マリア
マイクから、隣町に行けと指示を受けたが、僕はそうはしなかった。
「……あれっ、どこ行くのよ」
僕は、車のキーを回してエンジンをかけると、来た道を引き返した。
「カンナおばさんを、助けに行く。 うまく行けば、催眠で使ってた鎌を取り戻せるかもしれない」
カンナおばさんは、突然現れた黒いスーツの男らに連れ去られて、少ししたら、催眠をかけられて戻って来た。
確か、その時現れたスーツの一人が、鎌を持っていた。
リザはまた、はあっ、とため息をついた。
「そういうことなら、協力するわよ。 全く、ちゃんと出発前にいいなさいよ」
意外にも、リザは反対はしなかった。
「サンクをアンタが殺したって分かって、アンタが分からなくなってた。 でも、アンタのおばさんを助けたいって気持ちは理解できるし、私もそうすべきだって思う。 でも、槍の使い方も分からないし、大丈夫なの?」
正直、後ろに積んである槍を使いこなす自信なんて、ない。
「でも、何とかなるんじゃない? ガーゴイルを倒す切り札なんでしょ?」
「……まあ、行きながら考えましょ」
僕らは、昼食を買うために道端のスーパーに立ち寄った。
ここら辺は道が果てしなく続き、街もないため、スーパーとガソリンスタンドが一体になった店が要所要所にある。
「今日、明日はこれで十分でしょ」
買い込んだのは、パン、レッドブル。
途中、眠ったらマイクにバレてしまう恐れがあるため、カフェインたっぷりの栄養剤を何本か購入した。
袋を持って、車の止めてある駐車場に戻ると、見覚えのある人物が待ち構えていた。
僕らの車の前に立っているその女性は、ロズウェルにいた金髪ショートのウェイトレスだ。
「窓から逆方向に行くのが見えて、後をつけて来たけど。 どこに行くつもり?」
「げっ、バレてる……」
勘のいいウェイトレスだ。
僕は、正直に事情を説明した。
「……なーんだ、それなら早く言えっての! アタシが協力したげるからさ。 私の名前はマリア。 君のことは名前だけ知ってるけど、そちらのおチビちゃんは?」
「私はリザ」
「リザ!? 私の親友と同じ名前じゃん!」
……そういえば、さっきマイクが、マリアとリザを守ってる、みたいなこと言ってたな。
「へーえ、そうなんだあ…… でも、ちょっと紛らわしいなあ。 リディア、とかなら良かったのに」
「人の名前にケチつけないでください」
こうして、マリアが同行することとなった。




