#18
穏やかではない別れから一夜――。
友梨奈さんを襲う悲劇はまだ終わらない模様。
彼女らは部活の朝練を終え、使ったものを片付けていた時のことだった。
「楽器を片付けたら、音楽室にきて」
「分かった」
「了解」
友梨奈さんの元友人であるクラスメイトの女子生徒が現友人である他のクラスの女子生徒に声をかけ、2人はそれぞれ異なった反応を示す。
彼女らのやり取りを横目にしながら友梨奈さんは何かを察していた。
†
彼女は本来は待つ必要はなかったが、2人がくるまで部室である音楽室前で心配そうに待っていた。
「さ……き……」
しかし、彼女らは友梨奈さんを素通りして、楽しそうにしゃべりながら音楽室から教室へ向かっており、3人の姿はどんどん小さくなっていく。
彼女は誰もいなくなった廊下に1人取り残されていた。
†
「こういうのは難だが……寂しいな……」
僕はここまでの内容をタブレット端末で見ている。
友梨奈さんの人間関係は愚か、学校生活にも影響があるのではないかと僕は感じていたのだ。
ここ最近、彼女のクラスメイトはいつも友梨奈さんに対して陰口を叩き、脚をわざとかけたり、彼女が何をやっても笑ったりする。
友梨奈さんはいつも気にしないように「ごめんね」とか「またやっちゃったね」と笑ってごまかしたりしていたが、徐々にストレスになっていると――。
朝の数分間の学活を終え、彼女は担任である女性教諭を追うようにして職員室に向かって歩いていた。
おそらく友梨奈さんはいじめのことについて相談したいことがあったのだろう。
しかし、彼女は首を横に振り、職員室に行くことを止めた。
友梨奈さんは徐々に歩く速度を速めながら職員室を通りすぎ、屋上の入口付近に着いていた。
彼女は薄暗い階段の踊り場で制服の内ポケットからペンとメモ帳を取り出し、勢いに乗って今までの苦悩とお礼を書き出し、ある程度書き終えたら、それらをそこにしまう。
友梨奈さんは屋上の扉を開き、 1歩1歩、手すりに向かって脚がガクガクと振るわせながら歩き始めた。
「……もしかしたら、彼女は限界かもしれない……!」
僕は彼女が自ら命を絶とうしているため、急いで瞬間移動を発動させた。
しかし、僕の瞬間移動は屋上から飛び降りた友梨奈さんより遅かった――。
2017/02/14 本投稿