#15
そして、翌日……。
ついに、彼女のココロにヒビが入るような出来事が起きてしまった。
――人間関係の崩壊――。
それは音沙汰もなく彼女の心をズタズタにさせてしまう。
†
友梨奈さんはいつもより遅く登校していた。
なぜならば、その日は部活動の朝練がなかったため、珍しくゆっくりすることができたからだ。
「おはよう」
彼女はいつもより警戒しながら教室に入る。
そこにはすでにほとんどのクラスメイトがおり、友梨奈さんの友人達は何人かと楽しそうに談笑していた。
「なんか、聞こえなかった?」
「気のせいだよね?」
「空耳じゃない?」
「幻聴? やだー」
「ついに、このクラスに幽霊が現れたとか?」
「やめてー。幽霊が出たら、学校に行けなくなっちゃう!」
女子生徒達が一旦、談笑を止め、周囲を見回しながら話している。
それを見た友梨奈さんは驚愕の表情を浮かべていた。
彼女らに無視され、彼女の友人は友梨奈さんが学校にきていることに気がついてないのではないかとショックを受けていると思われる。
「おっ、カンニング女がやってきたぜ?」
「本当だ」
「もういい加減カンニングしたと認めればいいのにな」
「だよなー」
男子生徒達も相変わらず、彼女を見かける度に「カンニングした」と言ってくるため、厄介にすぎない。
友梨奈さんが「カンニングをしていない」と彼らに言い返した時だった。
「木野さん、もう諦めて認めたら?」
誰かが冷淡な口調で彼女に向かって言い放ってくる。
その言葉は彼女を見放すレベルなのではないかと僕は推測した。
「えっ!?」
「カンニングしたことを素直に認めたらって言ってるの」
「し、白鳥さん……」
やはり、「裏切り」という行為で正解。
女子生徒達はくすくすと嘲笑いするような視線で友梨奈さんの方を見ている。
おそらく僕は第三者にあたるであろう。
僕は彼女のクラスメイトに対して、酷い印象を持たざるをえなかった。
†
そして、1番最初に書かせていただいた例である「人間関係の崩壊」。
それをいくら阻止しようと思っても、彼女のような内気な性格では不可能だと考えられる。
今後も「人間関係の崩壊」が続くならば、彼女はどうなってしまうのだろうか?
そう思いながら、僕は友梨奈さんを監視……ではなく、見守っていこうと思う。
2017/02/07 本投稿
※ Next 2017/02/11 5時頃予約更新にて更新予定。