私と迷子
刑部様の風邪が治った日は宴でした。
呑めや唄えやでお城の中はにぎやかです。
「あまり飲み過ぎるなよ、」
「父上こそ飲み過ぎには」
五助さん親子は互いに飲み過ぎるなと言い合っている。
「小石様と刑部様は仲睦まじくて」
「羨ましいわホント」
厨に向かうと、女中さん達の呟きが聞こえる。
「あら、月耀様いらっしゃい」
いつもの女中さんに小魚を貰う。
厨の隅っこを借りて小魚を食べようとしたら、
何かが私の前を横切った。
……あっ私の小魚。
横切った何かに小魚とられました。
横切った何か――私より小さい仔猫は何処からか迷い混んだらしい。
勿論、厨はパニックになりました。
「誰かぁ……その仔猫捕まえて」
「素早いからむーりー」
……結局私が捕まえました。勿論首根っこ抑えた某猫の宅配便……もとい母猫が仔猫を運搬するアレ。
話を聞くと、迷子でした。
……どうやら母猫とはぐれたらしい。城下町をさ迷い何故かお城にたどり着いたという事だった。
ある意味すごいかも。
「仔猫どうしましょう」
「刑部様に相談なさらないと……」
女中さん達が刑部様に相談したらしく、私に弟分が出来ました。名前は琥珀と名付けられました。