王様、王宮へ戻る
「家の前に牛車が到着いたしました、王様」
道が牛車の見物人で溢れる中、俺たちは家を出る。
「王様だ!!」
叫ぶ声が渦を巻く。人々は俺を見ようとせり出し、ドミノ倒しが起きそうなくらいぎゅうぎゅう詰めになっている。護衛の者は、そんな人々を制しながら俺を牛車に導く。
もう、ドゥナルバーワとはさよならだ。
しんみりとしながら牛車に乗り込もうとしたとき、あの女子が人込みにいるのが目に入る。何か言わなくては。焦りながら俺は雑踏にかき消されないよう大声を出す。
「王様だって隠しててごめんな!!」
すると、彼女は何か言いたげに目を向ける。それから、言葉を発するように口を動かしているのが見えた。
でも、そんなのは俺の勘違いなのかもしれない。
せかされて牛車に乗り込んだ俺は、ガッカリして全身から力が抜けた。
「どうしたのじゃ?」「どうかなさいましたか」
二人は声を合わせる。妙に息が合ってるな……
「……なんでもない」
俺は自分を言い聞かせるようにしてそうつぶやいた。
ジャ――――――――――――――ン!!!
ドラの音が響く。
「王様のおなーりー!!」
そんな大層なもんじゃないのにな、俺。優秀なゲランと姫に挟まれて、俺は完全に自信喪失していた。
チート能力があるっていっても、武力は使った後疲れるし、知力は行書体が読め、漢文が分かるくらいだし、前に小説で読んだ話とは爽快感がまるで違う。
別人や、超人のようにもなれず、ただ自分を増強したような感じで、人間味を残している。
……でも、文句も言ってられないか。仮にも俺は王様。国を治める立場なんだ。
そう自分に活を入れた俺は書斎の椅子に座り、早速仕事に取り掛かる。
「本当に政治をなさるのですか?」
ゲランはまっすぐに俺を見る。訴えかけているようだ。やめてくれと。
でも、ここで引き下がったらたまるか!
「やるに決まってるだろ」
俺は語気を強めた。ゲランはやれやれという風に首を振る。
「……むきになってやるものでもありませんよ。ご無理なさらずに。ここには小さなスペシャリストがいるのですから」
このゲランのやけに冷静な態度に腹が立った俺は、本当に王様向きじゃないと思う。
それと。
「協力して変えていこうな?」
俺の険しい表情を読んでか、そう控えめに言う姫に癒される俺は、ロリコン……じゃないよな?
「違う違う!!」
「何が違うんですか。むきになっているように見受けられたのですが。失礼いたしました」
「いや、そうじゃなくて俺の中での話」
「何の話ですか?」
ゲラン、その詮索好きはやめた方がいいと思うぞ。なんて忠告したら口論に発展しそうなのでやめておく。ゲランと口論しても勝てる気がしない。
ちらっと横を見ると姫は上目づかいで眉をハの字にしたまま立っている。
「変えて……いこうな?」
「ごめんごめん無視したんじゃなくて……そうだな、変えていこう!!」
「うむ!」
そして、多くの問題を抱えた俺の政治が、幕を開けるのだった。
特に何も起こらない回でした。次からは、政治をし、国を変えていきます。政治回は少しの予定です。政治回が終わるとまた冒険に出ます!!
本日は読んで下さりありがとうございました。なるべく更新いたしますので、よろしくお願いいたします。




