侵害だ、馬鹿やろっ」


 赤髪の動きが止まる。


「うらああああああああああっ」


 おばさんは、鎖鎌使いの鎖を掴んで、無理やり引きちぎった。

どんだけ馬鹿力なの!?


「……って、今度は何だ?」

 

 おばさんが鎌を振ろうとすると、既にシャボン玉に囲まれている。

恐らく、中に何かが封じ込められているんだろう。

少しでも動けば、シャボンが弾けてしまう。

僕は、槍を扇風機みたく回転させて、シャボンを遠くへと飛ばした。


「ナイス、ウォーリー!」


 それもつかの間、今度は刃をかたどった何かが飛んでくる。

その内の一つがおばさんに命中。

湯気が立ち上った。


「あづあっ……」


 硫酸か?

思わず、鎌を落とす。


「しまっ……」


 僕は駆け出して、その鎌を拾おうとした。

しかし、他のガーゴイルも殺到する。

拾おうとした鎌の中心で、竜巻が起きた。


「何だ?!」


 僕も何が起こったのか分からず、地面に仰向けになる。

そこにいたのは、トオルさんだった。

トオルさんのブレークダンスが、竜巻みたく感じたのか。

ロキさんも一緒にいる。

そして、注目が集まったところで、おばさんが鎌を拾って、振り子のように揺らした。

その場にいたガーゴイルが全員、眠ったように動かなくなった。


「っし、ウォーリー、にげっぞ!」


「おばさん、カッコいい!」


 ベンチの裏に隠れていたリザが言った。










 あの日、僕、リザ、おばさん、トオルさん、ロキさんの5人は街から逃げ出し、トレーラーハウスへとやって来た。

そして、車を改造して、現在、旅をしている。

結局、ガーゴイルを全滅させるっていう目的は成し遂げられなかった。

今も僕らはお尋ね者だ。


「おっ、ウォーリー、お前テレビに映ってっぞ」


 カンナおばさんが、ビールを片手にテレビを見ている。


「俺より先に有名になりやがって、このっ」


 トオルさんが、僕の頭をかきむしる。

運転中なんだから、やめてよね。


「お前たち、静かにしろ。 今、いい所なんだ」


 ロキさんが、ラノベを読みながら、皆に言う。


「それ、面白いの?」


 リザがロキさんのラノベを覗き込む。


「うえっ、全部文字じゃん」


 ……小説なんだから、当たり前でしょ。


「それにしても、せめーな。 この車」


 確かに、狭い。

定員オーバーで、タイヤに負荷がかかりまくってそうだ。

言ってるそばから、タイヤのバーストする音が聞こえた。


「……マジか」


 みんなで、顔を見合わせる。








 これから先、タイヤのパンクどころじゃないトラブルに見舞われるのは必至だ。

この旅がいつ終わるのかだって、全く予想できない。

それでも、僕は今、最高の楽しんでいる。

この4人がいれば、何が起こっても平気だ。

選択肢が無かったら、戦って切り開けばいいのだから。





終わり



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