#9
僕が何ヶ所かにカメラ設置して以来……。
友梨奈さんはどこからか分からないところから消しゴムを小さくちぎられたものを毎日のように投げつけられていた。
正確には彼女の後ろの方から投げられているのだが。
そのような行為はいつからやっているのだろうか? と思ったが、時間が無駄なので、あえて気にしないことにした。
友梨奈さんや教師達から「止めて!」と注意されても聞く耳を持たず、その場しのぎにしようとする。
「彼らは彼女がどのような気持ちで学校にきているのか分かっていない……」
彼女はおそらく我慢していると思われ、次第に辛くなってきているはず――。
僕のタブレット端末に映し出されている友梨奈さんの表情は徐々に暗くなっていると感じられた。
今、彼女には何人かの友人がいる。
「おや、彼氏?」
男子生徒もその画面に映し出されている場面が何回かあるので、おそらく彼氏……も存在しているであろう。
しかし、今の友梨奈さんは友人といる時と家にいる時は気を遣ってしまう模様。
あとはクラスメイトといる時間が長い教室は変にストレスを感じられたと思われる。
突然、僕の勝手な分析をしてしまい大変申し訳ない。
「そろそろ彼女は精神的に限界が近づいているようだな……」
僕はタブレット端末の映像を巻き戻す。
おそらく彼女の自宅の自室だろうか。
そこに映し出されている映像は定期テストの勉強をしているようだ。
「友梨奈さん、頑張ってくださいね」
友梨奈さんに直接届かぬ僕の思いを告げ、タブレット端末の電源を消す。
「録画は常に回しているので、続きは仕事を終えてから拝見させていただこう」
その端末はデスクの中にしまい、本業に戻るのであった。
2016/12/13 本投稿