王様、忠告される
長らく更新しなくてごめんなさい。
山の向こうに、ドゥナルバーワが見えてくる。茶色い屋根に白い壁の家が立ち並んでいて、和洋折衷のような趣もある。
「おおっ。こんな町があるのか」
「町はひさしぶりじゃ」
俺と姫は町を興奮気味に指さす。ゲランはため息をつきながら、俺たちを眺める。
「あそこには中級の身分の者が集められています。く、れ、ぐ、れ、も、目立たないように」
「ハイハイ」
「了解なのじゃ」
ゲランはこの世界にいるのが長いから、きっとワクワクなんてしないんだ。でも、俺は違う。俺は、まだ全然世界を知らない。無知で、胸を躍らせている。奴隷販売の摘発という目的はありながらも……ってあれ?なんだこれ。
山の頂に到着した途端、キラキラした霧に全身が包まれた。まるで霧の粒子が反射しあっているようだ。
そこに、細身のシルエットが姿を現す。
「マーシャ!!」
幻想的に光り輝くマーシャは、フ、と微笑む。
「幼い王よ。一つ忠告しておきたいことがある。お前が元の世界に戻りたくないと願うのなら、成長は望めない。現状に満足しているのだからな。もし、元の世界に戻りたいと願うのならば、考えを変えることだ」
「!!」
すると、マーシャは、前と同じくサ―ッと消えた。
……マーシャは俺の考えがすべて読めるのか。恐ろしい……。
確かに、この世界に満足しかけている俺がいた。けど、元の世界には友達もいるし家族もいる。会いたくないと言ったらウソになる。
「俺、ここでも地味に生きるよ。善行コツコツ積んで元の世界に戻れるように……」
俺の決心を無表情でゲランは受け入れた。まぁ、正直ゲランにとって俺が元の世界に戻るかどうかなんてどうでもいいのだろう。
でも姫は。
「頑張るのじゃ!!」
そう言って、ニッコリ笑った。
次の話は、町になります。不定期更新ですが、10日以内にできるよう頑張ります。