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七話 スズカ視点

 アンヌが去ってしまってから一日が経った。アンヌの捜索には今までのつてを頼って、全力を尽くして情報を集めてもらうことになった。本当は探しに行きたいけど、簡単には立ち止まれない旅だから、これは仕方ない。

 そして魔王への手がかりを失った私たちは冷静な話し合いのもと、アンヌが参加する前と同じ方法で旅を続けることを決めた。冷静な話し合いなんてわざとらしく言ってみたけど、エミリオと私の喧嘩のせいで酷い有り様だった。


「じゃあみんな、次の目的地はアンヌが言っていたダドックの洞窟。その後は噂や伝承を集めて魔物を討伐しながら、その時々で目指す場所を変えるってことで決まりね?」


 有無を言わせないスターシアの言い方に、私たちはアイコンタクトをして頷いた。


「うん」

「ああ」


 結論は三十分も前に出てたのに、収集のつかない話し合いを無理やりスターシアがまとめてくれたのだ。これ以上何か言うなんて、スターシアに申し訳なくてできない。あっちもその気持ちは同じようだった。


「おっけー。あはは、ありがとねスタア」

「あんたがお礼を言うなんて珍しいじゃない、ニニラ」

「私だったら一生口が挟めなかったと思う」


 何にでも口を挟みたがるニニラを持ってして、何も挟めなかった話し合いはスターシアが居なければ決別まで発展していたと思う。昨日からスターシアに迷惑をかけ通して、下げた頭が上がらないよ。


「済まない、熱くなって」

「私も、ごめんなさい」

「はー、悪いと思ってなるなら次からは控えてね。痴話喧嘩ミックスの話し合いなんてもうごめんだわ」

「わかった。もうしない。エミリオ、しばらく私たち話さないようにしよう? 一日くらいじゃ頭の冷やし方が足りないみたい」

「……ああ、そうしよう」


 少しやつれたエミリオはがっくりと私の提案を受け入れた。


「よし、じゃーご飯食べて出発だね!」

「今日は点検を怠らないでよ? ちょっとはスズカを見習って」

「はーい、わかってるわかってる」

「いつもそう言ってるよ、ニニラ」

「で忘れ物をする。もしくは使う物に限って使えない物があるんだよな」

「にゃははっ、笑って許してよ☆」


 おどけてくれたニニラのおかげで、私たちはかろうじてパーティーの様相を呈していた。

 誰を、エミリオを責めてもそれで前に進める訳じゃないんだから、今はエミリオと距離を取ろう。

 どうしてもアンヌを傷つけた重大性をわかってもらいたくなっちゃって、怒りを抑え切れなくて……冷静さを保って話すにはまだ早すぎるのかな……パーティーとしてなら、一応会話をすることはできるみたいだし。

 部屋に戻って真っ先にベルンの体調を見ようと籠を覗くと――居ない?!

 昨日は確かに居たのを見てる。自力では飛べなくなってたのに……慌てて部屋中を隅から隅まで探す――けど見つからない。

 メンバーや宿の人にも伝えて話を聞いたけど――誰も部屋に入ってさえいなかった。

 ニニラの提案で窓の下や外まで探してみたけれど――結局、ベルンは忽然と姿を消してしまった――そう結論づけるしかなかった。

 アンヌに続いてベルンまで居なくなっちゃうなんて……ショックで部屋に一日引きこもってしまった。……きっと死んでしまったんだと思っても、亡骸がなくてお墓も作ってあげられない。

 私を支えてきてくれた友達との突然過ぎる別れ――涙が止まらなかった。ごめんね、って思ってもどちらにも届きはしない……。

 翌日の夜、みんなには「もう大丈夫」と言えた。慰めてもらったけど、今はただアンヌに会いたかった。飛べなくなった小鳥のために貴重な秘薬を使って欲しいと言ってくれた、あの優しさを取り戻したいと願った。

 もし再会できた時、アンヌがエミリオを許せないと言ったなら、エミリオとは別れよう……そう決意した。

 私はお詫びとお礼を兼ねて、次の街で評判のケーキを二人に奢った。楽しいおしゃべりで気分は持ち直すことができたけど、しばらくこの傷は痛むな、と覚悟した。

 エミリオは何してたって? そういや、そんな人もいたっけね。


魔法使いアンヌ は魔王ヴァーミナス と出会った!

二人の利害が一致。婚約者になった!

アンヌ の【貴族令嬢】が発動! 好感度は一度に5しか上がらない! 好感度が5上がった。


魔法剣士スズカ と勇者エミリオ は喧嘩した。お互いの好感度が10下がった。

小鳥ベルン が行方不明になり、スズカ のやる気が10下がった。

スズカ は[特定条件]で恋人との別れを決意した。


アンヌ→ヴァーミナス

関係:仇敵→婚約者 好感度:±0 状態:様子見 マナー不足


スズカ→エミリオ

関係:恋人 好感度+191 状態:大好き 喧嘩中


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