覚悟
どうしたらいい!?
こんな展開になるなんて……
アクセルを踏み込んで逃げるしかないか?
でも、もうガソリンが空だ。
逃げられない。
パニックに陥っている状態で、もう一人の警察がこちらに向かってきた。
銃を持っている。
「手を上げろっ」
警察が、窓から銃を向ける。
ガアン、という音。
リボルバーの最後の弾丸を、リザが発射した。
「くっ……」
警察の左胸辺りに命中し、悶絶。
もう、めちゃくちゃだ。
僕は、車から降りて、ハッチから槍を取り出した。
槍を握り締め、天に掲げる。
そして、
「ウオオオオーーーッ」
膝を折って、突っ伏している警察に、背後から槍を突き立てた。
警察官の動きが、止まる。
槍を引き抜くと、反動で尻餅を着いた。
「う、うわあああっ」
思わず、槍を投げ捨てる。
動悸がして、吐きそうだ……
立ち上がるも、その場で嘔吐いた。
「うぷっ……」
口に手を当てて、吐き気を堪える。
目に涙が溜まった。
「ウォーリー、逃げるのよ」
リザに手を引かれる。
「ガソリンが、無い」
「アレよ」
リザは、パトカーを指差した。
……そうか。
この状況で、よくそんな判断が出来るな、と思ったが、僕らはパトカーに乗り込んだ。
パトカーにはガソリンがたっぷり入っている。
近くの駅までやって来ると、車を乗り捨てた。
リザが近くの店で適当な食料を購入し、その袋を槍の切っ先にかぶせる。
「ここからは、別々に行動した方がいい」
さっきの警察官は応援を要請する際、カップル、というワードを使っていた。
だから、2人でいるのは危険かも知れない。
それに、別行動にはもう一つ、理由があった。
「リザ、スターって人の所に向かって欲しいんだ」
おばさん曰く、そのスターって人は、死者を呼び出すことが出来るらしい。
それで、僕の両親を呼び出して、この槍の使い方を聞くことができる。
それを、リザに説明した。
スマホから、スターと連絡を取り、アポを取る。
「行き先は、真逆みたいだ」
「……なら、ここでしばらくお別れね」
一寸先は、闇だ。
人生、どうなるか分からない。
つい30分前まで、リザと一緒に旅を続けると思っていたのに……
リザは、財布を取り出して、中身を折半した。
「丁度、50マネーずつ。 サンクがリッチで良かったわね」
確かに、これだけあれば一ヶ月は凌げるだろうか。
「もう後には引けないんだから、覚悟、決めなさいよね」
リザはそう言って、列車のホームへと向かった。




