ハンモック
「うう、さっぶ」
用を足しながら、僕は身震いをした。
男子トイレから出て、券売機へと向かう。
そういえば、電車に乗るのなんて、ほとんど初めてかもだ。
券売機は2台並んでいて、一つは誰かが買っている。
「えーっと……」
画面上には何やら文字がたくさん出ていて、どれを押せばいたんだ?
「くっそ、どれ買えばいいのよっ」
ガン、ガン、と隣で券売機を殴っている。
(こっわ…… 買い方が分からないからって、殴るのは無いよなぁ)
「ねぇ、これ、どれ買えばいいの?」
ヤバい……
隣の客が話しかけて来た。
僕は、都心行きはどれかな~、と独り言を呟きながら、聞こえないふりをした。
「ウォーリー、聞いてる? どれ買ったらいいのよ」
……リザ!?
まさか、隣の怖い客がリザだったとは……
とりあえず、購入するチケットを教えて、僕らは別々のホームへと向かった。
列車に乗り、槍を立てかけ、外を眺める。
都市部へは1時間程度で到着する予定だ。
気づくと僕はウトウトしていた。
「……さま、お客様」
「……あれ?」
「終点ですよ、お客様」
気づくと、終点の目的地に到着していた。
慌てて降りる。
終点が目的地で良かったよ。
ホームから階段を上がり、改札を抜けると、景色が一変した。
巨大な液晶ディスプレイがビルの側面に取り付けられ、黄色いタクシーが道を行き来している。
僕の住んでいる町とは違い、まさに都会だ。
僕は、スマホからトールのいる、フィッシュマンを検索した。
「……ここから、結構近いな」
スマホの地図を見ながら、フィッシュマンへと向かう。
華やかな大通りから狭い脇道に入る。
ゴミゴミしていて、小さな店がいくつもあり、その中にフィッシュマンはあった。
「クローズド、まだ早かったか」
店は夜からで、まだまだ時間があるな。
時間をつぶそうと、公園の方までやって来たけど、ここで夜まで凌ぐのはしんどいことに気づいた。
吐く息は白く、今の季節は冬だ。
「ダメだ、ホテル行こ」
僕は、先に今晩泊まるホテルを探しに行くことにした。
ところが、
「げっ、めちゃくちゃ高いし……」
スマホの地図でホテル、と検索すると、周辺のホテルがピックアップされるも、どれも一泊100マネーはする。
都市の物価がこんなに高いなんて……
50マネーで浮かれてたのが馬鹿みたいじゃないか。
「……ここにしよ」
僕は、ホテルは諦めてある場所へと向かった。
ここは、ハンモックカフェだ。
最近、都市部で流行っている〇〇カフェ。
空中にいくつもハンモックが取り付けられていて、みんな、本を読んだり、スマホをいじったり、思い思いの過ごし方をしている。
「1時間1マネーです。 お飲み物は別料金ですので、ご了承下さい」
「分かりました」
ハンモックに憧れていた僕は、目をキラキラさせながら、どれにしようかと迷った。
適当なハンモックをチョイスして、靴を脱ぎ、身をもたせる。
「う、うわあっ」
重みで体がハンモックにめり込んでいく。
網編みに包まれて、焼豚みたいな状況だけど、めっちゃ癒される。
「やばっ、超楽しい!」
あはっ、あははっ!
これ、すごいいい!




