#37
「――――これで手術を終わりにします。お疲れ様でした」
「「お疲れ様でした!」」
緊急手術を終え、僕は手術着を脱いだ時、「先生!」と呼ばれたので、今回の手術で携わった医師が反応する。
視線の先には僕を呼び出した看護師だった。
「僕ですか?」
「ハイ」
僕らは彼女が誰を呼んだのかは分からなかったので、問いかけてみる。
看護師は頬を赤くしながら答えた。
他の医師達は「自分じゃないのか……」とか言いながら手術室をあとにしていた。
「あ、あとででもいいですよー」
「できれば今からでもよろしいですか?」
「いいですよー。あそこの小部屋でも」
「分かりました」
僕達は手術の準備をする小部屋に向かう。
「お忙しい中ありがとうございました!」
「いえいえ、とんでもございません。今回の手術はとてもやりやすかったです」
「ほ、本当ですか!? わたし、凄く嬉しいですー!」
「ええ。本当ですよ」
「また急患の時は呼びますねー」
「ちょっ……次回は他の医師に……」
「そうですねー。どうしてもという時は呼びますねー」
「その際はよろしくお願いいたします。まだあと半日残っていますので、頑張っていきましょう」
「ハイ!」
看護師が僕に話したかったことはそれだけだった。
今回の手術ではあまり関わりの少ない部署ではあるが、彼女も頑張って仕事をこなそうとしていたところが印象的。
また手術の時に偶然にも再会する日がくることを願って――。
†
「……あっ……」
診察室に戻ってきた僕は何かを忘れていたことに気がついた。
「録画設定をし忘れてしまった……」
それは友梨奈さん達が「学校案内ツアー」をしている間の様子は分からない。
なぜならば、僕が緊急手術のため、タブレット端末を録画モードに設定しなかったこと。
その電源を落としてしまった関係上、彼女らは今は何をしていることやら――。
「彼女らは今頃、昼食を取っているはず……「「学校案内ツアー」の場面の間に友梨奈さんは何か分かったことはあったのだろうか……?」
僕は机の中からタブレット端末を取り出し電源を入れてみたところ、本当に「学校案内ツアー」は完全に録画されていなかった。
「やはり、録画はされていなかったか……って……修羅場に入ろうとしているではないか!?」
画面に撮されていたものは大きな伏線になりそうな修羅場が起ころうとしていた。
2017/08/09 本投稿
※ Next 2017/08/10 0時頃更新予定。




