襲撃
マリアさんがマイクと連絡を取ってくれた為、僕は眠っても問い詰められずに済んだ。
トレーラーハウスに到着する前日、僕らはモーテルに泊まり、トランプなどをして時間を過ごした。
「さて、明日も早いから、お子ちゃま達は早く寝ないとね~」
「マリアさんは何するの?」
リザがトランプを片しながら、聞く。
「私は一杯飲んでから寝るけど」
「ずるっ、私も混ぜてよ」
「未成年はダメ! 全く、マセガキなんだから……」
さっきから部屋には、アロマの甘い香りが漂っている。
マリアさんの趣味はお香で、元々あがり症だったのが、作業前に香りを嗅ぐと落ち着くから、と始めたのがきっかけらしい。
「明日、うまくいくといいね」
扉を開けて、振り向き様、マリアさんが言った。
コク、と頷く。
きっと、大丈夫だ。
早朝、8:00。
トレーラーハウス付近に車を止めて、僕らは外に出た。
「僕が槍を見せて、おばさんの催眠を解く。 で、マリアさんは外で待機、何かあった時、援護お願いします」
「私が車で待機って、もう少し活躍させてよ」
マリアさんが来てから、どことなく影の薄いリザだが、特別やれることもない。
「仕方ないよ」
車のハッチから槍を引き抜き、バタン、と閉めた。
車内でリザがまだぶつくさ言っている。
だけど、くぐもった声しか聞こえない。
トレーラーハウスに近づく。
この時間、おばさんはもう目を覚まして、仕事の準備をしているハズだ。
ドアをノックする。
「……」
すると、勢い良く扉が開いた。
「ウォーリー!?」
「あ、おばさん、おはよ」
寝起きだった為か、髪は四方八方に飛び散って、しかも寝間着姿だ。
「ウォーリー、お前、今までどこに……」
「おばさんの渡したいもの、見つけたよ」
おばさんに槍を見せる。
すると、はっ、とした表情になった。
「それは……」
その時だった。
周囲から突然、男が現れた。
思った通り、ガーゴイルが影から飛び出してきた。
僕は、槍を構えておばさんの前に立った。
「がはっ」
銃撃。
マリアさんが、トレーラーハウスの脇から飛び出して、オートマチックを乱射した。
鎌を持った男が倒れる。
手筈通りだ。
まず、鎌を持った奴を狙う。
しかし、男は鎌を手放さず、そのまま影の中に姿をくらませた。
「ぐっ……」
もう一人も倒す。
残りは、後一人か。
「キャッ」
その時だった。
マリアさんの体が後ろに倒れたかと思うと、影の中へと引きずり込まれた。
「しまった!」
男が影から顔だけ出して、言った。
「助けたければ、追ってこい」




