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もふもふのぬいぐるみ


「ああ、結構濡れちゃったよ。」


今日の天気は曇りで、雨は降らないと言っていたのに……なのに土砂降りの雨。スマホで天気を見ると暫くふるみたい。生徒会活動で日曜日の学校に行くだけでも、結構めんどいのに雨に降られるなんて凹む。


「天気予報ってホント当たらない。はあ、ついてない。」


友人と別れるまでは、雨はポツポツだったけれど、途中から雷模様の土砂降りになった。だから近くの軒先で、雨宿りに入ったのだ。そこは、古びた電気屋さんの看板があるガラクタ店だった。電気屋さんには見えないほど、壺とか金属の板とか大きなバネ?スプリング?みたいなものが店先にあり、そっと店の中を眺めると、やっぱりテレビとか、冷蔵庫みたいな品物はないみたいで、ガラクタが所狭しと置かれていた。あっ、あれは電信柱の上に乗っているバケツみたいなのっぽい。


「……」


 ふと、誰かに呼ばれたような気がした。その瞬間、お店の中に足を運んでいた。午後1時前でお店のカウンターにはハンチングを被ったお店の人が1人座ってテレビを見ながら、ぶつぶつ言っていた。私が来たことにも気が付いていないみたいで、テレビを点けるのに夢中みたいだ。


そんなおじさん(?)の座るレジを横目に、気配のする方へと足を向けた。こっちかな?いや、こっちだ。このお店、本当にところ狭しと物が散乱している。これ木彫りの龍だ。その隣には、へのへのもへじみたいな画、洞爺湖のペナント、木刀、これは古いゲームの箱だよね?ちょっと持って見ると中は空っぽだ。


そうしてたどり着いたのは、人形のコーナーだった。フィギアって言うんだっけ。なんか、男子が好きそうな美女系人形が並んでいる。なんか胸デカいな。肩こりそう。あれのどこが良いんだろうなんて思いながら、視線のようなものを感じてそちらに目を向ける。

こっ、これは、かっかわいい。


私の目線の先にあったのは、私の手のひらより2周りぐらい大きな、くまのぬいぐるみ。黒ビーズのような目に、モフモフの手足、頭にピンクのリボンを付けていた。

お値段は税込108円でした。私はこのぬいぐるみを持って、テレビを見ているおじさん?店員の元に。おじさんは、レジの横でカップ麺を啜りながら、テレビを見ていた。


「ズズズー。ふぁ。チッ。……客さん。買うの?」


と、舌打ちをして、私がレジに置いたぬいぐるみを見て、


「ああこれは……。どうか……。まあいっか。フンじゃ100円で。」


「はい?」


何かぼそぼそ言っていたのが気持ち悪かったことと、お値段の安さに驚いて、咄嗟に聞き返した私に、


「100円だよ。ほらさっさとして伸びちゃうじゃん。」


と、ぬいるぐるみの横に置いた、コップ麺を顎で指す。

ちょっと、イラッとしつつ、安いならいっかーと、お金を払おうとしたとき、レジ横に安そうな透明ビニール傘も売られていることに気が付く。


「あっ、これも。」


「えっ。ああはいはい。2つで1180円ね。」


傘、たかっ!などと思って躊躇していると、


「買うの買わないの?早くしてくれる。うちも忙しいんだから。ほんとのびちゃうじゃんか~。」


と低い声で、言われた。

結局、1000円+税の傘、100円税込のぬいぐるみを買って家まで帰った。


傘は、家に入る前に、突風で骨が折れた。あの店にはもう2度と行かないと決意したのは言うまでもないはなし。ぬいぐるみは、部屋にある低い4段タンスの上、小学校入学前頃に両親から貰ったウサギのぬいぐるみ「しましま」の隣に座らせたんだけど、なんでこのぬいぐるみが欲しいと思ったのかは、謎だった。



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