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#24

 僕は先ほど友梨奈さんから受け取った「転生手術のための要望書」をじっくりと読んでみる。


 その用紙の最後の項目である「今回の目的はなんですか?」という質問。


「友梨奈さん、あなたは面白い方ですね」


 本人の前では決して言えないがその回答が面白く、僕は笑ってしまった。



 †



 ついに迎えた彼女の転生手術の本番――。


 僕は友梨奈さんの病室の扉を叩く。

 中から「ハイ」と返事があったため、僕はその中に入った。


「失礼します。友梨奈さん、おはようございます」


 なんか入ってはいけなそうなタイミングだと僕は思う。

 なぜなら、彼女は病室で体操をしていたからだ。


「おはようございます!」

「昨夜はよく眠れましたか?」

「ハイ……」


 彼女は苦笑を浮かべるが、少し不安そうな表情をしている。


「そういえば、今日の手術って痛くないですか?」


 やはり、友梨奈さんは不安だったようだ。

 実際の患者でも彼女のように「痛くないですか?」、「全身麻酔ですか?」と問われることが多い。

 手術する部位にもよるが、麻酔には2種類存在する。

 局部に作用させ末梢神経の活動を抑える「局所麻酔(きょくしょますい)」と中枢神経系の機能を抑制して意識を失わせる「全身麻酔」の2種類だ。


「ええ。今回の手術は全身麻酔ですので痛くないと思います。あなたが目を覚ましましたら、別世界ですよ」

「……ジャスパー先生、最後のは大袈裟ですよ……」

「そう思いましたか? 実際は本当ですよ?」


 今回は後者の「全身麻酔」を使用する。

 僕はできるだけ手術の前は患者に安心できるような声かけをしているが、今回は逆に友梨奈さんに不信感を与えてしまったか少し不安になってしまった。


「さて、友梨奈さん。あと少しであなた以外の人になれるのですよ?」

「そ、そうですね」


 おや、まだ不信感が……。

 僕は頭を掻きながら、どう言葉をかけるか困っていた。

 時計を見たら、手術開始2時間前となっているため、急いで準備しなければ。

 「では、僕は手術の準備してきますね」と言い、彼女の病室から出ていった。


 僕は今回の手術を失敗したくないと思っている。

 彼女をなんとしてでも前世に戻すために――。

2017/03/20 本投稿

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