#39
僕は「瞬間移動」で友梨奈さんが通っている学校の食堂に到着した。
「バッドタイミングでしたね……」
「ジャスパー先生!」
ここまでの経緯はリアルタイムでタブレット端末から拝見させていただいたが、今はそうはいかない。
なぜならば、彼女の前では知らないふりをしなければならないのだ。
「まるで、修羅場みたいだ……」
「そうですね」
普段の生活で話している口調にも関わらず友梨奈さんはいつも通り相槌を打っている。
「友梨奈さん、ちょっと……」
「ハイ?」
「彼女はおそらく重要な手がかりを持っていらっしゃると思いますよ?」
「篠田さんですか? やっぱりそう思いますよね!?」
「さぁ……それはどうでしょう……」
僕は推測してきたことを友梨奈さんに告げる。
やはり、彼女も僕と同じ考えを持っていたとは思っていなかったのだ。
「僕はヒントを与えただけです。それを見極めるのは友梨奈さん。あなた自身ですよ?」
僕がしれっと友梨奈さんにこう言うと、「……そうでした……」と少し落ち込んだ模様。
たとえ、このことについて僕が何か重要な分かったとしても、彼女に完全な答えを教えられない。
今後は友梨奈さんがその答えを見つけなければならないのだ。
「あっ、変な質問をしてもいいですか?」
彼女は僕に問いかける。
僕はどのような質問なのか分からないため、「どうぞ?」と続きを促そうとした。
「……やっぱり、いいです……」
「……いいのですか?」
「ハイ」
「さて、僕もそろそろ解析を始めなければ……」
「解析?」
「……いえ……友梨奈さんのことではありませんので、ご安心を」
「ハイー!?」
友梨奈さんは悩んだ末、質問することを止めてしまう。
僕が言った「解析」は彼女の今後の人生のことが絡んでくるのだ。
おそらく友梨奈さんは「えーっ!? 何それー!? 私にとって、それは1番重要なことですよ!」と言いたくなりそうではあるが――。
「あははは……それだから友梨奈さんは面白いのです」
「それはどうも」
先ほどの彼女が言った「ハイー!?」が面白かったので、ついつい笑ってしまった。
周囲は僕が時間を止めているため、今は2人で話している状態のため、変な空気が流れていた。
どうにかして話題を変えなくては……。
「ところで、話は変わりますが、昼食後の友梨奈さんのクラスは体育なのですね?」
「そうですよー」
「急がなくていいのですか?」
「うっ……ちょっとヤバいかもしれません!」
「その通りですね。お友達も移動や授業の準備などの時間もありますので、急いだ方がいいと思いますが……」
なんとか話を変えてみたのはいいものの、友梨奈さんは食堂にある壁時計を見て焦りを感じ始めている。
「デスヨネー」
「さて、僕は戻りますかね……」
「もう戻るんですか?」
「ええ、一応はこちらも休憩時間なので、少し様子を見にきただけですので、では」
僕はここにくる前に緊急手術を終え、リアルタイムで現在の様子を見て現在に至るため、昼食は残念ながらまだ取れていないのだ。
「早く戻らなければ、午後の診察が始まってしまう……」
僕は「瞬間移動」で速やかに診察室へ戻るのであった。
2017/08/11 本投稿
※ Next 2017/08/12 0時頃更新予定。




