能力
マリアさんのお香の匂いは僕にはさっぱり分からない。
それでも、おばさんの鼻はそれをばっちり捉えてるらしい。
おばさんの後に続く。
通路の脇の扉を開けると、非常階段のある部屋に辿り着いた。
エレベーターもある。
「……電源、切れてんな」
エレベーターの呼び出しボタンを連打するも、かごは一向に降りてこない。
諦めて、階段を上るも、途中から瓦礫で道が塞がれていた。
「多分、この上なんだけどな……」
天井でも落ちてきたのかって位、石や木で道が埋まっている。
手で撤去できるレベルじゃない為、一旦引き返す。
「ウォーリー、他に道、あったか?」
「……さあ」
探すしかないんじゃない? そう言おうとした時だった。
おばさんの頭の上らへんに、透明な球体が漂っている。
見上げると、天井に取り付けられている室内機から、シャボン玉が放出されている。
「おばさん、これ、何だろ」
「……シャボン玉?」
おばさんがそれを指で触ると、弾けて割れた。
ドサ、と細長いものが地面に落ちる。
中から現れたのは、ヘビだ。
「うわあっ」
思わず、飛び退く。
床面のヘビが、尻尾を立てておばさんを威嚇している。
「シャーッ」
「んだてめー、やんのかコラ!」
いやいや……
毒蛇とかだったら、ヤバいでしょ。
てか、顔の周りが平べったいし、多分、コブラだよね。
「おばさん、それ、毒蛇!」
「げっ、マジか……」
おばさんが躍りかかろうとするのを、声で制す。
シャボン玉は次々と降りてきて、僕らの周りを取り囲んだ。
割ったらマズい。
「これ、アレだわ。 ナンバー6の毒と、ナンバー11のバブルの組み合わせだ」
「ナンバー? 何、それ」
「私らが使ってた戦闘用の鎌のナンバーだよ。 全部で50種類あって、普通、一人一本なんだが、組み合わせて使うことも出来るみてーだな」
催眠の鎌の別物ってことか?
でも、それが分かった所で、どうすればいいんだ?
「ウォーリー、槍、ちょっと貸せ」
おばさんに槍をむしり取られると、突然、扇風機みたいに回転させ始めた。
風圧で、シャボン玉が部屋の隅に追いやられる。
「っし、おめーは扉から逃げろ。 脚立が転がってたから、それで入ってきた影から出れんだろ」
「おばさんは!?」
「エレベーターのワイヤーを伝って、上に行く」
おばさんがコブラを槍で叩き斬ると、僕の方へと投げた。




