影へ
僕は、声を張り上げた。
「リザ、出てくるなっ」
そして、無我夢中で影の中へとダイブした。
ここは、どこだ?
使われてない廃墟、みたいだけど。
天井があって、水が滴っている。
通路は、コンクリートか。
脇には、蛍光灯が設置されているが、チカチカと付いたり消えたりを繰り返している。
「ガーゴイルの本拠地か?」
「おばさん!」
カンナおばさんが僕を追って、影の中へとやって来た。
「だとしたら、シンの野郎もいるかもな」
「シンって?」
「ガーゴイルの親玉だよ。 まあ、そいつを倒した所で、今更だけどな。 それでも、一発ぶんなぐんねーと、気が済まねぇ」
カンナおばさん曰く、ガーゴイルは元々人間で、ストレスを受けるとごくまれに発病。
ガーゴイルになるらしい。
ガーゴイルには、影に潜る能力、分裂する能力があって、後者を使って爆発的に増えたそうだ。
そして、元を辿ると、シンって人に辿り着くらしい。
「まあ、分裂する能力は馬鹿な死神のせいで身につけさせちまったんだけどな。 つか、お前、その槍まともに使えんのか?」
「えっ、いや…… おばさん、使い方知ってる?」
「知るわけねーだろ!」
おばさんも知らないんじゃ、誰も分かんないだろ……
でも、戦い方も分からないでこんな所に来るなんて、間抜けだ。
「なら、直接、お前の両親に気かねーと分からねーか」
「両親…… 僕の!?」
「ああ、死体安置所に、お前の両親が眠ってんだ。 死者を呼び出す鎌の持ち主、スターって奴がいるから、協力して貰え」
……協力して貰えって。
まるで、おばさんは協力できない、見たいな言い方だ。
「私の携帯、お前が持ってんだろ? スターの番号が入ってっから、それで連絡取れ」
「ちょっと待ってよ、おばさんも着いてきて……」
「……」
おばさんは、こちらに向き直った。
「私は、いけねーよ。 だから、お前に託すんだ」
短いセリフの中に、重い意思を感じた。
僕は、何も言えなかった。
(でも、そんな頭ぼさぼさじゃ、格好つかないよ)
「お香の匂いがすんな。 この匂いを辿るぞ」
……おばさん、犬なの?




