表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/48

#13

 友梨奈さんと彼女の友人であるクラスメイトの2人の女子生徒が教室に戻ってきた時のことだった。


「うわぁ!?」

「「何!?」」


 友梨奈さんが教室の扉を開くとそこから黒板消しが彼女の頭に降ってきた。

 彼女らは黒板消しについたチョークの粉で咳き込んでいる。

 被害を受けた友梨奈さんの髪の毛は真っ白になり、学校の制服である紺色のブレザーも白くなっていた。


「あっ……髪と制服が真っ白になっちゃった……」

「友梨奈、大丈夫?」

「もう誰だし……」


 彼女らは黒板消しを片付けたり、チョークの粉を落としたりしている。


 友梨奈さんはふと教室を見る。

 彼女の姿を見て大爆笑する人がいれば、じと目で見てくる人、一瞬だけちらっと見て視線を逸らす人がいた。


 彼らは「自分には関係ない」、「自分はそのようなことはしてない」、「自分はここまでの経緯は知っているが、あえて知らないふりをしておこう」などと、友梨奈さんのことを心配している素振りが全く見られなかった。


「あっ、カンニング女が教室に戻ってきたぜ!」

「本当だ!」

「木野 友梨奈さーん、カンニングはよくないよー!」

「カンニングは最低な行為だぞー」

「私はカンニングなんかしてないもん!」

「してない? どうやったら、あんな高得点をとれるんだよ!?」

「それは私の実力だもん」

「マジかよ? 実力でも限界があるんだぜ?」

「私の実力とあなたの実力を一緒にしないで! 私はカンニングしてないから!」


 彼女が男子と言い争っている間、先ほどまで友梨奈さんといた女子生徒達は他の女子生徒に何かこそこそと話している模様。



 †



 そうこうしている間に、担当の教師であろう男性が慌ただしく教室に駆け込んできた。

 彼は頭と制服がチョークの粉によって白くなっている彼女を見て、「木野、髪と制服が白くなってるじゃないか? 何かあったのか?」と訝しげに問いかける。


 友梨奈さんは「……なんでもありません……」と俯きながら答えた。


「そうか。何かあったら、早川先生に相談しろよ」

「ハイ」


 彼女が自席に着こうとした時に通路に出ていた誰かの脚に引っかかり躓いた時、なぜか一斉に笑い始めている。


「木野さん、ごめんねー。うち、脚が長くって」

「ちゃんと下を見て歩こうねー」


 女子生徒はわざと友梨奈さんに躓かせようと仕掛けてきたのだ。


「ごめん。気をつけるね」


 彼女はその女子生徒に謝り、再び自席へ向かって歩き出す。

 彼女らは友梨奈さんを見て、彼女が席に着くまでずっとクスクスと笑っていた。



 †



 一方の彼女の友人である女子生徒達は友梨奈さんのことを心配そうに見ているようだが、実際はどうだか分からないのが現実――。


 僕はこれまで彼女のことをずっと「監視」という名の「見守り」をしてきたが、ここまでエスカレートするとは思わなかった。

 これには本当に笑えない。

 それどころか、手の施しようがない現状で、僕はタブレット端末を眺めながら、僕もどうしようかと頭を抱え込みながら、悩み始めていた。

2017/01/24 本投稿

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング

短編はこちらから

その他の作品はこちらから(シリーズ一覧に飛びます。)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ