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血潮を以て道と成す  作者: あらにゃず
過去容認編
3/4

強者

「えっと、とりあえず自己紹介しようか!俺の名前はバルム。バルム・グェーター、今は護衛巡回隊長の任についているんだが…君の名前は?」


口では優しげに喋りかけてきてはいるが、目はじろじろと観察してくる。

負けじと俺も観察しているが…

ダートの格好はだぼだぼのズボンに、上はポンチョのようなものを羽織っている。髪は酷く乱れ、髪は長く、ほとんど口元しか見えない。

そして目を引くのが、髪や頬についた黒ずんだ赤。


経験からくる、互いに感じた強者特有の気配。


((強い!))


バルムには、「子供の見た目に反して」とつくのだが。


さて、どうしたものか。

会話をしたところで、証拠という証拠が顔についてしまっている。

牢獄にでも入れられるのは、目にみえている。

こんなことなら服装を整えた時に、その辺の服で拭えばよかったか。


今さらだなと、新たな選択肢を考える。


いっそ被害者面でもしてみようか…?


殺人鬼に、友達を目の前で殺され、近くにいた俺に返り血がつく。

生き残りが俺だけになり、ついにその時がというときに玄関からノックの音がする。

犯人は逃げたし、……駄目だ。

どうしてそこから俺も逃げるんだ。

確かにあのとき護衛巡回のものだと名乗っていた。

普通に考えたら助けを求めるものだろう。


やめだやめだ。

結局これが一番単純で、俺らしい。


口をニィっとし、バルムに向かって走り出しす。

あの男は強い。真っ直ぐ向かっていったのではやられるだろう。

懐から牛刀を出し、刃が衣服に包まれたまま投擲した。

抜き身よりも、よく分からない包まれた物。の方が注意をひくはずと判断したからだ。


対するバルムの反応は早かった。

目の前の少年の口が歪んだことに警戒し、飛んできた不審物に風の魔術で近くの木に叩きつける。


「風よ!はっ!」


軽く構え、向かってくる少年を迎え撃つ。


ダートは魔力を纏い、身体能力を強化。

右手は特に魔力の密度をあげ、硬く、鋭く纏う。


もう少しで射程圏内というところで、急加速し、左足を踏み込み、右手を指を揃え突きだす。

貫手である。


 ̄ ̄ ̄ ̄

一瞬だった。

これまで数々の戦闘によって磨きあげた技。

鎧も骨も肉も一瞬で貫く、一点集中の必殺。

投擲による陽動、急加速によるフェイントもいれた。踏み込むタイミングも申し分ない。

だがバルムと名乗った男は、易々と迎撃してみせた。


俺は負けたのだ…

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