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ブルーベリー・ストーリー  作者: oga
トオル編
29/35

ロキ

「もしそいつが探してるロキなら、本名は大月ゴロー。 元チンピラだよ。 まあ、俺はその頃のあいつを知らねーけどな」


「その人、どこにいるの!?」


 その質問と同時に、上から声が響く。


「あと10秒待つ! それまでに出てこなかったら、てめーの相方は助からねーと思え!」


 ヤバい……

今出て行かなきゃ、リザが捕まって、どんな目に合わされるか分からない。

ロキに会っている時間なんて、無いんじゃないか?

くそっ、どうすればいい……

すると、トオルさんが僕を腕をぐっ、と握ってきた。


「出ていくんじゃねえぞ」


「……」


 ……仕方ない。

僕はある人物に、一つの望みを託すことにした。

それは、カンナおばさんだ。

あいつらの根城に、おばさんがまだ残っていれば……

僕らは、地上へは出て行かず、地下を進むことにした。

しばらくして、ホームレスの黒人が道端にへたりこんでいるのを発見。


「ここは、ホームレスのたまり場にもなってる地下通路だ。 俺も金が無い頃、ここで寝て暮らしてたよ」


「こんな地下があるなんて、知らなかった」


「この街に住むと、失業した黒人が大量にいるのが分かる。 そいつらは、夜はここで過ごして、昼間は表に出て金をせびるんだよ」


 ふーん……

ホームレスをしたことがないから、そういう人たちにあんまり感慨が沸かないけど……


「このマンホールの上に、ゴローの奴がいる」


 この地下は、街の直下に張り巡らされているらしく、色んな所に繋がっているみたいだ。

でも、何でトオルさんはロキさんのことを知っているんだ?

タラップを登る前に、トオルさんに聞いてみる。


「何で、トオルさんはロキさんの住んでる場所まで知ってるの?」


「ここに住んでたんだよ。 でもその内、仕事を見つけて地下から出ていった。 俺らは出身が同じでよ。 見た目も似てっから、すぐ意気投合したんだ。 で、しばらくあいつの住んでるアパートに泊めてもらってたりもした。 そん時、奴の素性を教えてもらったのさ。 昔、どんなだったか、とかな」


 そういう経緯があったのか。

それにしても、ラッキーだ。

この調子なら、すぐに槍の鎖を外せるかも。

タラップを伝って、地上へと出る。

外はひんやり寒く、茶色のボロアパートが乱立している。


「ここら辺はこの街で地価が一番安い。 こっちだ」


 トオルさんの後を追って、アパートの中に入る。

そして、階段を上り、203号室と書かれた扉をノックした。



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