あとがき
夜は嫌いだ。
ほんの一時期だけ住んでいた東京。帰宅途中に夜の環状線を見上げ、ふと呟いた言葉。
それがきっかけで生まれたのが、この物語でした。
そのときは大した文字数も展開もない、ありふれた話だと思っていたのに。いつのまにかキャラクターたちが勝手に動き出し、「大自然を前に人間は無力よね」とか本筋に無関係ないことを喋り倒し(終わってみるとちゃんと伏線っぽくなっていて驚き。さすがは姫野さん。「苗字だけで女っぽくしなさい」と作者に文句をつけてきただけのことはある。サブキャラのくせに)、ちょっとしたギミックを提示されては「これをどこかに、自然に入れなさい」と何度も投げられたり。
そんな彼らの若さに影響されたのか、たくさんの音楽を作ってしまう羽目になり。
振り回されつつも、なかなか楽しい時間でした。
小説について物思いに耽りながらつらつらと綴りたいのは山々ですが、そこは我慢して、音楽について触れますね。
聞いていただけたでしょうか。
この企画をしようとしたきっかけは、相互ユーザー様から「なろうの小説に音楽提供したら面白いんじゃないか」と提案していただいたことでした。あれはもう、随分前ですね。あのときは本当にやることになるとは思わなかったのですが……。時間の経過とともに作者個人の心境や身の回りにも様々な変化が起き、チャレンジすることになりました。
元々は人様の作品に音楽提供することを考えていたのですが、そのとき丁度この小説を書いていたので、「じゃあ、まずはそこだろう」ということで。でも、単にテーマ曲をひとつ創るだけだとさほど面白くない。だから、小説の流れに合わせてたくさん創ろう。
そんなことを考えました。
僕の知る限りでは前例のないジャンルなので、色々と苦労しました。BGMとして創るにしても、人によって読むペースが異なるため、テンポが合わないとどうしても気持ち悪くなってしまう。
ですので、「まず小説だけを読んで、その後に音楽も単品で聞いて想像していただく」という形式にしました。イメージソングに近いですね。シーンや心理の切り替わりに合わせて展開をさせているので「この曲のこの部分はこの辺かなあ」なんて想像していただければ嬉しい限りです。ちなみに、「僕がちょっと早めに読むペース」くらいで計算して作っている部分が多いですね。
僕はアマチュアです。小説も音楽もアマチュアです。ですので、色々と粗はあると思います。
それでも「自分の作品にも音楽を書いてほしいなあ」と少しでも感じてくださったのであれば、お気軽にお問合せください。喜んで曲を創りに行きます!
夜が嫌いだ。
あの言葉が生まれた瞬間から、もう十ヶ月ほど経ちました。ずいぶんと時間がかかってしまいましたね。このお話は僕自身の経験が色濃く反映されています。それを消化しきるのには、やはり長い時間が必要だったのでしょう。同時に、思い入れも深いです。
この作品を待っていてくださったみなさま。
初めましてのみなさま。
これまで出会った全ての方に感謝いたします。
2017年 9月 たった一度の大好きな夜にて