#19
僕が地表に降り立った時にはすでに友梨奈さんがコンクリート上でうつ伏せの体勢で横たわっていた。
彼女の腕や脚などには擦り傷や痣などがたくさんあり、どこもかしこも痛々しい。
「やはり、間に合わなかったか……」
最悪なことに僕は聴診器を持っていなかったため、友梨奈さんのブレザーとYシャツの袖を捲る。
かなり原始的ではあるが、右手の脈拍と胸の動きを見て呼吸をしているかどうかを確認した。
続いて、幸いにもペンライトは持っていたため、瞳孔の動きも同様に確認する。
「……瞳孔も動いていないし、呼吸もしていない。脈は残念ながら取れないな……」
先ほども僕が言ったとおり、彼女は胸や瞳孔は動いておらず、脈拍も取れなかった。
友梨奈さんは誰もが望まない「無言で自ら命を落とした」のだから。
おそらく彼女は両親や教師にこれまでの苦悩を誰にも話さずに学校の屋上から自殺したので、後悔したところはあったのだろうと推測した。
†
そのようなことを考えていた僕は友梨奈さんをお姫様抱っこをして、瞬間移動で運んでいる。
すっかり冷え切ってしまった彼女の小柄な身体。
もう2度と開かない瞳からうっすらと涙がこぼれ落ちる。
僕の手に触れた涙は冷たく感じた。
「……うーん……」
果たして、友梨奈さんのクラスメイトは彼女のカンニング疑惑や学園ドラマや漫画みたいないじめの定番シーンをやったりと一体全体、何が面白かったのだろうか?
僕には彼らの行動や言動についてはさっぱり分からない。
おそらく友梨奈さんも僕と同様に何も分からずに、自殺したのだと思う。
「そういえば……今頃気づいたが、彼女らは受験生だったはず……」
彼女らは中学3年生であり、本来は受験生。
ただし、私立大学の付属や中高一貫校であればそのままエスカレーター式で受験がない学校も少なからず存在している。
「僕がそのようなことを気にしている場合ではないな。診察室に着いたら彼女を蘇生させることが最優先だ」
僕は友梨奈さんをお姫様抱っこをしたまま、彼女が通っていた学校から僕の仕事場である診察室へ向かう。
診察室に着いたら、まずは友梨奈さんには申し訳ないが、大至急、蘇生措置を施そうと目論みながらニヤケている自分がいた。
次回以降は医療シーン(手術など)が入ります。
苦手な方はご注意くださいませ。
2017/02/21 本投稿




