地上へ
扉を開けて、通路を走る。
カサカサと音がし、背後に蛇が迫っていることに気づく。
(扉を開けた時、シャボン玉がついてきたのか……)
その内の一匹が、飛びかかってきた。
「うっ……」
咄嗟に槍を突き出し、ガード。
柄に噛みついた蛇を、振り回して吹き飛ばす。
再び、前を向くと、天井の影の穴が小さくなっている。
(マズい!)
急がないと、塞がる。
でも、脚立がない。
「……どこだ?」
光が付いたり消えたりするせいで、周りを把握しにくい。
躍りかかる蛇を槍で払いのけつつ、通路を見渡すと、端に寝かせてある脚立を発見。
急いでそっちに向かい、抱えて影の穴の真下に立てる。
脚立の天板に登り、手を伸ばすも、ギリギリ届かない。
(くそっ)
蛇が脚立の下に殺到し、絡みついて這い上がって来た。
僕は、槍を影の穴へと投げ入れ、両手を自由にした。
脚立から飛んで、地上の地面に捕まれば、ここから脱出できるだろうけど、つかみ損ねれば、蛇地獄。
120パーセント、助からない。
でも、ためらってる暇はない。
(1,2の……)
僕は、その場から思い切りジャンプした。
日差しが眩しい。
僕は、どうにか地上へと戻ることができた。
槍を杖代わりにして起き上がり、リザのいる車へと向かう。
ところが、車内にリザはいない。
「リザ、あいつ…… どこに行ったんだ?」
もしかして、僕が影の中にいる隙に、連れ去られたのか?
しまった……
考えもなしに飛び込んで、リザを一人にしてしまった。
僕は、後悔に苛まれつつ、ダメ元でトレーラーハウスの方へと向かった。
「……あれ」
何か、音が聞こえる。
テレビの音か?
急いで扉を開けると、チーズをテーブルの上にまき散らし、缶ビールを一気しているリザがいた。
「プッハ! おっかえり~、ヒック…… おっそいわよ、全く」
「おまっ、何してんのさ!」
「お前呼ばわりしないでよ、ヒック、私にはリザって名前、ありますからぁ~、ヒック」
完全に酔っぱらってる……
この後、無理やり車に乗せたら、突然、僕の方にゲロをぶちまけた。
災難だ……
結局、一度シャワーを浴びてから出発する羽目になった。
リザは色々不満があったらしく、槍を使って活躍したいとか、戦いのたびに留守番はつまらないだのと愚痴っていた。
(そこは仕方ないだろ……)
それより、僕の心には、マリアさんを助けられなかったことが引っかかっていた。




