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血潮を以て道と成す  作者: あらにゃず
過去容認編
2/4

物色

ひとまず、人目の無いところに移動しよう。

季節は冬、外は寒いはずだ。

そう思い、クローゼットを片っ端から開けていく。

重要なのは実用性だ。温かく、丈夫なもの、あまり目立つ色はやめておいた方がいい。


次は食料。調理場付近にある、横開きの扉を開く。

ここは孤児院、子供とはいえそれなりの人数だ。つまり、食料庫もそれなりに大きくなる。

大人4、5人は入れるであろう空間を、見渡した。

整理された棚が3つあり、アレルゲンごとに整理されている。

手頃に食べれるものは、口に放り込み、日持ちするものは、その辺で見つけてきた革袋に、中身がごちゃごちゃするのも構わず入れていく。


「水は魔術でいいか。」


そう。この世界には魔術というものがある。

自分の中にある魔力を消費して、現象を起こす術だ。

基本的には自然界の現象になぞらえて、火、水、土、風、という属性に分けられているが、魔術の用途は多種多様である。

傷の治りを促進させたり、逆に健康な状態に異常をきたすこともできる。


最後に装備品。

とりあえず調理場にあった牛刀を拝借。

適当な衣類で包み、懐にしまいこむ。


路銀がほいしところだなと思い至ったところで、玄関口の扉をノックする音が聞こえきた。


「すいません、護衛巡回中のものですがー?」


「ッチ!」


咄嗟に荷物を手に、裏口から逃亡。

しようとしたのだが、裏口には靴がなかったのだ。

仕方なく素足で駆け出す。

裏口から出た所は、林になっていて、葉の落ちている木など隠れも出来ず邪魔でしかない。


「はぁはぁ」


数分走り続け一息いれた。そして逃亡を諦める。

今、自分は護衛巡回とやらをしていた連中に追われていたのだが、尋常でなく速い。

途中、魔術による妨害も試みてみたが、追ってきた二人のうち、一人は脱落させることができた。だが、残った一人が問題だった。

魔術は軽く払いのけ、着実に距離を詰めてくるのだ。


足を止めて数秒、ザシュっと雪を踏む音が聞こえ振り返る。


「いやー、君足速いねぇ。俺も足には自信があるんだけど、将来は抜かれちゃいそうだよ。」


そして、義父となるバルムと出会うのだった。

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