ロキ
「もしそいつが探してるロキなら、本名は大月ゴロー。 元チンピラだよ。 まあ、俺はその頃のあいつを知らねーけどな」
「その人、どこにいるの!?」
その質問と同時に、上から声が響く。
「あと10秒待つ! それまでに出てこなかったら、てめーの相方は助からねーと思え!」
ヤバい……
今出て行かなきゃ、リザが捕まって、どんな目に合わされるか分からない。
ロキに会っている時間なんて、無いんじゃないか?
くそっ、どうすればいい……
すると、トオルさんが僕を腕をぐっ、と握ってきた。
「出ていくんじゃねえぞ」
「……」
……仕方ない。
僕はある人物に、一つの望みを託すことにした。
それは、カンナおばさんだ。
あいつらの根城に、おばさんがまだ残っていれば……
僕らは、地上へは出て行かず、地下を進むことにした。
しばらくして、ホームレスの黒人が道端にへたりこんでいるのを発見。
「ここは、ホームレスのたまり場にもなってる地下通路だ。 俺も金が無い頃、ここで寝て暮らしてたよ」
「こんな地下があるなんて、知らなかった」
「この街に住むと、失業した黒人が大量にいるのが分かる。 そいつらは、夜はここで過ごして、昼間は表に出て金をせびるんだよ」
ふーん……
ホームレスをしたことがないから、そういう人たちにあんまり感慨が沸かないけど……
「このマンホールの上に、ゴローの奴がいる」
この地下は、街の直下に張り巡らされているらしく、色んな所に繋がっているみたいだ。
でも、何でトオルさんはロキさんのことを知っているんだ?
タラップを登る前に、トオルさんに聞いてみる。
「何で、トオルさんはロキさんの住んでる場所まで知ってるの?」
「ここに住んでたんだよ。 でもその内、仕事を見つけて地下から出ていった。 俺らは出身が同じでよ。 見た目も似てっから、すぐ意気投合したんだ。 で、しばらくあいつの住んでるアパートに泊めてもらってたりもした。 そん時、奴の素性を教えてもらったのさ。 昔、どんなだったか、とかな」
そういう経緯があったのか。
それにしても、ラッキーだ。
この調子なら、すぐに槍の鎖を外せるかも。
タラップを伝って、地上へと出る。
外はひんやり寒く、茶色のボロアパートが乱立している。
「ここら辺はこの街で地価が一番安い。 こっちだ」
トオルさんの後を追って、アパートの中に入る。
そして、階段を上り、203号室と書かれた扉をノックした。




