#14
友梨奈さんは放課後の部活動が終わるまで、チョークの粉にまみれた制服を着て過ごしていた。
なぜならば、その日は体育の授業がなかったから。
「……どうしよう……」
部活動を終え、楽器の後片付けを終えた彼女が白くなってしまったブレザーを見ていたところに友梨奈さんの友人の女子生徒が駆けつけてきた。
「友梨奈ちゃん、どうしたの?」
「あのね、さっきの休み時間にみんなでテストの順位を見に行ったでしょ?」
「うん」
「教室に戻ったら、そのドアのところに黒板消しが仕掛けられてて……」
「それで制服が真っ白になったわけか……なんかドラマとか漫画の定番シーンみたいだねー」
「もう、早紀ったら、私のことを馬鹿にしてるの?」
「ボクは友梨奈ちゃんのことを馬鹿になんてしてないよー」
「ならいいけど……」
その言葉に対して、苦笑を浮かべる友梨奈さん。
しかし、遅れて入ってきた彼女のクラスメイトや一部の部員からは非難の目で彼女を見ている。
その時、友梨奈さん自身は教室でも音楽室でも同じことをさせるのではないかと警戒している模様。
「そ、それでは帰りますか?」
「うん」
「そうだね」
「「お疲れ様でした!」」
彼女らは速やかに部室である音楽室から出て行き、それぞれの家路についた。
†
友梨奈さんは友人と別れ、近くにある公園の風に揺られているブランコに腰かける。
「懐かしいな……よく友梨香とブランコで遊んでたなぁ」と、呟きながら――。
「制服、クリーニングに出そうかな……出したとしても、戻ってくるのに時間がかかるしなぁ……明日から、友梨香が着てた制服を借りようかな……」
誰もいない公園でブランコに腰かけた女子中学生なんかおそらく見かけないであろう。
もし、読者の中で同じような人がいたら申し訳ない。
しかし、今の彼女にとっては心が落ち着く場所らしいのだ。
「…………なんで……なんで、いつも私だけなの……?」
友梨奈さんの目から今まで堪えてきた涙がポロポロと溢れ出す。
そのことに関しては誰も分からない。
彼女自身はもちろんのこと、見守ってきた(「監視してきた」の方が正しいかもしれない)この僕にも――。
キコキコと振り子が動くブランコ。
それと同様に大きく揺れ動く彼女のココロ――。
2017/01/31 本投稿




