第11話 迷いの森の隠者
三連休や……
「嫌だぁ!ねぇ!ここどこ!?ねぇ!」
悠介が叫びながらやみくもに走っている。
迷いの森はただ森が広くて迷うのではなく、
木々が成長しつづけ、しかもそのスピードは
尋常では無く来た道を見失うほど。
そのうえ凶暴な魔物が沢山いるため、
死の森とも言われている。
「ひぃぃぃい!なんか触ったぁぁぁ! 」
悠介の頬に木のツタがあたる。
「くそっ!くそっ!どうしてっ!こんな……め…に…」
悠介の前にはとても大きな木が生えていた
そしてその木の上の、上の、とても上の方…
そこには小さな小屋があった。
「なんだ……あれ…?」
悠介は好奇心で木に張り付いたツタに手をかけて
ゆっくりと登り始めた。
「ハッ!」
クロが襲いかかる植物のツタを切った。
「クロぉ!その植物はビルバレンという食人花です!
節が多くてツタや花を切っても意味はありません!
茎の付け根を狙ってください!」
(真由美が魔法を撃てばいいのでは…?)
クロが茎にむかって剣を振り下ろした。
するとクロの剣は勢いよく折れて、宙を舞ったあと
地面に刺さった。
「ぬ…やはり折れたか…!」
「クロ!」
「くっ…!」
(危ない……真由美、早く魔法撃って…)
「ゼェ……ハァ………あと……少しぃ……」
ゆっくりではあったが悠介は木を登っていき
あと少しで小屋のある高さにつくというところ
だった。
「これで………終わりじゃぁぁぁぁぁあ!」
悠介が木を登りきるとそこには思っていたよりは
少し大きな小屋があった。
だが、小さい事には変わり無かった。
「すみません……ハァ…誰かいませんか…ハァ…」
するとそこには誰もいないで、よくわからない種が
入った瓶とそれをしまう棚、大きな毛皮の塊が床の
真ん中にあり、ヒノキのような匂いのする室内。
「なんだ、ここ…?とりあえずお邪魔。」
悠介は毛皮の塊に飛び込んだ。
「ふぅ、どうせ廃墟だろ…棚とか本とか埃被ってるし」
「ん?」
ふと悠介は不思議に思った
(この毛皮の塊は何? 若干暖かい。なにこれ?)
「う…動いてる…!?」
悠介は反射的にそこから飛び上がり床に
寝そべった。
(とりあえず死んだふりでもしておこう。)
ぅうっっつつううつ……
唸り声の様なものがすると毛皮が立ち上がった。
それは毛布や布団やソファーなどではなく
紛れもない生きた動物だった。
(クマー!!!)
ガチャ…
小屋のドアが開いた。
「なんと!人だと!?お前、怪我をさせて……ん?
怪我がない???無傷??うわ!目開いた!」
悠介が目を開けるとそこには老人が立っていた。
「け、怪我はないか?」
悠介は現在の状況を察した。
(ははーん。ここの主みたいなかんじか。
ここは人芝居売って儲けよう。)
なんて図々しい。
「あぁ!痛い!せ、背骨が痛い!
これは大きな病院に行くお金が必要だ!
でも俺はお金なんて…!」
「なんだと!やはりな!上に乗られたりしたのか!
金ならある!持っていきなさい!」
(キタコレ!老人チョロすぎw)
悠介がほくそ笑んでいると小屋の中に
窓からクロと真由美が飛び込んできた。
ガシャダァァアン
「ん!?悠介!!やはりここか!!
大丈夫か……って、ユグドラシルさん!?」
「ん?おぉ、アスタロト君じゃないか!」
「おぉ、この方が?お初にお目にかかります。
神崎真由美と申します。ユグドラシルさんの
お話はお伺いしています。失礼を承知で言います。
サインください!」
「はは!いいよ。」
(え?ユグドラシル!?魔王!?ってことは!?
俺、魔王を騙した!?まじで!?)
(え……バレたらやばくね……?)
悠介は冷や汗が止まらなかった。
暑い夏は水分不足に気を付けなければ…
倒れてしまいますね。0(:3 )〜 _('、3」 ∠ )_