四十話 スズカ視点
今日たどり着いたのは、魔族が支配している都市――なるべくアンヌに伝わらないように、って考えて大きな街は避けて来たけど、もうそんなこと言ってられない。
一刻も早く解除してもらえなかったら、本当にエミリオが死んでしまう……焦燥感に駆られて、まず領主に会いに行くために門番に取次ぎをお願いした。
いくつかの村に行って気づいたのは、魔族は実力で権力を持つというシステム。つまり、ここの領主様が一番アンヌの魔法を解除出来る可能性が高いんだけど……そもそも他人のかけた魔法を解くというのは、構造が簡単な魔法でも難しい。
ここの領主様に無理なら、最後の手段でアンヌに直接会うしかない。その準備もしてもらってる。
今のエミリオでは和平会談どころじゃなく、例え魔法が解けても体を戻すために入院が必要なくらいだと思ってる。なんとかスターシアの魔法で強化と、ニニラの買った薬で持たせてはいるけど、エミリオは弱っている姿を面に出さないようにするので精一杯なんだろう。
「お待たせしました。領主様は明日の昼頃であればお会いできるそうです。それまではこちらで用意させて頂いた宿にて休まれてください」
「あ、ありがとうございます。よかったね、みんな」
「そうだね、良かった! じゃあここの特産品でも見てお土産にしますか! 自由時間で良いよね?」
「うん、いつも通りね」
ニニラは張り切って商店街へと出かけて行った。スターシアは今日はお祈りの時間を多く取りたいらしく途中で別れて、私は宿の待合室でエミリオと二人で過ごすことになった。
「なあ、スズカも出かけたらどうだ?」
「え? ああ、いいの。ちょっと寝不足だし、本でも読んでるから」
「そうか……その、済まないな。つき合わせているみたいで」
出たよ。もうエミリオってばアンヌが出て行っちゃってからずっとこうなんだから。
「あのね、何考えてても良いけど、私は好きでここにいるんだからね?」
あんたのためとか、自惚れないでよね? と言って、本の表紙を捲った。エミリオは魔族の本なのか、不思議な絵の図鑑みたいな物を読み出した。
「スズカは優しいな。僕は自分のことばかり考えていて――いや、何でもない」
今エミリオが何を言おうとしたのか、本を読むふりをしながら考えてみた。――あれかな、体が弱ると心も弱るのかな?
前のエミリオは自己中心的な素振りは見せなかったし、今のも別に自己中とは違う気がする。なのにそう言ったってことは、エミリオは自分が衰弱して出来なくなったことや迷惑をかけていることを自己中心的だと解釈したのかな?
弱ってる時は碌なこと考えないよね。ずーっと暗い顔なのは、体調のせいだけじゃないって……うん、そうみたい。
「ねえエミリオ」
「ん、何だ」
「もしアンヌがエミリオを赦せないって言ったら、一生赦さないって言ったら、どうするの?」
「それは……」
エミリオは何も言わない。昼間の宿は賑やかだけれど、勇者様に遠慮しているのか待合室には誰も入って来ない。窓の日差しが埃を反射して、エミリオを汚しながらキレイだった。可笑しい。風がまるで、エミリオに向かって吹き込んだ気がした。
「それが、命で償えってことなら、死んでお詫びするよ」
「違ったら?」
「二度と会わない。僕は既に謝る機会も台無しにしてしまったから――」
「そっか……うん。偉い! ……和平のために必ずアンヌとエミリオは顔を合わせることになる。それに、何を言われても仕方ない状況だと思う。けど、何を言われても向き合ってよね、エミリオ?」
「? それの何が偉いんだ」
「赦されようとしないのは、凄く辛いことだよ。誰でもやっぱり、悪いことをしたら赦されたくなるものだと思う。赦してもらえるまで……って、美しく聞こえるけどさ。本当に申し訳なく思うのなら、赦されないべきなんだよ――だから、偉いよエミリオは」
「当然じゃないのか、あんな言葉をぶつけたんだから」
「――エミリオって、自分を一番、誰よりも責めるんだね。だから、他の人は何も言えなくなって。結論を一人で出したような気になって?」
「スズ、カ」
エミリオが私の顔を見たのがわかる。窓に向いていた体の向きを、真っ直ぐにエミリオへと変える。
「苦しい時に苦しいって言うのは悪いことじゃない。それが必要なことだってあるよ? 自分を追い詰めても、どうにもならない。お願いだから、お願いだから一人で抱え込まないで……エミリオ、もうずっと笑ってないの、気づいてる?」
「スズカ、何を……気にしすぎだよ、俺はちゃんと笑ってるじゃないか。ほら、何度も」
そんな何もかもを押し込めて、何を笑ってるって言うの?
「苦しいのを堪えてるようにしか見えないけど?」
「そうかな、本当にそうなのか? 僕には、スズカがいてくれて、これ以上ないくらいに幸せなのに、そのはずなのに苦しいのは、どうしてなんだろう? 幸せなのに、そう思えないのはなんていう罪なんだろう?」
「……鬱病、っていうみたいよ」
「え? うつ?」
「ほら、この本。そういうのが詳しく載ってるの――今のエミリオは、もっと誰かのせいにしないとダメになっちゃうよ? 自分のせいじゃない、って荷物を下ろしてみても、良いんじゃないの?」
私は病気について書かれた本を差し出した。でもエミリオは見るばかりで受け取ろうとはしない。
「病気だったら、原因があったら言い訳しても良いのか?」
あーあー、本当に面倒くさいなこの男はっ。
「アホ! ぐだぐだ言えるんならお得意の舌先三寸で私を安心させてみなさいよっ?! 心配だっつってんの。エミリオのそんな顔見てたら私のご飯も美味しくない。だからもう笑うな!」
差し出していた本をエミリオの頭に命中させて、自室に逃げるように部屋を出た。
ダメだな……全然上手く行かない。こんなんじゃエミリオを励ませる訳ないよ。
スターシアもニニラも戻って来てから、私は三人を部屋に呼んだ。私の過去を話すからって言って。
「スズカ、なんか顔色悪いけど平気? 無理に今話さないといけないことなの?」
「平気、ていうかその話があんまり愉快じゃない話なんだ。そのせい」
ほんとはエミリオのせいだけど、それを言う資格はないよね。やっぱり私には上手く伝えたりするのは向いてないみたい。
「そっか……じゃ仕方ないか」
「うん、ちょっと長くなるけど最初から行くね?」
私はヒヅル国で拾われた孤児だった。拾ってくれたのは、今も大恩ある賢者様で……私は拾われた当時のことは何も思い出せない。
「みんなも知ってる通り、ヒヅル国では黒髪黒目が一般的で、私の髪と目は凄く目立ったのね? 賢者様が居ないところでは結構いじめられたりとかしたんだけど、それを私はずっと色が違うせいだって思い込んでいたの」
「え、違かったの?」
「いや、それもあるにはあったらしいよ。でも成長してからは、どちらかと言えば顔立ちが整ってることが原因だったみたい」
「……なるほどね」
それが幸か不幸か、賢者様の家には沢山の魔術師候補さんたちがいて、男女を問わず仲良く暮らしていた。私は女性の先輩方に守られていたから、恋愛や性欲方面に疎く育ってたんだ。何回か注意はされていたんだけど、ピンと来ないっていうか……意味がわからなかった。
「意外かも……」
「それで魔物の活動が活発になっていることもあるし、賢者様に恩返しがしたくて私は先輩についてヒヅルを出たんだ」
そこで話を区切ってちらっとエミリオを見ると、ひたすら俯いて話を聞いていた。最近では落ち込んでいない姿を見る方が難しい。――しょうがないけど、それでも嫌なものは嫌だなぁ。
「じゃあ最初は二人旅だったのね」
「うん。けれど三ヶ月くらい経って、旅に慣れた頃に先輩は目的の職人さんに出会えて、弟子入りすることになったの。その人は弟子入りが趣味みたいな女性だったんだ」
「あ~いるね、そういう人」
別れる間際にも男性関係には注意されたんだけど、セクハラとか乱暴に関してはやられない自信があったから、怖さを全然わかってないまま一人で活動を始めたの。
「やっぱり一人だと色々不自由に感じて、誘われたパーティーに入ることになったんだけど……」
掻い摘まんで言うと、そのパーティー内で元から恋人だった二人がだんだん喧嘩をするようになっていった。
私は新参者だしと思って深くは聞かないでいたら……私のせいだって言われちゃって。
「それは本当にスズカが迂闊だったの? 逆恨みとか、男が心変わりした?」
「うーん、全部ある、かな。私はそうとう迂闊だったけど、ちょっと彼女さんが嫉妬深くて彼氏さんが嫌になってたそうだよ?」
気をつけては居たけれど、とうとう派手な痴話喧嘩が勃発しちゃって。直接言われたのは一人だけだったけど、全員からお前のせいで和が乱れた、責任取れ的な空気になって……そんな感じで私はそのパーティを抜けて、また一人になった。
「えーと、そのことが原因で一人で旅をしてたの?」
「うん、でも実はそれだけじゃないの。そのすぐ後、ベルンと出会って――何もしてないのについて来ちゃって……一人だとついベルンに話しかけちゃうのね。いや、痛いのはわかってたよ?」
「そう言えば、ベルンはおかしな鳥だったわね」
スターシアの言う通り、ベルンはよくわからない鳥だった。まず、私の言葉を完璧に理解してた。文字も読めたし、かと思えば動物特有の勘で危険を教えてくれたりもした。
綺麗な声で歌を歌って慰めてくれたり、絶えずそばに居てくれたベルンは、いつからか私の中でかけがえのない存在になっていた。
「でね、何度か見たと思うけど、ベルンは人の好き嫌いが激しくて、私がなかなか良さそうなパーティだな~と思ってもベルンが気に入らないと意地悪するから、どこも受け入れてくなくなっちゃったの」
「あ~、それはよくわかる。私仕留めて食べてやろうかと思ったことあるもん」
「そんなこと考えてたの?! と言っても、実は私もあるんだけど……それからも周りと噛み合わないことが何度も起こって、もう嫌になっちゃったの。
最初は自業自得だから勉強して私が気をつけなきゃって思っていたけど、ベルンが嫌ってた人って後から訊くと盗賊紛いだったり、羊の皮を被った狼だったりで……そんな人たちばっかりじゃないのはわかってるんだけど、変に有名になっちゃったせいでまともなパーティは通りがかりでも私を避けるようになっててね」
「それは……なるほどね。一人の方が気楽になるのもわかるかも知れないわ」
冒険者たちっていうのは、依頼を受けて魔物を討伐したり素材を売ったりする。その性質上、荒くれ者が多くいる――そんな人たちだけじゃないけど、この顔がそんな冒険者を引き寄せるせいで、とにかく何かしらに巻き込まれた。
もちろんこの顔のおかげで沢山得もしてるけど、今のところはまだ損の方が大きいかなぁ。
「だいぶ端折ったけど、そんなこんなで私は人の気持ちを想像したり、未然に防げるアクシデントは防ごうという意識が刷り込まれた訳……私が未熟なのはわかってるけど、だからといってトラブル続きなのは嫌になっちゃって」
例えば荷物の点検なんかもそう。貸してとか、なくなったとか。盗った隠した……もう勘弁して欲しい。
「えーと、苦労して来たのはわかったよ。冒険者だと綺麗な顔ってあんまり良いことないかもね。でも、じゃあどうして勇者様のパーティに入ろうと思ったの?」
「そうよね、別に修羅場ではなかったけど、アンヌが助けられてから恋愛方向でややこしかったのに」
「あー、それは……そのアンヌだよ。魔王の魔力痕がわかるのは大きかったけど……それ以上にさ。アンヌみたいな子が好きな男なら、私を好きになったりしないだろうって思ったの。まるで役に立たない見込みだったけど。――という訳でした。この話はもう終わり!」
正直言って、この話は恥部に他ならない。無理やり話を終わらせようとしたけど、そうはさせてくれなかった。
「待ってよ、アンヌみたいな子ってどういうこと? 考えてみればスズカとアンヌが最初に仲良くなったんだよね?」
「私も気になるわ」
「え、えぇー……言うの?」
「お願いスズカ!」
「僕も気になるな、教えてくれないか?」
それまで黙っていたエミリオの言葉に、私は覚悟を決めた。
「わかったよ……実はね、ベルンが森の中でアンヌを気に入ってナンパしてたの。その時点で私はもうベルンを単なる小鳥とは思ってなくて、さっき言ったみたいに一瞬殺してやろうかと思ったこともあるくらい」
「ナンパね……そう、それで?」
スターシアも流石に苦笑いだ。確かベルンはスターシアの胸をくちばしで突いたことがあったっけ……本当に、ベルンを何度撒いて置き去りにしたかわからない。
頑張って苦手な転移してもいつの間にかいるんだもん! 大切な存在だったけど、それと無条件で良い奴かは関係ないよね。小鳥だったけど!
アンヌに纏わりついてたベルンを見つけて、最初は何か悪戯してるのかと早とちりして、謝ったんだ。
『ごめんなさい、その小鳥が何かしちゃった?』
『あら、あなたがこの小鳥のお友達? 素敵なお友達がいるのね、小鳥さん?』
「その時、アンヌは私じゃなくてベルンに話しかけてた。もう驚いたね。小鳥に話しかける人間なんて自分くらいだと思ってたのに、それどころかお友達だよ?」
「うーん、アンヌならわかる」
「その時、なんていうか……アンヌを好きになった。一目惚れみたいな? 一人で活動してるって話したら、私をパーティに誘ってくれて。アンヌが居るパーティーならって思って、それで決めたの」
もちろん魔力痕がわかる事実は決め手になった。なんせ私はもう賢者様の元に帰るのも難しかった。後ろ盾も目的もなくふらふらしてるくらいなら、魔王を討伐して一旗上げてやろう――と思い切った訳だ。
「それは……スズカ、大変だったのね」
「まあね、ベルンは一人の時にはすごく役に立ってくれるの。魔物の気配にも敏感だし、確かに性質悪い人も追い払ってくれたから。でも一人でずっと旅をするのって辛くて……それまではいつも誰かそばにいたから余計に」
「顔色が悪くなるのも当たり前だね~。私もエムについて行くことにしたの、似たような理由だし」
「そうなの? スターシアはサターナ教会からの命令でだよね? どんなことがあったのか訊いても良い?」
「うんうん、この際だから言うよ。それにスズカだけに言わせるのもアレだしね。私はね、森の民コンプレックスがあって、会う人会う人に『あ~あ』って失望されるのが嫌で、パーティに入ってなかったの」
「え? 森の民コンプレックスって何?」
そんな言葉、一度も聞いたことがない。スターシアも知らないみたいで、首を横に振る。
「私が勝手に作った言葉。森の民といえば、『褐色でグラマラス、世慣れているのに弓の達人の色っぽいお姉さま』という決め付けのこと! 男の人だけじゃないんだよ? 女の人でも、森の民だって言うと期待はずれみたいな顔するの! もう慣れたし諦めたけど。で、幻想を一切持たないでしかも庇ってくれたエムにコロッといっちゃったということだね。エムは単なる博愛主義者だった訳だけど」
「そういうことね。わかるわ。私もそれで好きになったようなものだもの。私、最初はハニートラップで勇者を篭絡しろって言われていたのよ。体を使って……とは流石に言われなかったけど、協会側がそのつもりなのはわかってた」
なんか……みんなそれぞれに苦労してるんだなぁ……話の中心のエミリオはと言うと、申し訳なさそうに笑ってた。これしか出来ない男なんだよね~。何で好きになっちゃったかな? でも好きなんだよね~。
「大丈夫だって、別にエミリオが悪くて好きだ嫌いだ言ってるんじゃないんだから。むしろ惚れられるなんて良い男ってことじゃん? 喜びなさいって」
「はは、そうだな……僕だってそんなに悪い人間じゃないからな。みんなに好かれていたのは、嬉しいよ」
「あら、恋愛とは違うけど、今だって嫌いまではいかないわよ」
「私はちょっと嫌いになってたけど。でもやっぱり、好きなのも残ってるかな?」
「私は前からあんまり変わってないな。根性叩きなおしたくなる。好きだけど……どっちかって言うと、支えたくなるというか」
「そ、そうなのかっ――恥ずかしいな、そうやって言われるのは」
耳まで真っ赤にしてるのを見ると、なんかからかいたくなってしまう。こういう話は特別な機会でもないとしないからねぇ。
「だからぁ。あんまり嫌われてると思い込まないでね? そういうの見てると、本当にしばき倒したくなるの。それとも誘い受けなのかなぁ? 叩かれたいドM君とか?」
「な、何を言うんだスズカ!」
わざと語尾を延ばして、思わせぶりにエミリオに視線を送ってみる。ものの見事に動揺してくれて、なかなか面白い。
「嫌だわ、スターシア様。私たちが居るのに、何かいやらしい話を始めましてよ?」
「本当だわ、きっと励ましたいのに失敗して、面白くなくてからかってるのね」
「えっ、何で失敗したって知ってるの?」
「ふふ。ほらね、あの時隣の部屋に私が居たのも忘れてたんじゃない。宿の待合室の壁なんてそんなに厚くないのよ?」
そうか~! じゃああの慰めてたのも……うううう、恥ずかしい……これはそう、エミリオのせいだっ。
「この~! あんたがいつまでも落ち込んでるからこんなことになるのよっ。ちょっとは私のことも考えてよね?」
「スズカ、恥ずかしいのはなんとなくわかるけど、エムが死んじゃうからヘッドロックは程ほどにしようね?」
「ふんッこのドエミリ男にはご褒美なんじゃないの、知らないけど。アンヌの呪いとか誤解が解けたら、四人で順番に私刑にしようよ」
「ほらほら、また誤解されるような発言は慎みなさいって。そんなつもりない癖に言うのはよくないわよ」
ちょっと考えて、それからエミリオに謝ることにした。まずヘッドロックを外す。
「今のは流石に言い過ぎた。ごめんね?」
「いや、僕が落ち込み過ぎてたせいだろ? ありがとう、もう大丈夫だから」
「あーあ、砂吐きそう。仲良しで羨ましいね~スタア」
「そう言わないの。ま、とにかく今日はご飯を食べて寝ましょう」
そして冷静なスターシアのまとめによって、なんとか話し合いは無事に終わった。ニニラも私もついエスカレートするタイプだから、エミリオに愛想尽かされなくて良かったよ……顔が可愛かろうが、中身がこれじゃあね……反省。
「スズカ」
ご飯を食べ終わると、エミリオが廊下で話しかけて来た。何だろう?
「何か用?」
「その――もう、死なないから。死のうとしないから。それだけだ」
え? 死のうとしない? ――あ! もしかして、昨日の見張り中の話聞いてたの? と何を言われてるのか理解した時には、既にエミリオは踵を返していた。
「やっぱり碌でもないこと考えてたんだ」
部屋に入る弱々しい背中を見送って、私も部屋に戻った。なんだか、言えなかったことを聞いてもらったら随分気が楽になった。
確かアンヌがエミリオを好きになったのは命を助けられたから、だったよね。エミリオもアンヌも第一印象とはかなり違う人物だったな~。……ベルンもね。
バストサイズはスターシア>>>アンヌ>スズカ>>ニニラの順です。




