#34
「……くっ……」
先ほど、机に手を叩きつけてしまったため、ジンジンしている。
「まずは手を冷やさなければ……」
これから診察時間に入るのに、患者から「なんで手が赤くなってるの?」と言われたらもの凄く恥ずかしい。
僕は録画モードに切り替え、ナースステーションで氷枕か保冷剤を取りに行こうと思い、回転椅子から立ち上がった。
†
数分後、僕は保冷剤を手に当てながら診察室に戻ってきた。
録画しておいた場面の少し前から見ていく。
「の、結衣さん? さ、さすがに今からだと1時間目が始まっちゃうから昼休みにしよう?」
「そうだよ。昼休みにしようよ」
「授業はサボっちゃダメだしねー」
「白鳥さんはいつもサボってるだろ?」
「バレた? さすが、学級委員長!」
案内人に指名された生徒達も先ほど僕が思っていたことを口にしていた。
「デスヨネー。やはりそうなるよな……」
僕は彼女らのやり取りを聞きながら、こくこくと頷く。
ところで、授業をサボっている生徒もいるとはどういうことだ?
「友梨奈さんを見習って、その少女を真面目に授業を受けてほしいところだが……」
世の中には真面目に授業を受けていない者も試験の点数がよかったりすることもあるが、中学生は授業態度や生活態度などで内申点に影響される。
よって、内申点は高校受験に影響される重要なものなのだ。
他の生徒達も呆れた表情を浮かべていることが納得できる。
ところで、なぜ僕は教育関係について語っているのだろうか……。
「しまった、診察時間が……」
一応、保冷剤で手を冷やしながらタブレット端末を見ていたが、あっという間に診察時間になってしまった。
それなのに対し、まだ手が赤いのは訊かないでいただきたいところ。
「あとは録画で拝見させていただこう」
その端末を再び録画モードに切り替え、机の引き出しにしまう。
保冷剤に至ってはあとでナースステーションを通る時に片付けるとしよう。
まずは午前中の予約患者から捌かなければならないので、友梨奈さんのところには休憩時間にしか伺えない。
彼女は学校に通い始めてから、何か得られることがあるといいのだが――。
2017/08/06 本投稿
2017/08/06 誤字修正
※ Next 2017/08/07 0時頃予約更新予定。




