#8
僕はタブレット端末にて、カメラに映し出された友梨奈さんの様子を「監視」という名の「見守り」をしている。
「……っつ……!?」
僕はある光景を見て言葉を失った。
確か、彼女がここから出て行ったあと、早急に瞬間移動で友梨奈さんが通っている学校に何ヶ所かカメラを設置してからあまり時間が経っていないはず――。
「なんてことだ……」
その画面に映し出された映像。
机の中には大量のゴミ、椅子の上に敷き詰められたとされる無数の画鋲など……。
それを女子生徒達がきれいに片づけているところが映し出されていた。
しかし、そのような中で「自分には関係がない」と思っているのかは分からないが、周りを気にせずに化粧をしている者や会話を続けている者――。
「まるで、学級崩壊ではないか……」
むしろ、その光景は「学級崩壊」を通り越し、「いじめ」の領域ではないかと感じ始めている僕がいた。
そういえば、それを友梨奈さんは「なんでもない」と言っていたはず。
本当は彼女の心の中では「誰かに話したかった」、「誰かに助けを求めたかった」という思いや感情があったのではないかと――。
「友梨奈さんはさぞかし辛かったでしょう」
本来ならば、友梨奈さんの口から僕に伝えてほしかった。
「学校の先生や保護者の方に相談できない内容なのだろうか? それならば僕に相談すればよかったはずではあるはずなのに……」
僕が愚痴をこぼすかのように言う。
たとえ、そう思ったとしても相談できないということが現実だ。
人には「普通に話せる内容」と「誰にも話せない内容」、「少し曖昧」、「秘密にしたい」などの感情があるはずだから――。
2016/12/06 本投稿
2016/12/06 改稿