道中
「まあ、急がば回れってやつ?」
ノンストップで運転するのは危険だ。
肩がこるし、視力も低下する。
僕らは、途中のパーキングエリアで、ガソリンの給油と、昼食にありつくことにした。
隣でリザが、ラジオから流れるロックに合わせて、首を上下させている。
なんやかんやで、リザとならこの旅も楽しいかもだ。
「あんたも、ノリなさいよ」
僕も、一緒に首を振る。
「ははっ、あははっ」
「あははっ」
思わず、可笑しくなって二人で笑い始めた。
すると、脇に1台、パトカーが止まっているのが目に付いた。
一緒、ヒヤリとするも、横を通過して安心する。
(無免許だから、捕まったらヤバい)
もし無免許がバレたら、旅はそこで終わる。
カンナおばさんとの繋がりも発覚するだろうし……
リザが、後ろを向いて中指を立てた。
「ファック、ポリス!」
その時、サイレンを鳴らして、パトカーが後を追ってきた。
「馬鹿、リザっ」
「えっ……」
中指を立てたから、こっち来たのか?
そんな訳、ない。
スピーカーから、車を横につけなさい、と言われ、大人しくしたがう。
路肩に車を着けると、パトカーから男が降りて、こちらに近づいてきた。
男は、車の窓をノック。
僕は、パワーウィンドを開けた。
「どうしました?」
出来るだけ普段と変わらぬ口調を心がけた。 相手は、警察手帳を見せながら、こう言った。
「昨日、近辺の森で若い男の遺体が発見された。 犯人は男の所有する車を乗り捨てており、指紋を車内に残している。 現在、この一帯で捜査網を展開中だ。 申し訳ないが、ご協力願いたい」
「はあ……」
心臓が早鐘を打つ。
ヤバい!
こんな早く、サンクの遺体が発見されるとは。
しかも、車の指紋は僕のものに違いがなかった。
ハンドルについている指紋だろう。
警察が、インクを僕に差し出した。
「これを親指につけて、この用紙に押してくれ」
「……」
躊躇えば、怪しまれる。
インクを親指に塗布。
用紙に押そうとした、その時。
キーン、という耳鳴り。
左を向くと、リザがリボルバーを抜いていた。
「何してんだ……」
「あ……」
「何、してんだよっ!」
口から血を吐いて、警察官が崩れる。
リザのやつ、いくらガーゴイルだって認識があるとは言え、警察を撃つとは思わなかった。
リザが、小さく言った。
「こうするしか……」
クソ……
なんてことしたんだ……
「救援を要請、仲間がやられた。 相手は若いカップル2名だ」
背後から、声がした。




